「おらおらおら。そんなん、取れないでどうする~~。」
一樹。
「おらおら~~。まだまだ~~。」
コート内をあちこち動いてボールをレシーブする芙美。
数分後、芙美、杏美のところに。
「あ~~。キッツ。」
杏美、
「かかかか。さすがに芙美もきついか~~。」
「なんでか…、理沙がいないだけでも、雰囲気…マイナーだもんな~~。そんなマイナーを…、なんとか紛らわそうって…、いっきの奴~~。」
そして杏美、
「それに~~。ほらほらほら。鴻上~~。」
芙美もその声に、
「あ~~、あ~~、あ~~。あのデーター戦略。」
杏美、顔を顰めて、
「データー戦略…???」
「ふん。それに~~。転校生2名…。」
「転校生2名…???」
「ふん。」
芙美。
「神奈川と…。」
腕組みしながら、
「大阪。」
「は…ぁ…???」
眉を歪めての杏美。
「うん。なんとも偶然らしいんだけど、神奈川と大阪から転校してきた生徒。ふたり共に、バレー部出身。…しかも、どっちも…その地区のバレー強豪校なんだって…。」
「わお。」
「その、大阪の生徒が、今までの練習方法じゃ、話になんないって…。それからなんだって。データー戦略に切り替えたの。」
「へぇ~~。さすが、情報通。」
「いやいやいや。だって…私の従妹が鴻上…、いるから…。その…データー戦略を採用したのが、今のバレー部監督…、らしいよ…。趣味がIT関連なんだって~~。」
「わ~~お。」
そんな杏美、咄嗟に、
「えっ…???えぇぇぇぇぇ…???…いやいやいや。そんな…、データー戦略…なんて…、私ら、敵う訳…。」
「だ~~から~~。それをどうしようかって…、今、いっき…、なりふり構わず。」
全員のレシーブ練習を終了させてのキャプテンの麻理絵。
その声に右手を振って、杏美、
「いやいやいやいやいや。なりふり構わずって…、おぃ。私たち、ロボットじゃないんだから…。」
一樹、
「お~~し。全員集まれ~~。」
杏美達、
「おっと。」
病院では…。
理沙、ベッド上で、スマホで動画を見ながら…、
「今頃、みんな…、部活…。」
数日後の日曜日、また部員や生徒たちの見舞いが帰った後の午後。
昼に病室に来ていた栞奈と理沙、屋上に…。
車椅子で初めての病院の屋上。
理沙、思いっきり両腕を上に、
「ん~~~。気~~持ち、いい~~。」
そして、
「凄~~い。今の病院の屋上って、お庭みたいになってるんだ~~。」
栞奈も、
「かかかか。うんうんうん。凄いよ、こういう環境って…。」
そして、ゆっくりと車椅子で…。
すると、屋上の端の方で、車椅子の女の子と、男性ひとり。
女の子は景色を眺め、男性は花壇の端に腰を下ろしてスマホを…。
理沙、栞奈の方に顔を…。
栞奈、そんな理沙に頷いて、
「うん。」
栞奈、車椅子を押して、ふたりに近づく。
理沙、
「こんにちは~~。」
その声に振り向く女の子と男性。
女の子、
「あっ、こんにちは~~。」
男性も、軽くお辞儀をして、
「あっ、どうも…。」
理沙、
「凄い、気持ちいいですよね~~。」
パジャマ姿の女の子、ニッコリと、
「うん。」
男性は少し口を尖らせて、
「…ですね。」
男性、女の子の傍に近づいてくる車椅子の女性と車椅子を押している女性を見て…。
そしてまたスマホを…。
ニコニコしている女の子、
「お姉さんも…足…???」
その声に理沙、
「あ、あ~~。うん。…私は…、足じゃ…、ないんだけど…。背骨…の…、方…。腰の…下…辺りかな…。はは。」
そして理沙、
「…あなたは…???」
頭の上の姉を見るように…。
栞奈、
「うん。」
「私は~~。」
女の子、左足の脛をパジャマの裾を上げて、
「骨、折れちゃったの…。」
理沙、
「あ、あ~~。」
「2か月の…入院。」
ボソリと女の子の傍で座っている男性。
「私、菅田麗亜(すだれいあ)。お姉さんは…???」
理沙、そんな女の子にニッコリと、
「私は、瑞樹理沙(みずきりさ)、そして、私のお姉ちゃんの瑞樹栞奈(みずきかんな)。」
麗亜、
「銀嶺(ぎんれい)中の3年なの。」
瞬間、理沙も栞奈も、
「わっ!!!私たちの…、中学の…、母校。」

信じて…良かった。 vol.006. 車椅子で初めての病院の屋上。
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