「おばあちゃん、ただいま~~。」
柚香、玄関に。
小走りに幸乃、
「柚香~~~。」
そして柚香を抱き締めて、
「ははははは。良かった~~~。」
そんな祖母に柚香も、顔を祖母の胸に埋めて、
「うん。うんうんうん。はは。」
幸乃、自分の胸から顔を放した柚香に、
「…でも、どうやって、陽織から~~???」
その声に柚香、顔を傾げて、
「ん~~~。それを聞かれると…、ん~~~。私も…、分かんないんだけど~~。真輝君にも全く。」
「電話だと、新宿で、柚香に。」
柚香、その声に、頭をコクリと、
「うん。」
「まま、とにかく、良かったよ~~。戻って~~。」
そして柚香、廊下を…。
そして茶の間に。仏壇に。
そして正座をして、
「おとうさん。おかあさん。ただいま、帰りました。」
そして…、両親の写真の真ん中の…、2歳のままの陽織の顔写真に、
「陽織~~。…私は…、陽織には、会えないけどさ。もし、今度、また、真輝君やメグに会ったら。…その時は、よろしく。」
そんな柚香を見て幸乃、
「おばあちゃんも、あれから、藪岡先生と熊沢先生に電話したんだよ。とにかく良かったって。」
柚香、祖母を見て、
「うん。」
「まっ、でも…。こればっかりは…。いつまたおまえが陽織に…。」
「なんだよね~~~。こればっかりは…。…でも。」
柚香、腰を上げて、
「今は。そんな事言っても…、全然、埒が明かないもん。…こぅなった以上は~~。…とにかく…。」
そして柚香、祖母を見てニッコリと、
「落ち込んでなんていられない。もぅ~~。成り行き任せ。先生たちにだって、今の状況の打破なんて、皆目。」
幸乃も、そんな柚香の声に顔をクシャリとさせて、
「そぅなんだよ~~。」
「でしょ。…だから、この際。…って言うかぁ~~。」
途端に柚香、空を見て、ふと…。
「うん…???」
右目を歪めて、
「うん。…うん…???」
幸乃、
「なんだい。」
すると、思わず柚香、
「かかかかか。はっは。はははは。あ~~っはっはっはっ。くくくくく。」
そんな柚香に幸乃、両眉の先端を吊り上げて、
「どうしたんだぃ。」
柚香、祖母に面と向かって。そして、祖母の両手を取って。
「おばあちゃん…???」
幸乃、目をパチクリと。
「うん…???」
「こ~~んないい事、ないよ~~。」
「は…あ…???」
すると柚香、
「だ~~って~~。だってよ、おばあちゃ~~ん。確かに、私が陽織に変わるって言うのは、大変な事だよ。まず、有り得ないし、病気…???…何かの症状のひとつ…???…かも、知れない。」
幸乃、また目をパチクリと。
柚香、
「でもさ~~。この…病気…???…症状…???…これがさ。もし万が一にでも、陽織じゃない、全く別人。しかも…、何処の誰かも分かんない。そんな人だったら、おばあちゃん、どうする…???…それこそ、パニックだよ。毎日、ノイローゼになっちゃう。…けど…。陽織だよ。私の妹の。ひ・お・り。」
その話に幸乃、目をパチクリと…。そして、顔をコクリと、
「うん。うんうんうんうん。」
柚香、嬉しそうに、
「妹の陽織が私に~~~。かかかか。これって、最高じゃない~~~。かかかかか。2歳の陽織が、現代の私に…。おばあちゃん、私が陽織になっても、陽織の事。」
そして柚香、祖母にニッコリと、
「ふふ。」
そんな柚香を見て幸乃、自然に…、目が虚ろに…。
やがて…目は熱く…。
そしてニッコリと…。
「柚香~~~。」
柚香、そんな祖母を見て、ニッコリと、そして顔を傾げて、
「うん…???」
目から一滴の涙。幸乃。そして柚香を抱き締める。
「はは。おまえは、大したもんだよ。はは。」
そして、鼻を啜り、
「そんな…考え方。思いもしなかったよ。」
柚香も祖母に抱き締められて、頭をコクリと、
「うん。うんうんうんうん。」
そして、
「私…、陽織の分も、生きてきたもん。他の…、誰かより、陽織だもん。その方が、断然私は、いい。」
そして柚香、祖母の体から離れて、
「その方が、ウェルカムだよ。おばあちゃん。」
その声に幸乃も、流れた涙を両手で拭いながらも、
「うん。良く言った。それでこそ、私の孫だよ。」
ニッコリと。
柚香も、笑顔で、
「うん。」
そして…翌日…。
スマホの着メロで目が覚めた。
「ん、ん~~~。もしもし。」
スマホから、
「…ってぇ~~事は、ユズ~~~???」
その声に、
「あ、あ~~~、メグ~~~。」
またまたスマホから、
「キャッホ――――――ッ!!!変わってな~~~い。…んもぅ~~。心配で心配で~~。昨日は私、夜遅くまでなんだかんだで…。」
「あ~~。うんうんうん。従姉の結婚式~~。」
「うんうんうん。これがもぅ~~最高っ。素敵なんてもんじゃない。盛り上がり過ぎ~~。」
柚香、その声に、
「はは。うん。」
「今日、これからユズん家行くけど。いい…???」
「あん。うん。いいよ~~。」
瞬間、
「もしかしたら…、陽織になっているかも…。」
「あ~~ん。意地悪。」
「かかかか。」

LIBRA~リブラ~ vol,138. 「…私は…、陽織には、会えないけどさ。」
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