愛実との電話を終わり、柚香、
「ふぅ~~~。…た~~くぅ~~。」
椅子から立ち上がり、スマホを持ったままでベッドに腰を…。
「真輝君、今頃…。」
口を搾って…。けれども自然に、スマホを指でトン。
2回のコールで真輝が出る。
「あ、はい。柚香さん…???」
「あ、私~~。」
真輝の声、
「あ、うん。」
「パスポート、ゲット~~~。」
スマホから、
「はは。そっか~~。うんうんうん。フランス~~。」
そして、
「もぅ…、日程は…。」
「うん。出来るだけ早いうちに…って言う事だから…。藪岡先生。」
「あっ。そっか。」
そこまで言って真輝、
「…でも…、柚香さん、ひとりで…、その…、フランス…???」
「ううん…。多分…、それも藪岡先生、お膳立ては。」
真輝、
「だよね~~~。…でも…。やっぱり…、フランス…。」
その声に柚香、笑顔で、
「うん。行ってみたい。」
「はは。」
僅かに沈黙。
そして、柚香から、
「でさ。」
「うん…???」
「ちょっと…。真輝君に…、頼みがあるんだけど…。」
「ふん…???」
柚香、
「まぁ~~。パスポートも取れた…。でぇ~~。」
「うん。」
「初めての…、フランス。」
真輝、また、
「うん。」
「それで…。…なんだ、けど~~~。」
「うん。」
「明後日の、日曜日って…、真輝君…。何か…、予定…。」
「明後日の…、日曜…。」
真輝、自然に顔を右のドアの脇のカレンダーに…。そして、
「あ、いや…。別に…。何も…。」
思わず…、口を窄める真輝。
柚香、
「あ、別に…、予定があったら…、別に…。いいんだ…けど~~。」
僅かに顔を赤らめる柚香。
真輝は目をパチクリと。
そして真輝、こちらも僅かに顔を…。
柚香、スマホに、
「…でね。…初めてのフランス。…あ、ごめん。同じ事…。」
「あ、ううん…。」
「でね。」
柚香、
「その…。…あのさ…。」
「うん。」
「その…。…買い物…、付き合って…くれるのって…。」
いきなり真輝、
「えっ…???」
途端に柚香、
「あ。」
顔を小刻みに左右に、左手をひらひらと。
「いや。別に…、予定があるんだったら…。」
真輝、
「あ、あ、あ、あ~~~。」
柚香、顔を少し、落として、
「どうかな…って…???…思ったりして…。」
いきなり耳に飛び込んで来た声。
「行きます。」
しかも、小さく。
柚香、
「えっ…???」
真輝、鼓動が高鳴っていた。
「行きます。」
そして、
「うんうんうん。行く行く行く。」
途端に柚香、
「えっ…???…いいの…???…一緒に…???…大丈夫…???…迷惑じゃ…。」
真輝の声、
「いやいやいや。全然。全然。迷惑なんて…。行く行く行く。」
すぐさま柚香、
「あは。ありがとう~~。」
真輝、
「はは。うんうんうん。大丈夫、行くよ~~。」
「サ~~ンキュ~~。助~~すかった~~。…メグからは断られちゃったから~~。」
「愛実さんから…???」
キョトンとして真輝。
「うん。」
柚香、
「彼氏と、会う約束~~。」
真輝、
「あ。な~~るほどね~~。さすが。愛実さん、彼氏。いるよね~~。」
「ふん。大学で知り合ったみたい。将来、映画監督。」
「へぇ~~。凄ぇや。愛実さんは、確か…、女優志望って…。」
「そぅ~~。メグも今、結構ね~~。」
「そっか~~~。」
「うん。…じゃあ~~。明後日、駅で…。時間は~~。……。」
真輝の声、
「うん。OK。それで…。うん。分かった。」
通話は切れる。そのまま柚香、愛実にライン。そして返事は…、
「はは。OK~~。頑張りな。」
そのメッセージに、
「こんにゃろ。」
真輝、少し放心状態。…10秒後、いきなり、
「やった――――――――っ!!!」
そして、翌日。大学でのお昼。
絢美と心都に、遂に柚香。
「え―――――――っ!!!柚香、フランス―――――――っ???」
と、大声を…。けれどもその瞬間、すぐさまふたり、体を縮こまらせて、
「ごめん、ごめん。つい大きな声で…。」
柚香、
「あ~~、うん。…でも、仕方ないよ。いきなりだもん。」
そんな柚香に心都、
「いやいやいや。…って。…なんでまた…、いきなりフランス…???」
柚香、その声に、
「なんだよね~~。大学側にも、その事で…。」
絢美、おかずを食べながら、
「うんうんうん。」
実は柚香、フランス行きの事を大学側には、「心の病」として…、何とか許可を…。
けれども大学側は、医師の診断がないと許可は出せないと。
仕方なく柚香、藪岡に電話を…。
そして…、結局は…、
「この際、事実を話した方が…。私が全面的にバックアップする。…但し、この事は、大学側でも…個人情報として…。」
と、言う事で、大学側としても、精神科医の直々の…診断書。
今の柚香の症状を、認めざるを得なく…。
そして、今、大学で最も大事な友達のふたりにも、遂に…。
そしてふたりから返ってきた言葉が…。
「うそ――――――っ。柚香が…。解離性…。」
「あの…。二重人格…って…。多重人格…。別の人格が…。」
絢美と心都、顔を見合わせて…。
絢美、
「じゃ、じゃあ~~。もしかして…。私たちとの時も…???…その…、柚香、妹の…???」
柚香、その話に、頭をコクリ。
心都、目を真ん丸に、
「いや…。はや…。凄~~~~。」

LIBRA~リブラ~ vol,200. 「ちょっと…。真輝君に…、頼みがあるんだけど…。」
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