「課長、グルメには全く。…けど、奥様の方は…???」
可笑しがりながらの菜帆子。佐津香をチラリと見て…。
愛結美もクスクスと小埜瀬を。
小野瀬照れながらも、
「えぇ。…実は…まぁ…。そういう…。」
そして顔を上げて、
「だから…。…もぅ~~。いっつも、彼女がリード。僕は…着いていくだけ。」
菜帆子に愛結美、
「へぇ~~~。」
愛結美、
「じゃ…、奥様になるその彼女、かなり積極的だったんだ~~。」
小埜瀬、口をタコみたいにして、
「ま、まぁ…。えぇ。こんな僕の…どこが良かったのかも…、分かんないですけどね。ま、ただ…。妊娠した頃に、カミさんに言った事、あったんですよ。」
菜帆子、真顔で、
「ふむふむ。」
愛結美、
「わお。」
「こんな僕の…、何処が…???…そうしたら…。…絶対に怒らないって言ってくれたら教えてあげるって…。」
菜帆子、また佐津香を見てニコニコと。
愛結美、
「うんうんうん。…それで…???」
小埜瀬、
「カミさんが言うには…。初恋の人の顔に似ている。…って。」
その声に4人共に、
「へぇ~~~~。」
菜帆子、
「初恋の…人…、かぁ~~~。」
愛結美、
「…でも、その…、初恋の人って…。もしかして…、ハワイの人…???」
小埜瀬、その声に、
「なんで…しょうね~~。…でも、家の事情でか、お父さんの仕事…???…引っ越したって…。それっきり…。…だから、日本に戻って大学に入って、僕のその…、隣の子から誘われてラグビー…???…見た時、びっくりしたって。いきなり涙出て来たって。」
菜帆子、
「へぇ~~~。そういう事~~。」
「まっ。初恋の人の顔に似ているって言ったら、相手が嫌がるって、思ったんじゃないですか…。だから…、敢えて。」
愛結美、
「ん~~。確かに…。そういう気持ちも…、ない…訳でもないけど…。…でもね~~。」
菜帆子と佐津香を見て。
佐津香も菜帆子も2度程頷いて、
「うんうんうん。」
佐津香、
「今の時代…。」
菜帆子、
「そんな事、気にしてたら、恋愛なんて…。…ま。昔は、そうだった…かも、知れない。…って。逆に私だったら、目の前にイケメン、しかもナイスガイいて、そんな事言われたら、もぅ~~~。ウェルカム。」
両手を前に小指から人差し指に掛けて指を折るように。
「こっちの方から、頭を下げて、お願いします。だわ~~。」
佐津香、可笑しがりながら、
「うんうんうん。確かにね~~。頑張れ、頑張れ、菜帆子~~。もぅ~~。こんなに奇麗なのに~~。どうして~~~。」
菜帆子、そんな佐津香に、下唇ビロンと。そして、佐津香の左肩に右手を、2度頷いて、
「うんうんうん。ありがと。佐津香君。」
途端に佐津香、
「かかかかか。」
菜帆子、
「な~~んてね。」
愛結美、
「…って事は~~。課長の…、そのナイフとフォーク。じゃあ~~。奥様の影響…。」
小埜瀬、下を向いてフォークとナイフを見て、
「そう…ですよね~~。ま。…と、しか…。」
「…って、言うか、課長…、じゃあ~~。奥様と付き合ってからは…、デートでの…、食事って…。」
順平。
小野瀬、順平に、
「あ、いや…。」
顔を傾げて、
「…と、言うか…。恥ずかしながら…、デートのデの字も…。何をどうすればいいのかすら…。全く女性には無縁だったですから。誘われるがままに。そして、教えられるがままに。…って。」
菜帆子、まだ小埜瀬のスマホの画像を見ながら、
「ん~~。とにかく…奇麗。」
佐津香に見せて…。
佐津香も、
「うんうんうん。」
愛結美、
「その彼女に、課長は、その時は、着いていくだけ。」
小埜瀬、コクリと頭を。
「そうです。…いや…。だから…。そんな僕の…、何処が…。」
いきなり菜帆子、
「そりゃあねぇ~~。相手が…、目の前に初恋の人にそっくり。…ってぇ~~。なれば~~。女性、全力疾走よ~~。相手も、自分。課長が自分を受け入れてくれている。…ってぇ~~なれば、尚更~~。」
小埜瀬、
「そんな…もん…。なんでしょうね~~。…まっ。大学卒業して、すぐに結婚して…。それから3年後には子供が…。…で…。」
菜帆子と愛結美、
「甲状腺がん。」
佐津香、
「とにかく…。お気の毒。」
「そっか~~~。…そんな奥様だったからこそ。」
愛結美。
「課長…。それ以来…、女性…。」
菜帆子も、
「あん。なるほど…。」
佐津香、慰めるようにでもあり、小野瀬に顔を傾げて…。
順平、ゆっくりと顔を上げて下げて、
「なるほどね~~。」
小埜瀬、口を真一文字に、
「ん~~~。多分…。そういう…事…。なの…かも、知れないですね~~。まぁ…。あれから…、目の前には仕事、頭の中も仕事、ばっかでしたからね~~。」
菜帆子、
「おかあさんも…ほったらかしで…。」
その声に佐津香も愛結美も、小野瀬を慰めるように、柔らかい顔で…。
小野瀬、頭を撫でて、
「面目ない。」

好きになれない。 vol,142. 「彼女がリード。僕は…着いていくだけ。」
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