瞬間、葉子を除いた都沢と紫は、
そんな海江田の笑いを聞いて海江田を見つめる。
海江田、笑顔で阿刀田を見て、
「なんとも腰の低い方だ。」
その声に杏樹、思わず困ったような笑みを…。
尚登、今度は左手で首の後ろを撫でながら、4人に申し訳ないような顔をして、
「何分…、どうしても僕は、お客さんの顔を見ないと黙っていられないタイプでして…。…それに、社員の顔も然り。一緒に何かしていないと落ち着かない主義で…。」
そして尚登、杏樹に、
「申し訳ない、経営の事や事務、その他諸々、全部丸投げしているような感じで…。」
そしてまた杏樹に頭を下げる。
「だから~~。」
杏樹、慌てて、
「そんな、頭、下げたりしないでください。」
またまた困ったような笑みをしての杏樹。
そして今度は4人に、
「阿刀田常務、仰るように現場主義。それも、朝から晩まで、隈なく。とにかく動きっぱなし。お客様に対してもそうなんですけど、社員に対しても…。いつもニコニコだし。まず、常務室に、いる事なんて、殆ど…。」
「まっ。大概、常にホテルの何処かには、いますもんね~~。」
添川。
「だから、常務室に電話しても、まず誰も出ない。」
光浦。
海江田、
「おやおや。」
「その代わりに…。…と言ってはなんですけど…。いえ…。だからこそ、スマホは手放せない。ですよね。常務。」
その声に尚登。胸ポケットから右手で摘まんでスマホを出して、
「申し訳ない。」
しっかりと首にはストラップ。
尚登、
「杏樹さん、もぅ…、みなさん、ホテル内は…???」
その声に杏樹、
「えぇ…。隈なく…。」
「…ですか。ちょっと失礼。」
尚登、いきなりフロントの女性に右手を掲げて…。
するとフロントの女性は笑顔でコクリと。
そして尚登、
「でしたら…。」
4人を椅子に座るように手で案内する。
フロントからいきなり男性ふたりが尚登の傍に近づき、テーブルを2つ合わせて椅子も。
杏樹、そんなフロントの男性に、
「ありがとう。」
尚登、杏樹に笑顔を。そして4人に、
「今、お茶を用意してますので…。」
そこまで言って、
「あっ、みなさん、お時間の方は…???」
それぞれを見ながら丁寧に。
その声に海江田、
「あっ、僕らの方は…。どうぞ、お構いなく。」
フロントの男性、4人に丁寧に一礼をして。
光浦、杏樹に、
「休憩と…、しますか、専務。」
杏樹も、
「ふふ。そうね。」
「お待たせしました。」
今さっきのフロントの女性。それぞれにコーヒーを。
海江田、
「行き届いてますね~~。」
ロビー、他にもゲストが何人もテーブルに。
そしてロビーからフロントに。そしてあちらこちらに…。
海江田、阿刀田に、
「阿刀田常務、さっきも聞いたんですけど、朝から晩まで…。ずっと現場で…。」
その声に尚登、困ったような笑顔で、
「申し訳ありません。」
頭をコクリと、
「その、まんまですね~~。いや~~。はははは。面目ないと言うか…。」
光浦、
「とにかく、私たちよりお客様と社員の顔を毎日、見てるわね。常務。」
そんな光浦に尚登、顔をクシャリとさせて、
「光浦総務部長~~。はい。その通り。面目ない。」
「いえいえ。」
光浦、右手を振って、
「とんでもない。逆に、常務以上に、客と社員から喜んで頂いている人はいないって言う事ですから~~。」
都沢、そして紫も葉子も、その話に目をパチクリと。
尚登、光浦に、頭を下げて、
「恐縮です。」
そして尚登、4人に、そしてロビーを見渡して、
「如何ですか、みなさん。当ホテル、トランキルマンヘブンズホテル。是非、いらっしゃってくださいよ~~。」
その声に海江田、右手を首の後ろに、
「いやいやいやいや。」
瞬間、杏樹、
「えっ…???…常務、知らなかったんですか~~???」
その声に尚登、杏樹を見て、
「えっ…???」
「まっ、確かに、海江田課長と、こちらの選さんは、まだ、当ホテルは…。…多分、初めて…。」
その声に都沢と紫、コクリと。
葉子は、
「……。」
「なんですけど…。」
杏樹、
「都沢さんと鈴村さんは、季節毎に、もぅ、何度もホテルには…。」
瞬間、尚登、いきなり、
「えっ…???…あっ。…えっ…???そう…だったんです…かぁ~。」
また首の後ろを左手で撫でながら…。
「いや~~~。知らなかった~~。」
そして、自分の顔を指で差して、ふたりに、
「じゃ…。僕の事…、どこかで…???…見た事…、あります…???」
そんな阿刀田に、思わず都沢も紫も、首を振る。
紫、
「いいえ~~。多分、阿刀田常務、お忙しくしてらっしゃるから~~。」
都沢、
「僕も一度も。」
尚登、
「いや…。あ~~れ~~???」
「まっ。毎日が全室、埋まっている訳ですから…。一日、とにかく、どのくらいの数のお客様がいるか…。」
光浦。

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,076. 「なんとも腰の低い方だ。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
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