名城高校の職員室。
教頭の室越悦男(むろこしえつお)。周囲の教師たちに、
「まだ…、八倉先生から電話は…???」
周囲の教師たち、
「まだです。」
「まだ。」
それぞれが首を振る。
室越、校長の坂崎与美(さかざきよしみ)に、
「校長…。」
職員室内で坂崎、腕組みしながら、
「…とにかく、八倉先生からの連絡、待ちましょう。私たちが急かしても…仕方ない。」
室越、
「えぇ…。」
手術室前で一樹、
「えっ…???」
杏美、
「…うそ。うそうそうそ。」
蒼白になっている和奏と蒼介。
10分前。
とある室内で医師の話を聞く和奏と蒼介。
和奏、
「…そ、それじゃあ、先生…。」
蒼介、
「そ、そんな…。」
漆原総合病院緊急救命センター、医師の角浦達郎(かどうらたつろう)、
「えぇ…。臓器には特に、問題は…ないんですけど…。」
パソコンのレントゲン写真を見て、脊髄の一部にポイントを…。
「脊髄損傷。…一刻も早く緊急手術を…。」
いきなりの医師からの宣告に和奏も蒼介も、口から言葉が出ず…。
なんとか…和奏、
「せ…、先生…。…それで…。手術をすれば、理沙は…。」
その声に角浦、
「……。何とも…言えません。…但し、ここで、手術をしなければ、下半身不随になるのは…、明らかであると…。」
そして角浦、
「…とにかく…、やってみない事には…。」
蒼介、
「かあさん。」
頬をハンカチで押さえながら和奏、
「お…、お願いします。先生。手術を…、理沙を…、助けて…。」
角浦、唇を絞って…、
「全力を尽くします。」
手術室の前で一樹、
「ん〜〜〜。」
杏美、
「何…???おばちゃん、おじちゃん…。じゃあ、理沙…、歩けなくなるかも…???」
そして、
「やだよ、やだよ、やだよ。そんな…。理沙。」
蒼介、
「とにかく…、手術の成功…、祈るしかない…。」
杏美、涙で染まった頬をまたぐしゃりとさせて、
「そ…、そんな〜〜。」
一樹、理沙の両親に、左手を…。
「す、すみません…。こんな時に、何ですが…、学校の方に…、連絡しないと…。」
蒼介、
「あ、あ〜〜。はい。すみません。こちらこそ…。」
和奏、
「先生…、ありがとうございます。知らせてくれて…。」
一樹、
「いえいえ。…それじゃ、ちょっと…失礼します。」
その時、もうひとりの女性が…。
「かあさん、理沙…???」
理沙の姉の栞奈(かんな)である。
和奏、栞奈に、
「うん。今、手術中。」
栞奈、
「手術…。…一体、何が…???」
その5分後…、名城高校も職員室に一本の電話。
教師のひとり、
「校長先生。八倉先生から…。」
坂崎、その教師の机に向かって、そして、
「もしもし、お疲れ様、坂崎です。……。うん。うんうんうん。え—————っ!!!…そぅ…。分かった。…とにかく…、命に別状はないのね。……うん。分かった。ありがと。…うん。うん。じゃ、気を付けて…。」
電話を切る。
坂崎、教師たちに、
「瑞樹さん、命に別状はない。大丈夫よ。」
その声に教師たち、誰もがガッツポーズ、
「やった〜〜。」
「良かった〜〜。うんうんうん。」
「よ〜〜っしゃ。」
「いやいやいや。参ったぜ、もぅ〜〜〜。」
坂崎、
「八倉先生も、これから、こっちに…。」
その声に教師たちは頷く。
坂崎、歩きながら…。そして…、教頭の室越に目配りを…。
そして校長室に…。
教師たちは、また再び自分の仕事に…。
坂崎、校長室の窓に…。
校長室に入ってきた室越、
「こ、校長…???」
「教頭先生…。」
窓の外を見ていた坂崎が腕組みをして室越に振り返り…、
「今、瑞樹さん。手術しているそうよ。」
「手…、手術…。」
「…それも…緊急手術…らしい。」
その声に室越、
「き、緊急手術って…。…そんなに悪いんですか…???」
坂崎、腕組みを解いて椅子に座り、
「職員室じゃ、言わなかったけど…。」
「えぇ…。」
「確かに、命に別状はない。」
「はい。」
「但し…。…脊椎の損傷がある…と…。八倉先生。…そのための…手術を…今…。」
「脊髄の…、損傷…???」
室越、腰の方に左手を回して…。
八倉が理沙の両親と別れて数時間後、手術中のランプが消える。
瞬間、立ち上がる和奏と蒼介、栞奈。そして、よろめきながらも立ち上がる杏美。
そんな杏美を抱えるように和奏。
ドアを開けて出てきた角浦。
和奏、蒼介、
「先生。」

信じて…良かった。 vol.002. 八倉が理沙の両親と別れて数時間後…。
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