「ただ…。その…、母親も…、倅が中二の時に、脳梗塞で亡くなりましたけど…。」
小埜瀬。
瞬間、武一、体をカクンと。峻も同じようにカクンと。
ふたり同時に、
「あら。」
「おっと。」
奈菜、
「そうなんだ~~。お気の毒に~~。」
小埜瀬、口を真一文字に。そして、
「でも、まっ。倅は、おぱあちゃんが…。でも、その頃にはもぅ…、倅の場合は、殆ど、自分ひとりで…。」
峻、
「へぇ~~。」
武一、頷いて、
「うんうん。」
「私の場合も…。なんせ仕事がないと…。まっ。倅の事もあったんですが…。俺は俺で何とかするから、父さんは父さんの事。大丈夫だよ俺、人の道、外れる事はしねぇからさ。」
いきなり峻、ニコリと、
「へぇ~~ぇえ~。」
武一、
「なんとも。」
奈菜、
「凄いのねぇ~~。中学生で…。」
「…で。…それを良い事に、私も…。まっ。実に…、不甲斐ない…とは、思いながらも…。」
顔をペコリと。
「仕事に…。まっ。こういうのを…、仕事にかまける。と、言うんでしょうけど…。」
そして小埜瀬、
「はは。時々、耳にするんですよ。40になってひとり。45になってひとり。50になってひとり。…でも、子供はいる。…でも…。まっ。良いんじゃない…???…身軽で…。ってね。」
続ける小埜瀬。
「まっ。確かに、身軽ですよね。倅は倅で、もぅ~~。大学に入ればいきなり家を飛び出して、ひとり暮らし。」
またまた峻、
「へぇ~~。」
武一、
「えぇ。それは、ここに来る途中で。」
「小埜瀬さんが…。」
顔を傾げて何かしら考えている風に、奈菜、
「56~~。…と、言う事は…、お子さん、今…???」
「26っすね。」
小埜瀬、料理を食べながら。
峻、奈菜、
「26…かぁ~~。」
目をパチクリと奈菜、
「26~~~。…で…。」
また考えている風に…。
「…で…???…その、お子さんは…、ご結婚。」
「あ、いや…。」
食べながら小埜瀬、そして右手を振って、
「全く。…って言うより、父親に似たのか、向うも向うで、全く身を固める気もなく、アチコチ転々。」
奈菜、
「転々って…。ご職業は…???」
小埜瀬、恥ずかしながら、
「いや…。その…、倅の職業って聞かれると~~。これがまた、恥ずかしながら…。父親でありながら、全く。」
峻、武一も、
「うそ―――――――っ!!!」
「だから部長、たま~~に連絡してくるだけだって。」
その声に武一、申し訳なさそうな笑顔で、
「あ、あ。はは。確かに。」
奈菜、
「へぇ~~ぇえ~~。職業不詳で…。って…。表現は悪いけど…。そして、26歳。」
「まぁ~~。転々としているって事は…、企業には…、籍を置いてないと。まっ。たまには電話もしねぇとなって、向うの方から電話がある程度。まっ、可愛い子には、旅させろ…的な…???」
武一、困ったような顔で、右手を振りながら、
「いやいやいや。そういう意味じゃないから。」
すぐさま小埜瀬、
「はははは。」
そしてペコリと、
「お恥ずかしい限りで…。…ただ…。今日、午後から、ある事がありまして。」
その声に武一、
「ほぅ~~。」
「曾我野さんですか。」
武一、
「あ~~、はい。曾我野愛結美。小埜瀬さんが来る前に課長代理として…。今は、シニアマネージャー。」
「えぇ。その、曾我野さんが今日の午後。」
「ふん。」
「いきなり自己紹介って…、メンバーを…。」
武一、口を噤んで目を丸く、
「へぇ~~~。愛結美が~~。」
「えぇ~~~。まっ。午後からマーケティング事業部、何かしら、雰囲気が…、かなりナーバスに…。」
峻、
「けけけけけ。神経質ね~~。」
「完璧に。静まり返ってましたね~~~。」
「ま~~ねぇ~~。」
「私も、この空気、どうしたものかと…。部長もほら。最初は緊張すると思いますけど、慣れますよって。言ってくれましたけど…。」
困ったような笑顔の小埜瀬。
「何々…。実際…。」
焼き鳥を串から齧って引いて、そして口の中に、モグモグと。2度頷いて、
「まっ。それもありなん。」
また頷きながら。
「小埜瀬さん、ウチの事業部の…、最年長になりますから。」
峻、
「えっ…???…そうなの…???」
奈菜、
「まっ。確かに。マーケティング事業部、確か…。メンバー全員、20代、30代。」
ビールを飲んで武一、
「そっ。課長代理だった曽我野が37歳。最も…、曾我野の前の課長が、須賀野谷愛衣(すがのやあい)と言って、これまた40手前。まっ。実際は、彼女が、新人たちを育ててきたようなもんなんですけどね~~。」
奈菜、
「あは。うんうんうん。愛衣ちゃん、懐かしい~~。今、大阪だっけ。」
武一、
「そぅ。半年前にね~~。故郷の大阪に。部長就任として。まっ。曾我野を課長に…、と言う、話もあったんですけど…。…もう少し、様子を見ようと…。そこに。」
小埜瀬の左肩をポンと。
「そのポストに。ナイスタイミングでドンピシャ。」
奈菜、
「愛衣ちゃん、お酒入ると関西弁丸出し。しかも、奇麗で声もいいから~~。はははは。」

好きになれない。 vol,024. 「いきなり自己紹介って…、メンバーを…。」
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