「ふん。私も霧島さんの事好き。好きだよ。」
そう言って薫子、けれどもその後に、
「でも…、私、霧島さんの事、好きになるの、あの時から、辞めたの。」
瞬間、凛久、
「へっ…???」
薫子、
「ふん。霧島さんを好きになるの、私、辞めた。ふふ~~ん。」
電車がゆっくりと速度を落とし始める。
「さてと。着いたよ~~。」
ゆっくりとシートから腰を上げる薫子。
凛久、そんな薫子に釣られて、
「あ~~。はい。」
ホームに降りて…。
凛久、
「あ、あの…、先生…???」
薫子、歩きながら、
「もしかすると…、私以上に、恵津子さん。料理教室の事務局長。」
「あ~~。はい。」
「それから~~。六条さん。霧島さんには私が…って、思っていたの…正解…だったのかも…。」
その話に凛久、
「えっ…???うそ…???」
「さすがは…恵津子さん。そして六条さん。」
「へぇ~~。料理教室の…、あの…人が…。…それに…六条プロデューサー。」
「さすがは恵津子さん、男女に関しては、凄いからね~~。まっ、六条さんはね~~。何と言っても、プロデューサーだから…その辺は…。」
凛久、
「あの…、料理教室の…。」
薫子、
「ふん。恵津子さん…???」
「えっ、え~~。」
「友部恵津子、53歳。今やシングルマザーまっしぐら。」
その声に、途端に凛久、
「えっ!!!そうなんですか~~。」
薫子、
「えぇ~~。バツ3で、今や大学4年の娘がいる。」
その時薫子、
「あっ。霧島さん、私…、こっちだから…。じゃ。」
瞬間、凛久、
「あっ。あ~~~。」
すぐさま頭を掻いて…。
右手を振りながら東口に向かう薫子。
一瞬立ち止まる凛久。顔を傾げて。けれどもすぐさま、薫子を追い掛けて、
「待ってくださいよ~~。」
そして薫子の傍に…。
何も言わずに凛久を見る薫子。
凛久、
「そんな~~。途中まで話して、はい、じゃ、サヨナラじゃ…、こっちが、気になるじゃないですか~~。」
そんな凛久の声に薫子、
「うそ。あらららら。」
凛久、
「お宅まで、送りますよ。」
薫子、口を尖らせながら、
「ふん。ありがと…。」
そしてニッコリと…。
駅を出て薫子、
「今年も…、9月になったか~~。」
夜空を見上げて。そして、
「さて。帰ろ。」
歩き始めて…。
「ある日ねぇ~。…ある夜。」
薫子、まっすぐと前を向いて…。
凛久、そんな薫子を見つめて…。
「ある夢を見た。」
「夢…???」
その声に薫子、チョコンと頷いて、
「なん~~とも、不思議な夢。」
「不思…議な…。」
また薫子、チョコンと頷いて。
「不思議な夢。」
そして凛久の顔を見て、意地悪そうな顔をして、
「聞きたい…???」
凛久、そんな薫子を見て、
「えっ…???え~~。当然ですよ~~。」
そんな凛久にニッコリと顔を傾げて…。
「ふふん。…不思議な夢。夢の中で私と茉祐子、映画を見て、カフェレストランでお茶してたの…。ガーデンテラスのあるお店。」
凛久、薫子の顔を見て、口を噤んで…。
「茉祐子は…ナターシャの雑誌を見ながらも映画の話をして…。私は六条さんと仕事の打ち合わせでライン。」
「……。」
「その時ね、茉祐子がお店の玄関に来たふたりの男女を見つけたの。」
凛久、
「ふたりの男女…???」
薫子、
「うん。…その男女のひとり、男性が…。」
そして薫子、ふと、
「ふふ…。」
凛久、そんな薫子を見て、両眉を歪めて…。
薫子、
「その男性が…、あなた…、霧島さん。」
ニッコリと…。
その声に凛久、目を真ん丸にして、口を尖らせて、
「う~~っそ!!!」
途端に薫子、そんな驚いている凛久を見てニッコリと、
「ふふん。…で、不思議なのがここから…。」
そして薫子、
「ぷっ。…でもさぁ。私の夢に、霧島さんが出て来る自体、不思議なんだけどね…。」
一息突いて、
「…でね。朝になって、茉祐子と一緒に朝ごはん。…なんだか茉祐子も…朝から変な感じで…。」
凛久、顔を傾げて…。
薫子、そんな凛久を見て、また、
「ぷっ。」
凛久、
「先生…???」
「不思議なのが、ここ。…朝食しながら、茉祐子、自分が昨夜見た夢の話をするの。」
凛久、口を尖らせて、
「……。」
「その夢の話を聞くと~~。なんと。まさか…。私の見た夢とそっくり。」
途端に凛久、顔を綻ばせて、
「うそ~~~。」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.212. 「ふん。私も霧島さんの事好き。好きだよ。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
