「…ゆっくりと…、時間を掛けなきゃ…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 後ろから声がして振り向く和奏。そしてその女性の顔を見て、
「あっ。」

そして女性も、ふたりと一緒にいる女性を見て、
「あっ。」
以前にエレベーターで見掛けた女性。

ふたり、同時に頭の中で、
「…あの時の…。」

和奏、その女性に軽く会釈を…。

女性も軽く会釈を…。そして、
「あの…。何か…???」

将輝、
「流美姉ぇ。」

麗亜、
「お姉ちゃん。」

流美である。

ふたりに、
「どしたの…???」

和奏、その女性にペコリと。そして将輝と麗亜を見て、
「おふたりの…???」

流美、
「えぇ…。私の…、甥と姪…です…けど…。」

その声に和奏、
「あっ。あ~~。あ~~。あぁ。はい。」
和奏、女性に何度も頭を下げて…。
「私…、あの、その…、ここの…、瑞樹…理沙の…。」

瞬間、流美、
「あっ。あ~~。はい。はいはいはいはい。ふたりから聞いております。」

麗亜、
「お姉ちゃん。」

流美、麗亜の頭を撫でながら…。目の前の女性にお辞儀をして、
「その節は…。ふたりが…、なんだか…。」

和奏、
「いえ。いえいえいえ。」
右手を振り、
「とんでもない。ふたりには、本当に感謝です。ありがとうございました。」
そして、
「あ、あの…、私…、理沙の母親の…、瑞樹和奏…と、申します。」

その声に流美も、
「あっ、すみません、紹介が遅れて。私は…、ふたりの叔母で、菅田流美と、申します。」

和奏、
「菅田…流美…、さん。」

流美も、
「和奏…さん。」

和奏、
「今後…共に、よろしくお願いします。」
流美に丁寧にお辞儀をして…。

流美も丁寧にお辞儀をして、
「こちらこそ。よろしくお願いいたします。」
そして流美、
「それじゃあ。」

和奏、またお辞儀をして、
「ありがとうございます。」
そして和奏、後ろ手でドアを開けて、病室の中に振り向く。
「あ~~の人だったんだ~~。」



車椅子を押して流美、麗亜の病室に…。
「ふ~~ん。ふたり…。瑞樹さん…お見舞い…???」

麗亜、
「うん。」
けれども口を尖らせて、
「でも、理沙お姉ちゃんに…。怒られた…。」

流美、
「はっ…???」
そしてすかさず将輝を見て、
「はい…???」

将輝、ぶっとして。





和奏、床に落ちている一冊の本を取り上げて、
「ふ~~ん。」

ベッドに横になり右側に向いている理沙。
ベッドの端にあった数冊の本も既にベッドが落ちて床に。

和奏、
「あらあら。」
和奏、ベッドでムッツリとしている理沙に、頭の中で、
「…今は…無理だなぁ…。」
そして、窓際のソファに座り、その数冊の本を…。




麗亜の病室では流美、
「へっ…???マジで…???…もぅ、渡しちゃったの、本。」

将輝、流美に、
「うん。…だって…、早ければ。早いほど、いいかなって…思って…。」

瞬間、流美、
「わっちゃ~~~。渡しちゃったか~~。」
顔をクシャリとさせて…。そして口をグンニャリと…。腕組みして、
「まっ、渡しちゃったん…だったら…。仕っ方…ないかぁ~~。…ただ、お姉ぇに…、一言、言っても、良かった…んじゃ…、ないかなぁ~~。私も…看護婦…なんだけど…。まだ、車椅子にも乗れない人に…。はい、これ…。なんて…。ちょっと…。強引な…。かかかか。…そりゃ、怒られるよ~~。…ゆっくりと…、時間を掛けなきゃ…。まっ、悪い…事では…、ないとしても…。」

麗亜も、
「理沙お姉ちゃんも…、同じこと…言ってた。」

流美、
「うん。まぁねぇ~~。その人の身になってみたら…。ある意味…、全然自分の体が動かない…、もしか…したら…、このままって…。不安でいっぱい。…そこにいきなり、身障者でも、みんな頑張っている。そんな…本を目の前に…。…でも、や~~っぱり…。心の準備が…。」

将輝、
「心の準備…???」

流美、
「うん。心の準備。」
そして、
「将輝も…、麗亜も…。ふたりとも、おかあさんが死んじゃった時、どうしたって、おかあさんが死んじゃったって現実、受け入れられなかったでしょ。悲しくってさ。思い出しては泣いてた。麗亜なんて、どんくらい私に泣きついてきたか。」

麗亜、口を尖らせて、
「うん。」

「そういう…、感情…。人、それぞれ、癒されるのには…、時間が掛かる。それが心の準備。…そして、時間を掛けて、ゆっくり、ゆっくりと。」






信じて…良かった。   vol.022.   「…ゆっくりと…、時間を掛けなきゃ…。」

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