柚香、笑いながら、
「うんうんうん。確かに。藪岡先生。…確かに、渋いよ。あの顔に、口髭、顎髭だもんね~~。それに…貫禄もあれば、それでいて、優しい。」
愛実、その話に、
「うんうんうん。言葉も奇麗~~。」
そして愛実、
「でさ。でさでさでさ。」
柚香、
「うん。」
「真輝君も言ってたけど…。…衝撃…???」
顔を傾げて…。
「まっ。確かに、前に、陽織ちゃん、柚香に戻った時、ベンチに体育座り。…でぇ~~。体を前に。で、その瞬間、前に倒れそうに、…転びそうになって…。」
「うん。」
「…で…???真輝君、陽織ちゃんと新宿に行った時も。」
柚香、顔をコクリと、
「うんうんうん。真輝君、後ろから大柄の男性が、背中にドン。…で、陽織、倒れそうに…。」
「同じ…、ような…。」
「でも…。私が…、陽織になるときは…。」
両眉の先端を吊り上げて、
「ん~~~。」
「てか、ユズ~~~。」
そんな愛実に柚香、目をパチクリさせながら、
「うん…???」
「うんじゃないよ~~。あんた、真輝君の事~~~。」
またまた柚香、鳩が豆鉄砲を食ったように、
「はっ…???」
「何が、はっ???よ~~。あんた、もぅ~~~。いい加減に。」
いきなり柚香、
「いや。いやいやいやいや。いや。いい加減にって…。何ぃ~~。」
愛実、右眉を歪めて、
「…た~~くぅ~~。この子は~~。」
そして、
「まっ。しゃあ~ないって、言えば、しゃあ~ないんだけど~~。」
「な~~によ~~。」
「傍から見てるこっちの身にもなってよね~~。」
「だから~~~~。」
けれども愛実、
「はいはい。…で…。」
次の日。そして、その次の日も、特に変わりなく…。
柚香は柚香のままで…。
ところが…。
日付が変わって…、夜中の2時…、もうすぐ時計は3時に…。
「おかあさん。おかあさん。」
突然、女性の声。
しかも、聞き覚えの…。その声に幸乃、目を…。
すると、今度は、
「かあさん。かあさん。」
幸乃、思わず体を起こして…。そして、右肘を布団に。
「えっ…???」
すると、目の前に、薄っすらと…。
幸乃、瞬きして…。
その時、2階では、いきなり体が…。
「わっ!!!」
幸乃、目の前に…。
そして…、
「おまえたち…。」
幸乃の目の前に薄っすらと現れた…。
死んだはずの柚香の母親、萌衣。
そして、柚香の父親、幸乃の息子の裕司の姿。
25歳の、事故に遭った当時の姿で…。
そしてまた、幸乃、
「おまえたち。」
萌衣、
「ごめんね、おかあさん。3か月。3か月だけ…。」
その声に裕司もゆっくりと頷き、
「かあさん。お願い。」
そして、萌衣も裕司も、再び幸乃に頭を下げて、そのまま姿は…闇の中に…。
幸乃、何の事か…。
気付けば朝になり、目が覚める幸乃。顔を傾げて…、
「夢…???…それにしても…。…あのふたり…。」
2階では…。
目を覚ます柚香。けれども、何故か、頭がボ~~~ッ。
そして、ガッシリと目を閉じて、
「ん~~~。なんだったんだよ。あれ…、夢~~~???…いきなり体毎、ド~~ン。いきなり目が覚めて…。…けど、また…。」
瞬間、
「えっ…???…うそ。」
陽織に変わっていた。
「えぇ~~~ぇえ…???」
朝、6時。陽織、階段を下りて、台所に。
「おばあちゃん。」
「…ん…???」
幸乃、声に振り向いて…。
すると…、顔をクシャリとさせた…。
幸乃、思わず口を噤んで。3秒ほど。
…けれども…、幸乃、ニッコリと、
「うん。陽織、いらっしゃい。」
両腕を広げて。
そんな祖母に陽織、僅かに目を赤く、そして、いきなり祖母に飛び込んで、
「おばあちゃ~~~ん。」
祖母を抱き締める。
幸乃、そんな陽織を、しっかりと抱き締めて、
「うんうん。うんうんうん。」
そして陽織の頭を撫でて、
「いいんだ。いいんだ。うんうんうん。陽織~~。あんたも、私の大事な孫だよ。」
けれども陽織、泣きながら、
「だ~~って、だ~~って、お姉ちゃ~~ん。」
「大丈夫、大~~ぃ丈夫だ。柚香もきっと。大丈夫だ。うん。」
既に…、何回目、だろうか…。柚香が…また、陽織に…。
わずか…。3日目の…、朝だった。
陽織からのラインで…。
またそれぞれが…、
「うそ。…たった、3日…。いや…。えっ…???…なんで…???」
藪岡、朝食の食卓で、
「どぅいう事だ~~。ようやく柚香さんに戻って…。まだ…。そして、今、また…。」
そんな夫に、
「どうしたの~~???…朝から、そんな…、深刻な顔して…。」
妻の有美香。
「あ、あ~~。…実は…。僕の…患者…では、ないんだが…。解離性同一性障害に、悩んでいる人がいてね。」
「解離性同一性障害…。あぁ、あの…、多重人格…の…???」
「ん~~。…今、目下、その障害が、続いてる。今朝、起きたら、また、意識が、別の人格になっている。」
有美香、目を真ん丸に、
「大~~ぃ変。…けど…。患者さんじゃあ、ないって…。うん…???」
その声に海路、
「あぁ。」

LIBRA~リブラ~ vol,167. 「傍から見てるこっちの身にもなってよね~~。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
