そしてそのまま後ろのドアに振り向く将輝。
そんな将輝に理沙、
「は、あ~~~???」
そして理沙、
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
その声に将輝、
「えっ…???」
理沙、
「何なのよ、いきなり、女の子の病室に入ってきて。」
そして理沙、両眉の先端を吊り上げて、顔を右左に、
「…で…、何を言うかと思ったら、…あの…、その…。さっ。…あ、ありがとな。…車椅子、乗ってくれて…。それに…。バスケ、やるんだろ…。車椅子…。」
今度は般若のような顔で理沙、
「なんなの、それ…???…訳分かんないし。」
理沙に後ろ向で、そして黙っている将輝。
理沙、
「それにさ。敢えて言わせてもらうけど…。別に私、あんたのために車椅子、それに車椅子バスケやろうとなんて…、全然思ってないから。」
小刻みに動く将輝の目。けれども理沙には見えていない。
理沙、今度は目を伏せて、本を見ながら、
「私、これから…。この体でどうすればいいか。全然分かんなくって…。…もぅ…、何が何だか分かんなくって…。目の前真っ暗。…でも、そんな時に…、この本。」
車椅子バスケの本、ページを捲りながら…。
「…まぁ…。そういう意味では…、この本たち、良かったなぁ…、って思うけど…。」
一拍置いて、
「それに…。友達も興味津々で、話が盛り上がるし…。」
将輝、いきなり、
「えっ…???」
けれども後ろ向きのまま…。
理沙、
「…けど…。…でも…。別に、私、あんたから、お礼言って…もらうなんて…。全然、違うから。」
間髪入れずに将輝、
「分かってるよっ!!!分かってるよ。」
後ろ向きのままで…。
「けど…。…けど。」
ようやく後ろを振り返って。理沙の方を見て、
「何か…、してあげたかった。」
そこまで言って、トーンを下げての将輝。
「…んだ…。」
そしてまた下を向いて…。右肩からパックのショルダーが外れる。
瞬間、右手でショルダーをガシッと掴み…。
理沙、そのバッグを見て、
「それ…、中に…???」
将輝、その声にボソリと…、
「ボール…入ってる。」
理沙、そのバッグと将輝の…、交互を見て、
「ボール、見せて…。」
「えっ…???」
理沙を見て、そしてバッグを見て。
「あ、あの…。」
理沙、
「見せて。見せてよ、ボール。」
「あ、あ~~。」
そして将輝、椅子の上にバッグを置き、
そのままジッパーを開け、中からバスケットボールを…。
すかさずそのボールに手を伸ばす理沙。
「貸して、貸して。」
将輝、そんな理沙に、おもむろに…、
「ほ…、ほら…。」
理沙、そのボールを両手で持って…。
病院にいる間にこうなってしまった、女子のか細い手。
その手を見て将輝、少し眉を歪ませる。
理沙、
「やっぱり…、重いね。」
いきなりのその声に将輝、
「えっ…???」
理沙、
「うん。重量感ある。…なんか…、久しぶりにバスケットボール、触った~~。はは。」
将輝、またしても、
「えっ…???」
「体育の授業でさ。たま~~に、バスケの試合、することあるんだ…。」
頭を傾げて…、
「うんうんうん。あれ以来かも…。かか、殆ど持った時、ないや。」
頭の真ん中で髪をヘアクリップで留め、
「へへ。へ~~。なんだか、手に張り付いてきそうな感じ。」
するといきなり、
「ねね、後ろに下がって。」
途端に将輝、首を傾げて…。
理沙、
「後ろに下がってっ!!!」
将輝、また首を傾げて、2、3歩後ろに…。
瞬間、理沙、両手で持ったバスケットボールを将輝目掛けて放つ。
将輝、その瞬間、丁度自分の腹部目掛けられたボールを両手でキャッチ。
「おっと…。」
瞬間、
「へ~~~。その状態で…、おま…、今の…。」
理沙、急に、両肩を交互に回しながら…、
「ひさっしぶりに、ボール持ったわ~~。はは。じゃね~~。続き、見るから…。」
左手で将輝にバイバイ。手を振る。
将輝、すぐさま、
「あ、あ~~。」
ドアを開けて廊下に。
理沙、本を開いたままで、布団にバン。
「動き…、たいなぁ~~。」
廊下に出た将輝、左手に持ったボールを見て、
「あいつ…。」
「おっ、将輝君、何、バスケットボール…???」
看護師の凪。すかさず凪、ボールを受け止めるポーズで…。

信じて…良かった。 vol.041. 「この本たち、良かったなぁ…、って思うけど…。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
