「実際、真輝君も、驚いてたよ。…今までこういうのって、経験ないから…。頭の中が…混乱…。」
柚香、淡々と話す。
愛実、唸るような声で、
「う~~~ん。」
「真輝君が言うにはさ。」
「うん。」
「カフェから出て来た時点で、私が、全くの別人になってたんだって。…でぇ~~。乱暴な言葉遣いをしている…。まっ、私…???…いや。その時の私は…、妹の陽織になってたって…。こういうのって、有り得る…???…2歳の時に死んだ妹にだよ…???…で、私が、家に帰るとこ…だったんだって…。…で、その時、私が真輝君に言ったのが、私は柚香じゃない、陽織だって…。」
瞬間、思いっきり、
「ふ~~~ん。何がどうなっているのか…。全然分かんない。」
愛実、口をひょっとこのようにして、右左に…。
「ユズが…、妹の陽織になって…いた…。」
「だから~~。…それから考えていたんだけど~~。」
「うんうんうん。」
「もしかして…。これまでのぉ~~。朝になったら頭が痛かったっていうのは~~。」
「うん。」
愛実。
「多分…、体が…。」
目だけを天井に、柚香、
「妹のぉ~~。」
「うそ。体…、入れ変わってたって…???…マジ…???え゛ぇ~~~え~~???…いやいやいやいや。」
「私だって、分かんないよ~~。実際、その時の記憶、全くないんだから~~。」
「…で…???…その事、幸乃おばあちゃんには…???」
その声に柚香は、
「言える訳な~~い~。」
「いやいやいや。…でもさ。夕方前に~~。仮に、そうなったとして~~。ユズ~~。あんた、もしかしたら…、また今度…。」
途端に柚香、
「あ~~~ん、うんうんうん。それ、それそれそれ~~。気~~になってさ~~。」
「うんうんうん。」
その頃、真輝は…。勉強をしてはいたのだが…。
「くぅ~~。だめだ。気になってしゃあねぇや。…気分転換でも…。」
そして下に降りて…。両親はテレビを観ている。テレビ画面では手術中のシーン。
真輝、
「ドラマか…。」
いきなり吾大、
「かかかかか。出ました~~。私、失敗しないので。決め台詞だぜ~~。」
愛佳も、
「しっかし…。さすがは。このドラマ、人気あるよね~~。」
真輝、冷蔵庫から缶ビールを…。…ふと、その時、
「ねね。かあさん…???」
愛佳、その真輝の声に、顔だけ右後ろに、
「うん…???どうかした~~???」
「あの…さ…。」
「ふん。」
コクリと顔を…。
「ある人間がぁ。」
「ふん。」
「全然、別の人間になっちゃう。…なんて事…、あると思う…???」
その声に愛佳、いきなり右腕をソファに。
「はっ…???…何よいきなり。」
素早い瞬き。
「…あっ。えっ…???真輝、ゴメン、もっかい言って。」
真輝、口を捻じ曲げて、椅子の背もたれに缶ビールを持った手を添えて、
「うん。ある人間が全く別の人間になっちゃうって…。」
その声に愛佳、
「ふん。あるわよ。…と言っても、そんな…簡単には…だけど…。ほら。二重人格って言うのがあるじゃない。その類。」
真輝、その言葉に、
「あぁ~~。それなら俺も分かる。もし仮に、俺だったら、おっかなそうな人間が、急に優しい人間になるって…。」
愛佳、目だけ天井を見るような感じで…、
「ん~~。うんうんうん。…そんな感じ…???」
けれども真輝は、
「でもさ~~。…もし、自分の体に…、全く別人の…人が…。まるで、乗り移ったって言うのは…???…ほらほら。心霊現象である、霊が乗り移るって…。」
愛佳、
「あぁ~~。…でも、あれは特殊でしょう~~。そういう能力のある人が~~。」
いきなり吾大、妻に顔を向きながらも目だけを右後ろに、
「何言ってんだ…???…何が、二重人格がどうの、こうの…???」
そんな父に真輝、思わず後ろ頭を撫でるように、
「あ、いや。ちょっと…、気になる事があってさ。」
愛佳、そんな真輝に、
「ふ~~~ん。気になる事ね~~。」
すると愛佳、今度はソファの背もたれに右腕を…、右手の平に右頬を当てながら、
「さて。…その…、気になる事とは~~???」
真輝にニッコリと。
吾大はまたテレビ画面に、
「は、あ~~~ん~~。」
愛佳、真輝に、
「言ったんさい。かあさん、分かる範囲で、聞いてあげるわよ。」
そんな笑顔の母を見て真輝、
「えっ…???…あ、あ~~。」
「何…???」
いきなり吾大。
「何か、おま…。気になる事でもあんのか…???」
真輝、目をキョロキョロと…。
「あ、いや…。…別に…、そういう事じゃ、ないん…だ、けどさ…。」
吾大、テレビ画面を見ながら、
「じゃあ~~、一体、何だってんだ~~。」
瞬間、愛佳、ムスっとした顔で、
「おとうさん。そういう言い方~~。」
真輝、
「友達…、なんだ…けどさ。」
愛佳、その声に、
「うん。」
「何か、知んないんだけど…。まるで…、別人に…。」
瞬間、吾大、
「はっ…???」
愛佳も、今度は両眉の先を吊り上げて、
「まるで…、別人…???」
真輝、口を尖らせて、
「う、うん。」

LIBRA~リブラ~ vol,047. 「実際、真輝君も、驚いてたよ。」
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