「それからだよ。」
真輝、柚香を見て、
「なんだかんだと…。」
柚香、口を尖らせて、
「ふ~~ん。そっか~~。」
真輝、
「僕、愛実さんのスマホの番号知らないし…。」
柚香、前を向いたままで、
「確かに。」
「陽織ちゃん。その時はまだ何も分かんなくって…。」
前を向いたまま柚香、顔をコクリと、
「うんうんうん。」
「その時も、いきなりスマホ、つまりは柚香さんのスマホだけど…。」
「あ~~。うん。」
「いきなり音がしてビックリしたんだって。」
瞬間、柚香、真輝に向かって、
「はっ???」
「いや、だって。」
真輝、
「電話すら知らないんだよ、陽織ちゃん。まだ、世の中の事、何にも…。」
柚香、その真輝の話に、
「あ、あ~~。う~~ん。だよね~~。」
「そんな時に、おばあさんが部屋に。…で、その時に、柚香さんが陽織になっていたって初めて…。」
柚香、思わずバッグの上に両肘を。そして両手に顎を。
「そういう事かぁ~~。……。…で…???…陽織って、どんな感じ…???」
その声に、真輝も腕組みをしながら…、
「ん~~。なんとも…。…つっけんどん…???…な、感じ…、なのかな~~。」
その声にいきなり柚香、バッグに両肘を突いたままで、
「つっけんどん…???」
「うん。」
一度柚香を見て、今度は前を…。
「なんか…、何を言っても、ツンとしているって言うか~~。ふん。そっ。…で…???…っていう…、そんな…。…あんまり、人の事に興味を持たないって言うか~~。」
柚香、そのままの姿勢で、
「ふ~~~ん。」
「あっ、それと…。」
そのままの姿勢でまた柚香、真輝を見て、
「うん…???」
「名前なんか…。」
柚香を見て、
「呼び捨て。」
瞬間、柚香、
「はっ…???…呼び捨て…???…うそでしょ。」
すぐさま真輝、目を閉じて顔を左右に、
「ううん。しっかりと、呼び捨て。僕の事も真輝って。…それに、亮輔や阿須賀さんも、そのまんま、呼び捨て。」
いきなり柚香、
「わ~~~。」
途端に、バッグから肘を放して、またシートに体を。
「凄いね。呼び捨てって…。」
真輝、腕組みをしたままで、
「ん~~~。…けど…。…但し。」
「但し…???」
「凄い記憶力。」
「記憶力~~???」
「今朝なんて、茶の間で新聞見ていた。」
「新聞…???」
「しかも、僕が行った時には、ほぼ、全ページ、読んだみたい。」
途端に柚香、
「うっそ。」
「ま~~。昨日一日、おばあさんと一緒で、何がどうなって…、いるのかは…、僕も分かんないけど…。」
「あ、あ~~。ん~~。確かに。」
その時、ふたり同時に、
「あっと。乗り換え。」
ふたりまた同時に、
「あ、うん。」
そして、ホームを歩きながら…。
真輝、
「あ、そっか。」
柚香、
「ん~~???」
「でね。」
真輝、柚香に。
「で~~。陽織ちゃん。」
「うん。」
「その新聞を読み終わってすぐに。」
柚香、真輝を見て、コクリと、
「うん。」
「ヨシ。真輝、どっか連れてけって。…でぇ~~。出掛ける事になったんだ。」
「へぇ~~。」
そして…。東京スカイツリー駅。
真輝と柚香。目の前の塔を見て、瞬間、
「でけぇ~~。」
「でっか。」
見上げるふたり。数秒沈黙。
そして…、柚香から、
「えっ…???」
真輝を見る。
真輝も、柚香を見て、
「えっ…???」
柚香、
「えっ…???…あっ…。えっ…???」
真輝、そんな柚香に、
「えっ…???…いやいや、何…???」
柚香、目をパチクリと、
「…って言うか…???」
真輝を見て、スカイツリーを見て、
「えっ…???…真輝君。…もしかして…。」
真輝、柚香を見て、
「うん…???」
「スカイツリーって…、初めて…???」
その声に真輝も目をパチクリさせて、
「えっ…???…あ、いや…。」
そして…、顔をコクリと。
「…う、うん…。…全くの…、初めて…。」
瞬間、柚香も、いきなり顔を下に、
「ぶっ。」
真輝、
「えっ…???…んじゃ…、柚香さんは…???」
その声に柚香、真輝の顏を見ずに、顔を下に、のままで、
「くくくく。…かかかかか。」
そして、今度は顔を右左に。そして真輝を見て、右手を上、そして下に。
「もぅ~~~。真輝君。スカイツリーに行くって言って、行った時あるのかと思って私~~。」
その声に真輝、
「えっ…???」
真輝、また目をパチクリと…。
柚香、「…った~~く~~。」
意地悪な目で柚香、今度はグシャリとした顔で、
「私も~~。」
真輝を右手で張り倒すような仕草で、
「初めてなんだよ~~。」
真輝、そんな柚香の素振りに、
「お~~~っと~~。うそ…???」
「真輝君、スカイツリーに来た時あるのかと、思った~~。」
「いやいやいや。」
真輝、顔の前で右手を振り振り。
「初めて。今が、その初めて。…いや…、確かに、出来たのは…、結構…前だけど…。中々…どうして…。友達と…スカイツリーって…。」
恥ずかしそうに…。
「…まず…。…ないかな~~。…で…。家族と…???」
顔を傾げて、
「まず、有り得ない。」
途端に柚香、
「ぷっ。」

LIBRA~リブラ~ vol,133. 「陽織ちゃん。その時はまだ何も分かんなくって…。」
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