「…これからも…、真輝君。傍に…、いて…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 「私…。いきなり目を…。」
柚香。

真輝は、
「……。」

「でも…。どうしてか、私。目を閉じたんだけど…。また開いて、その場面を見てる。おとうさんと、おかあさんの…、顔…、姿は…、見れなかった。…そして…、後ろの席の…。陽織の顏も、助手席のシートと、チャイルドシートに挟まれた状態で…、見えなかった。…でも…、私は…。…確かに、チャイルドシートも、運転席のシートにぶつかってて…。私も…、悲惨な状態だった…みたい。…でも…。何故か、私の目が、その場から離れる事がないの…。物凄い恐い。」
震えながらの柚香。しかも、心臓の高鳴る感覚。

そんな柚香を右腕で抱き締めながらの真輝、黙って柚香の話を…。
濡れたままの服。髪は既に雨に濡れてボサボサ。

けれども柚香は話す。
「でね。その後…、ドアが何かで壊されて…。運ばれていく…。…でも…、おとうさんとおかあさん、そして、陽織の顏は見えないまま。…そして、私も…。…そのまま、救急車に運ばれて…。凄いよ。車は悲惨なほどに大破。大型のトラックとダンプに挟まれて。突っ込んで来たダンプは左斜めになってた。」

真輝、
「……。」

柚香、まっすぐ前を見て、
「そんな…夢…???…恐い。」
柚香、頭を少し後ろに、真輝の右胸に押し付けるように。
「…でね。…そしたら今度は、病院。私には分からない。そして、知らない景色が…。私が…、陽織になってる。」

その声に真輝、
「えっ…???」

「陽織がエンカントに行って働いてる。」

真輝、また、
「えっ…???」

「でも、私が何度も陽織って呼んでも、聞こえない。他の人にも…、聞こえない。そして…、メグや真輝君と一緒の陽織にも、ふたりの名前を呼んでるのに、聞こえない。もちろん、藪岡先生や亮輔さんや阿須賀さんにも…。」

真輝、柚香の話に…。
「じゃあ~~。今の…。…もしかして…、雨と、雷の…。…まっ。確かに、現実に…、見た訳じゃないけど…。ただ。…過去の記憶が…。」

柚香、コクリと頭を…。そして、
「私の…記憶にはない。現実に、私自身、見た事がない。」

「そんな…。」
「…でも…。…でも…。…私が…、陽織になった時…???」

真輝、その声に、
「うん。」

「そんな時…。…必ず、陽織、ひとりじゃなくって…。誰かが…、必ずいた…、みたい。」

真輝、
「……。」

「もちろん、それは、おぱあちゃん。」

真輝、頭をコクリと、
「う、うん。」

「そして…。メグもいてくれたみたい。」

真輝、その声に、
「うんうんうん。確かに。いた。」

「そして…。」
柚香。

「亮輔さんや阿須賀さんもいたみたいだけど…。…でも…。」
「でも…???」

柚香、頭をコクリと。
「…でも、何故か…。…どうしてか…、陽織から私に戻った時に…。…傍にいてくれたのは…。」

柚香、僅かに、頭を右上に…。
真輝の顏は…、見えないが…。

「真輝…君。」

瞬間、真輝、柚香の体を自分の体で、感じながら、
「あ、あ、あ。…あ、う~~ん。…確かに…。僕…。」
そしてまた、
「うん。確かに。いた。みたい。」

「だから…。」
また柚香、話始める。
「だから…。」

真輝、
「だから…???」

柚香、また頭をコクリとして、
「うん。…だから…。…これからも…、真輝君。傍に…、いて…。」

その声に真輝、思わず口を窄ませて…、
「え…???」

柚香は…、黙ったままで…。声が…ない。

真輝、ポツリと、
「いいの…???」

その声に柚香、また、頭をコクリと…。

真輝、今度は、両目…、顔はそのままで…、目だけ右左に…。
「僕で…。…いいの…???」

瞬間、ようやく柚香、真輝の体から離れて一回転して真輝に、
「いいに決まってるよ。私には、真輝君しかいない。」
真輝の右肩に右拳をトン。そして今度は額を真輝の右肩に。
そして真輝の右に、壁に柚香、背中を…。そして真輝の肩に頭を…。

柚香、
「濡れちゃったね~~~。」

真輝、頭をコクリと、
「確かに。」

「乾くまで…。」
「すぐに乾くさ。ほら。」

確かに。あの天気が嘘のように、空は晴れ渡っている。

柚香も、
「眩っぶしぃ~~~。」

ワンピース姿の柚香も、ジーンズを穿いている真輝も…。

ふたり、共に、両足をまっすぐに伸ばして…。

柚香、
「乾くまで…、もう少しだね~~。このまんまで…。」

真輝の右肩に頭をもたらせたままで…。

その声に真輝も、柚香の頭に、
「うん。…だ~~ねぇ~~。」




それから…。確かに、ジーンズはまだ…、手で触れば…、ぬめり感が…。
けれども柚香のワンピースは何とか。


真輝と柚香、お互いにニッコリと、
「うん。」

真輝、
「んじゃ。」

柚香、
「行くか。」







世田谷駅からの帰りは幸乃が車で駅まで。
そして、まずは真輝の家に。幸乃、真輝の母親にだけ挨拶をして、そのまま自宅に…。


柚香、
「ふぅ~~~。」

幸乃、
「ほんと。大変だったね~~~。」

その声に柚香も、
「マジで凄かった。いきなり土砂降り。すぐにピカ、ババ~~ン。あんなの、見た事な~~い。」








LIBRA~リブラ~   vol,203.   「…これからも…、真輝君。傍に…、いて…。」

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