君人、妻の聖子を見て、笑顔になって…。
聖子もそんな夫を見て笑顔で…。
君人、夢乃を見て、
「うん…???」
夢乃、母を見て、そして父を見て…。
「あのね、パパ。今回…、私の提案で、パパのサプライズバースディ。」
君人、
「うん。ありがと。感謝している。」
夢乃、
「うん。ありがと。」
少し間を開けて…、
「…で、パパ。」
「…ん…???」
「今回、私、日本に帰って来たの…、パパのパースディ。それもひとつ。」
君人、
「…ん…???」
夢乃、テーブルに両手を出して、小さな素振りを…。
「それと…、もう…ひとつ。報告…と言うか、話しておかなきゃいけない事が…あるの…。」
その声に君人、
「…ん…???報告…???話して…おかなきゃ…ならない事…???」
「うん。」
今度は夢乃、両手をテーブルの下に。
「…ん…???」
妻の聖子を見て君人、
聖子、少し笑顔を崩して…。
そして君人、夢乃をマジマジと見て…。
「パパ。…私…、結婚したい人…いるの…。」
君人、いきなり目をパチクリとさせて…。
「えっ…???」
夢乃、
「今、私…、付きあっている人…、いるの…。…将来、その人と結婚を前提にして…。」
瞬間、君人の表情が変わる。
「……。」
今までの笑顔から変わり、険しい表情に…。
「おま…、今、何て言った…???」
夢乃、真顔になって、
「結婚したい人がいる。」
君人、
「おま…、今、おま…、まだ…、22だぞ。」
夢乃も少し険しい顔になって、
「歳なんて関係ないでしょ。」
聖子、
「お父さん。」
夫を諭すように…。数秒の沈黙。
君人、険しい表情のままで、
「やれやれ…。自分の誕生日を娘が祝ってくれる…ってんで、喜んで来たと思ったら…。」
口を真一文字にして、両肩を落として、右手をテーブルに真っすぐに置き。
そして左手でジョッキを持ち、また一口。そしてジョッキは空になる。
君人、辺りを見回して…。
夢乃、
「あっ、すみません。生…お代わり…。」
ウェイトレス、席に近づく。
「仕舞には…、こういうオチって…訳かぃ。」
夢乃、父に向かって、
「ごめんなさい、いきなり、こういう話になって。」
「折角気分良く、旨いもん、食べて、飲んでたと思ったら…。」
そんな夫を黙って見る聖子。夢乃の顔を見て…。
夢乃も母を見て、
「……。」
その時、君人、夢乃と聖子を見て、目を真ん丸く、そして一度口を尖らせて…。
その時、ウェイトレスが新しいジョッキを…。
君人、左手で「ありがとう」のジェスチャー。
そしてジョッキを見て、
「何か。…って事は…、かあさん、かあさんは、この事、前から…???」
その声に聖子、頭を下げて、
「ご、ごめんなさい。2か月…前から…。」
その瞬間、君人、口をポカ~~ンと、
「2…、2か月…前…???…で、この俺に、何も言わずに…???」
夢乃は口を尖らせたまま。
君人、
「ふ~~~~。いやいやいやいや。」
今度は天井を向いて。
「なんてこったぃ。家のローン…、全部、払い終わって…。んで、今度は、老後の蓄えって…。頭の中で、青写真…。かあさんとのんびりと…また、ふたりで…。って…、思って…。」
夢乃、
「パパ…。」
「将来設計が…。将来じゃなくって…、現実になっちまったって…。」
瞬間、夢乃、そして聖子、同時に、
「えっ…???」
「お~~い。チト、早過ぎゃしねぇかぁ~~。」
夢乃、そんな父に、
「パパ…???」
聖子、
「お父さん…???」
「けっ。てめえが、今まで、人生、好き放題やってきて、娘の好き放題に、NO!!!…な~~んて、言える訳、ねぇだろ…。」
夢乃、その声に、
「パパ、じゃあ。」
聖子、
「お父さん。」
「但し。」
夢乃と聖子の顔を見て君人、
「但し。」
夢乃を見て、
「パパの仕事は、人の命を守る仕事をしている。」
夢乃、
「う、うん。」
「まっ、俺は、医者じゃ~~ない。けど…、薬を扱っている仕事だ。そういう意味じゃあ、医者とも、同じような…。まっ、直接…人様の身体を診る訳じゃないが…。ひとつ間違えば、人様の命に関わる。」
その瞬間、聖子、マジマジと夫を見つめて。
君人、
「条件がある。」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.203. 「パパ。…私…、結婚したい人…いるの…。」
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※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
