愛実、スマホに、
「いえいえ。」
そして藪岡、
「あ。…と、言う事は、まだ…、柚香さんのおばあちゃんには…???」
「あ、いえ…。」
愛実、スマホに手を…。そして柚香と真輝に、
「ねね、おばあちゃん。」
柚香も真輝も、
「あ。」
すぐさま愛実、スマホを真輝に。
真輝、
「あ、うん。」
そしてスマホを。
「先生。」
藪岡、スマホに、
「あぁ…。実は…、その事なんだけど…。…あれから…。…つまりは、真輝君から電話があって…。」
真輝、その声に、
「あ、はい。」
「すぐに柚香さんのおばあちゃんには僕の方から電話、入れさせてもらったんだ。」
真輝、目をパチクリと、
「あ、あ~~。」
買い物帰りの50代くらいの女性。自転車の籠に買い物袋。
こちらは犬の散歩。初老の男性と孫だろう、小さな女の子を連れている。
真輝、スマホを耳から外して今度は今まで座っていたベンチに腰を下ろしてスマホのスピーカーを、
「そう…ですか~~。」
そんな真輝に近づいての愛実と柚香。
真輝、
「先生、おばあゃんに、話したって。」
愛実、
「えっ…???」
柚香、思わず目をパチクリと。真輝と愛実を見て、
「……。」
真輝、
「スピーカーにした。」
愛実も柚香も、
「う…、うん。」
スマホから藪岡、
「あ…。柚香さん。」
柚香、
「あ、はい。」
「申し訳ない。自分勝手な事をして。」
柚香、
「あ、いえ…。…あ、でも…。実を言うと、私も…、おばあちゃんには話さなきゃって。…実は今日。」
「うん。」
「以前、私と真輝君が入院していた。」
スマホから、
「あぁ。」
「長篠観音病院の…。」
「うん。」
「その時に私の…。熊沢先生に会って来たんです。」
「ほぅ。…で…???」
「おばあちゃんは、何も言ってくれないから…。実際に私、先生にって思って。」
「うん。」
「そしたらやっぱり…。病院で私、陽織に。」
「そっか~~。」
柚香を見つめる愛実と真輝。
愛実、真輝を見て、口パクで、
「そうなの…???」
真輝、愛実にコクリと。
愛実は黙って頷く。
柚香、
「…で、先生は、おばあちゃん、私が心配するだろうって…。だから、何も言わないんだろうって。」
スマホからの声、
「うんうん。僕とおばあちゃん、スマホで話した時も、おばあちゃん、凄い困惑していた…、感じだった。…で、今、柚香さん、陽織さんに代わってるって話して…。」
「えぇ。」
「…申し訳ないが…。かなり…、動揺…。…でも、まっ。何とか…。」
「あ、はい。」
「…う~~ん。まっ。これが、良い切っ掛け…なのかも、知れない。…今回の事で…。」
柚香、スマホに向かって、
「あ、はい。…そうですね。」
真輝、スマホを見て、柚香を見て。
スマホから藪岡の声。
「おばあちゃんには…。」
真輝、
「話した方がいい。僕も一緒に。」
その声に愛実も、
「あ。私も。」
藪岡、思わず、
「はは。うん。そっか。…ありがと。」
柚香、真輝と愛実を見て、
「真輝君。メグ…。」
「…って言うか…。」
真輝、
「実際、僕も陽織ちゃんとは話、してるし。」
「それを言うんなら、私も…。」
「確かに。」
スマホから。
「実際に陽織ちゃんと話している人が、説得力はある。…とは言え、おばあちゃんも、既に陽織ちゃんとは話している訳だけど…。」
少し間を置いて…。
柚香、
「ですよね~~。」
真輝、
「じゃ。早速。」
愛実も、
「だ~~ね~~。」
スマホから藪岡、
「わざわざ、電話、ありがとう。」
真輝、
「ありがとうございました~~。」
愛実も柚香も、
「ありがとうございました~~。」
スマホから、
「じゃあ、切るね。」
真輝、
「あ、はい。」
通話は切れる。
そして、立ち上がり、
「さてと。じゃ。」
愛実、
「だね。」
柚香、顔をコクリと。
「うん。」
既に幸乃は熊沢と電話をして、一部始終…。
けれども、熊沢の声を反芻しながらも、
「…柚香さん。彼女自身、知りたがっています。この際。…と、言うより、今は…。とにかく、向き合うしかないと…。多分、これからも、今の状態。…つまりは、柚香さんが陽織さんに。そして陽織さんから柚香さんに。それは、繰り返されると思います。…何か、突拍子もなく、ある切っ掛けがない限りは…。…それは、私にも分かりませんが…。」
幸乃、声を思い出しながらも…。けれども何とか気を奮わせて、台所で…。
そんな時だった。玄関から声が…。
「ただいま~~。」
そして、男女の、
「お邪魔しま~~す。」
廊下を通って…。
柚香、真輝と愛実に茶の間に。
愛実と真輝、頷いて…。
そのまま柚香は台所に。
「おばあちゃん。」
料理の最中の幸乃、その声にいきなりビクン。頭の中で、
「…柚香。」
柚香、
「ちょっと、話があるんだけど…。」
幸乃、後ろに振り向いて、
「うん…???」
「メグと真輝君もいるの。」
幸乃、優しそうな顔で柚香を…。そして、
「うん。そぅかぃ。」
そして蛇口で水を。手を洗って布巾で拭いて…。
柚香、茶の間に。

LIBRA~リブラ~ vol,096. 真輝、「先生、おばあゃんに、話したって。」
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