「くぅあ~~~。良い天気だ。ははははは。」
リクライニングチェアで両腕を真っすぐ伸ばしての稜平(りょうへい)。
その声に、同じくこちらもリクライニングチェアでの由佳理(ゆかり)、
「ねぇ~~。はははは。気~~持ち、良い~~。」
「なぁ~~。まっ、豪邸じゃないけどね~~。こんな感じの我が家。こんな庭でも、考え方次第じゃない~~。たま~~にはのんびりと…さ。」
そんな稜平の声に、
「うんうんうん。だよね~~。の~~んびりだわ。」
にこにことしながら大きな麦わら帽子の中から稜平に顔を向けての由佳理、
「ふふ。」
「…って言うより、大丈夫…???お腹…???」
この時、由佳理、妊娠8か月目である。
由佳理のお腹を気遣うように稜平、
「はは。」
由佳理、唇を尖らせながらもニッコリと、
「ううん。大丈夫だよ~~。」
「嬉しいよな~~。かかかか。どんな女の子だろう~。」
由佳理のお腹を見ながらの稜平。
そんな稜平の顔を麦わら帽子の中から見る由佳理。その時、由佳理、
「えっ…???」
そして、
「ふふ…。」
そんな由佳理を見る稜平。
「ん~~???」
由佳理、
「稜平…、ほら、私のお腹。」
語尾は低く。
そして稜平、由佳理のお腹を見て、
「あっ。」
由佳理、口に左手人差し指を…。
稜平、思わず目を真ん丸に…。頭の中で、
「…おっきぃ~~。」
僅かに頭を起こしての由佳理、
「……。」
由佳理のお腹に、大きなアゲハ蝶…???
お腹の上で静かに止まっている。
由佳理、ニッコリと、
「ねぇ~~。」
そして稜平に、小さな声で、
「ねね、なんて蝶…???アゲハじゃないよね…???」
その声に稜平、
「ん~~???なんて蝶だろ…???…俺も…見た事…、ないけど…。」
由佳理のお腹の蝶々、ゆっくりと羽を動かしながら…。
その瞬間…。
由佳理も稜平も、
「あっ。」
そして、
「えっ…???」
やがて…、
「あ、あ~~~。」
由佳理のお腹の上から離れて、数秒後…、何処かに飛んで行ってしまった。
稜平も由佳理も、
「何…???…今の…???」
「一瞬だけど…、消えたよね。」
「うんうんうん。確かに消えた。…けど、また…。」
「うんうん。そして今度は僅かに…光ってた。」
「うんうん。」
そしてふたり共に、
「なんだ、なんだ…???」
由佳理、僅かに両眉の先端を歪ませるように、
「うん…???」
稜平も両眉の先端を…。そして顔を傾げて、
「うん…???」
そして、顔を小刻みに左右に振って、
「分からん。」
由佳理、瞬間、
「かかかかか。」
そして…、2か月後…。
「おぎゃー、おぎゃー。」
看護婦たち、
「元気な女の子~~。」
由佳理、赤ん坊の顔を見てニッコリと。そして稜平も、
「良かった~~。」
そして10年後…。
由佳理、
「はいはい。葉子、ご飯、オッケイ~???はいはい。じゃ、行ってらっしゃい。」
葉子(ようこ)、ランドセルを背負って、
「行ってきま~~す。」
稜平、
「よ~~し、爽太~~。今日は、とうさんと一緒に保育園に行くぞ~~。」
爽太(そうた)顔をコクリと、
「う~~ん。」
そして…、更に10年後…。
電車通学の葉子。電車の窓から朝の景色を…。
こちらは…。中学3年の爽太。期末テスト中…。
「やっべぇ~~。こっち来た~~。わっちゃ~~。分っかんねぇし…。」
こちらは自室での由佳理、
「これで良しっと。送信。ん~~~。」
そしてラインで、
「今、送った~~。」
数秒後、ラインの通知音、
「了解です。先生~、お疲れ様~~。」
そしてこちらでは、パソコンの画面に向かい、ただいまキーボードをカタカタと…。
そして…、現在…。
都内にある大手百貨店扶桑(ふそう)。その財務企画部…。
「ごめんね、ヨウちゃん。これ…、お願い出来る~~???」
女子社員。
「はい。分かりました~~。」
気軽に応える葉子。
そして、その数分後、向かいの席から、
「葉子~~。お昼、行くよ~~。」
その声に、キーボードを打ちながら葉子、
「あ~~、うん。分かった~~。」
そして書類を手に、先ほどの女子社員に、
「新実(にいみ)さん。はい。さっきの…。終わりました。」
新実と呼ばれた女子、
「うそ。もう出来たの~~。」
そして葉子を見て、
「さっすが~~ヨウちゃん、助かった~~。ナイス。サンキュ。」
ニコニコと…。
葉子、
「どういたしまして。」
実は…、幾ら頑張っても、数時間は掛かる資料だった。
葉子、自分の席に戻って、
「輪湖(わこ)~~、行こう~~。」
そして、先ほどの新実、課長の蔵井氏(くらいし)に、
「課長、これ、お願いします。」
蔵井氏、
「へっ…???…さっきの…???…おぃおぃおぃ、大丈夫かね~~、こんなに早く~~。」
「大丈夫です。」
「…って、おまえがこんなに早く…。」
すると蔵井氏、
「あっ、さてはおまえ~~。選(すぐり)に振ったな~~。」
その声に新見、申し訳ない顔をして、
「すみません。実は…。」
「仕方…ない。OK。分かった。」
新見、両手をパチパチと。
蔵井氏、
「た~~く~~。選葉子(すぐりようこ)さまさまだ~~な~~。」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ 001. 由佳理、「稜平…、ほら、私のお腹。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
