タクシーの中で小埜瀬、
「断然、酒の量が減った。」
その声にまた佐津香、
「あ~~~。」
「仙台じゃ、とにかく、仕事。しかも…、周りは同じくらいの年代ばかり。仕事が終われば今度は酒。しかも、煙草も吸う。逆に仕事もきつかったですから、酒の力がないと…。ひたすら…だったですね~~。」
佐津香、
「プロジェクト、任されて…。」
頭をコクリと小埜瀬、
「えぇ。」
そして…、
「…で、念願の東京本社。ある意味…、この歳だからって事もあるんですけど…。…残りの10年は、東京でって…、50になった時に、考えてたんです。」
順平、
「そぅだったんだ~~。」
小埜瀬、順平の方にチラリ、
「…で、東京に戻ってきたら…。何と。」
佐津香、少し笑顔で、
「何と。」
小埜瀬、小さく頷いて、
「えぇ。…何と、何と。ですよ~~。」
順平、
「何が…???」
こちらもニコリと小埜瀬、左に頭を傾げて、
「いやいやいや。若い。…って言うか、若過ぎる。まず、匂いが違う。入った瞬間です。」
佐津香、
「あ、あ~~~。はははは。まま、確かに。」
「多分…。…それでしょうね~~。」
「それって…???」
順平も、
「課長…???」
「匂い。」
小埜瀬、
「です。」
佐津香、
「匂い。」
順平も、
「匂い…???」
佐津香、再び、
「匂い…って、嘘。…もしかして…、香水の事…???」
順平、
「あっ。」
小埜瀬、
「それ以外に…、考えられない。」
佐津香、今度は眉間に皺を寄せて、
「マジで…???…香水で…???」
順平、
「あ。でも…、佐津香さん。例え、香水を付けなくと、女性からは何かしら匂い。あるって言うじゃないですか。」
その声に佐津香、コクリと、
「あん。うんうんうん。あるけど…。」
そこまで言って佐津香、目をパチクリとさせて、
「えっ…???…それってまさか…。フェロモンの事…???」
瞬間、小野瀬、今度は下唇を前に、
「…ん…???…なんすか…、その…。フェロモン…???」
瞬間、佐津香、僅かに黙ったままで…。
「…あ、いや…。」
小埜瀬、小さく、
「…ん…???…フェロモン…???」
けれども顔を傾げて、
「あ…、いや…。そう…いうのは…、全く…。分かんないですけど…。…とにかく…、匂い。…しかも…。何とも心地いい。気持ちが良いんです。…だから…、逆に、朝から頑張れる。」
順平、ニコニコ、
「おほほほほほ。」
「でも…。」
小埜瀬、
「何で…???何で…、体がユラリと…、あんな風に…。」
佐津香、
「心地いい、そして、気持ち…、良い…かぁ~~。ん~~~。」
翌朝、休憩ブースで菜帆子と愛結美、
「え――――――っ!!!…匂い。」
目を真ん丸にして。
愛結美、
「しかも…、課長~~。煙草吸ってた~~~???」
菜帆子、前で左手を何度も振って、
「全然、煙草吸ってるとこ、見た事ないけど。」
愛結美、
「部長も吸わないし、順平も。当然、龍二も。」
菜帆子、
「うんうんうん。」
そして、
「…って言うか…、課長…、匂い。まっ。嗜み程度には…。」
愛結美を見て…。
愛結美も、菜帆子を見て、
「うん。…まぁ…。商売柄…。いつ、どこに行くかも分かんないし…。…逆に…、人を呼び込むためにも…。ある意味…、暗黙の了解って感じでの…。それが…エッセンスでも…、ある訳…だけど…。」
菜帆子、
「…ってか、課長…、どんな匂い…、に…???」
佐津香、
「それが…。何とも良く、分からない。…とにかく、匂い。」
そして、
「本人が言ってるんだから、まぁ…。仕方ないっちゃ~~。仕方…、ないんだ…けど~~。」
口をヒョットコみたいに。
菜帆子、
「匂いって…ったって…。」
佐津香と愛結美を交互に見て、
「昨日…、店で…???…私と…。佐津香さんと、愛結美さん…???」
そこまで言って菜帆子、また佐津香と愛結美を見て…。
数秒の沈黙。
3人共に。目だけを…。
菜帆子、ポツリと…。
「こ…う…す、い…???」
そして…3人共に、一拍置いて…。
また3人笑いながら手を振って、
「いやいやいやいや。ないないないない。そりゃないでしょ~~~。」
菜帆子、
「まっ。私だって、愛結美さんみたいに~~。嗜み程度には…。当然…。さっきも愛結美さんも言ったように、何処にどう…。…ってか…。ウチの部署で、香水をつけてない人っている…???」
愛結美、間髪入れずに、
「いない、いない、いない。戦略のひとつだも~~ん。…しかも…。ある意味の、マナーでもあるし~~。」
佐津香、腕組みをして、
「ん~~~。」
そして顔を傾げて、
「分からない。」
菜帆子、
「…でも、昨夜は、しっかりと、課長、お宅まで。」
佐津香、その声に、右手親指を、
「バッチリ。まっ。タクシーの中だからねぇ、倒れる心配もなかったけど…。」
菜帆子、愛結美、
「はははは。確かに。」
菜帆子、
「んじゃ、昨日の話…。形に。」
佐津香も愛結美も、コクリと、
「だ~~ね。」

好きになれない。 vol,146. 「匂い…って、嘘。…もしかして…、香水の事…???」
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