陽織、まだ泣きながら…。
そして今度は藪岡に体を凭れるように、思いっ切り顔をグッシャリとさせて、
「う~~~~。」
涙がとてつもなく出て来る。
藪岡、そんな陽織を抱き締めるように、
「よしよし。うんうん。そうだね。陽織ちゃん、知っちゃったね。うんうん。大丈夫だ、大丈夫だ。」
それから20分ほど…。ようやく泣き止んだ陽織。けれども体は茫然と…。
藪岡、
「やばいな~~。…このままだと…。」
ルシア、
「ん~~~。ウチで、休ませてもいいけど…。それだと…。…もしかして…、朝まで…。」
「ん~~。」
藪岡、
「ん~~~。困った~~。…この状態で、陽織ちゃんひとりで…。家に…。」
考えた末…。
「仕方ない。」
そして藪岡、ルシアに、
「今日は…、陽織ちゃん、ここ、どうしようもないだろ。」
ルシア、その声に頷いて、
「…の、ようね~~。」
「俺…、タクシーで送ってくわ。」
ルシア、また頷いて、
「そうね。…そうしてくれる。」
陽織、何かしら、泣き疲れたか、藪岡に凭れながら…。
ふとルシア、目をパチクリと、
「へっ…???…って、藪さん、陽織ちゃんの家って…???」
瞬間、藪岡、思わず顔が…、フリーズ。
「えっ…???…あっ…???」
そして、今度はガクッと頭を…。
「そっか~~。」
思いっ切り顔を顰めて。食いしばったような顔で、
「…かぁ~~~。そうだ、そぅ。俺、家…、知らねぇんだ~~。あっちゃ~~~。」
そして藪岡、顔を右に、左に…。…すると…。
「…待てよ。…もしかして…。ルシア。」
「うん…???」
「陽織ちゃんって、何かバッグ…。スマホ…。」
その声にルシア、困ったような顔をして、そして左右に振る。
「ううん。…多分、何も持ってないかも…。」
そして陽織に貸してあるロッカーを開けると…。
「やっぱり…。着てきた洋服しか…。バッグなんて、何処にも…。」
その声に藪岡、またもや顔を顰めて。
ルシア、
「どうする…。」
「バッグも…なしか…。」
額に右手を…。そして、
「…と、なると…。」
藪岡、壁の時計を見て、
「1時20分。…何とか…なるか…???」
抱いていた陽織に、
「陽織ちゃん、ちょっとごめんね。」
体を僅かにずらして内ポケットからスマホを…。そして右手で画面に親指でトン。
3回で相手が出る。
スマホの向こう、
「もしもし、藪さん…???…どしたの…???…こんな時間に…???」
亮輔である。
「悪いな亮輔。」
ルシア、
「ん~~ん…???」
「実はな…。」
亮輔、
「ふん…???」
藪岡から話を聞いて亮輔、いきなり、
「うそっ!!!」
そして、
「えぇ~~~ぇえ!!!」
藪岡、亮輔、
「悪いが亮輔、柚香さんの家、分かる奴いないか…???」
亮輔、スマホを耳に、顔を顰めて、
「えぇ~~ぇえ~~???…いや…。」
額に手を…。
「いやいやいや。そんな事…、言われても…。えぇ~~???」
藪岡、
「ほら。柚香さんの彼氏の…、誰だっけ…???」
「あん。勝巳真輝。…って…。俺、あいつと話すときないから、番号…。」
藪岡、顔を捻じ曲げて、
「そっか~~。」
けれども亮輔、
「ん~~~。あ。ちょっと待って。…ん~~。とにかく、俺との同期のヤツ、片っ端から当たってみるから。」
その声に藪岡、
「分かった。頼めるか。一旦電話、切る。」
「あいよ。」
陽織は藪岡に凭れたまま、ぐっすりと眠っている。
ルシア、そんな藪岡を見ていて、クスリと笑って、
「藪さん。大丈夫~~???」
その声に藪岡、
「ん~~~???…何が…???」
「そんな…、か弱き女性をさっきから抱くように。」
思わず目をパチクリと藪岡、
「いやいやいや。だって、仕方がねぇだろ。ここにベッドがある訳でもないし。」
ルシア、僅かに可笑しがりながら、
「まっ。確かに。」
藪岡、
「…って言うか、抱いてなくって、支えてるって表現で、いいかな~~。」
ますます可笑しくなってルシア、
「今、そこ、問題…???…くくくく。」
20分後…。知らない番号から藪岡のスマホに着電。
藪岡、
「おっと。」
右手親指でスワイプ。
「もしもし、藪岡です。」
スマホから聞こえてくる声、
「もしもし、藪…岡…さんの…スマホで…。」
瞬間、
「あ~~。うん。そぅ。ひょっとして、亮輔から…。染谷亮輔。」
「あ、はい。か勝巳、真輝と言います。」
その声に藪岡、
「うんうん。電話、ありがと。」
そして、
「悪い、こんな夜中に。寝てただろう。」
真輝、
「まっ。えぇ…。…けど…。」
藪岡、
「あぁ。…状況が、状況で…。」
「あ、あ~~。はい。亮輔の話によると、今、そこに陽織さんが…。」
「あ~、その通り、今、ここにいる。…んだけど…。実は、寝ちゃってるんだよね~~。」
その声に真輝、両眉の先端を吊り上げて、
「寝ちゃってる…???」
「あ~~。とにかく、家に戻さないと…。…このままじゃ。…で、君、真輝君、柚香さんの家…。」
その声に真輝、
「あ、あ~~。はい~~。」
真輝、目をキョロキョロと…。そして、
「…けど~~。」

LIBRA~リブラ~ vol,070. 陽織、まだ泣きながら…。
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