そして…。
成宮家の玄関で、スーツケースを持ち、
「ヨッと。」
玄関のチャイムボタンを…。
「はい。はは、おっ帰り~~。」
薫子の声。
「ただいま。」
にっこりと恭弥。
ドアを開けて玄関に。
薫子、キッチンから玄関に…。
「はい、おかえり~~。かかかか、さすがに、黒いね~~。日焼け。」
その声に恭弥、
「まね~~。殆ど、自然との勝負だから。なに、姉さん、この時間は…家、いるんだ…???」
「ふん。でも、その日に…よるけど…。」
恭弥、リビングに。そしてすぐに和室へと…。
そして仏壇に両手を合わせて、
「ただいま帰りました。義兄さん。」
薫子、
「お義父さんに連絡は…???」
恭弥、
「あぁ。成田で…。姉さんに電話した後で…。」
薫子、顔を頷かせて、
「ふ~~ん。どんなだった…、義父さん…???」
その声に、
「うん。まぁ~~。いつも通り、薫子に早く顔見せてやれって…。」
途端に笑い出す薫子、
「かかかかか。義父さんらしい。まっ、鹿児島帰っても、変に義父さんに気を遣うだけだからねぇ~~。…とは言え、あんたも…、こっちいないと…仕事にならない。」
「まっ、そういう事。」
ここで言う、薫子の、「お義父さん。」とは、母親の桐乃と再婚した芥川恭志(あくたがわきょうし)の事である。
現在、鹿児島の家にて車椅子生活。
10数年前に仕事関係での交通事故に遭い、下半身不随となったのだった。
その後、桐乃が恭志の面倒を見ていたが、やがて、桐乃が鬱病から認知症を患い、
その時点で恭志は介護サービスを開始。
桐乃はグループホームへと…。そして自身はホームヘルパーを利用している。
薫子、恭弥、既にふたり共にリビングに戻り…。
「2週間…???…今回…???」
「ふん。…そのくらいは…、掛かるかな…???」
キッチンに戻って薫子、
「…で、次は…どこ…???」
「ふん。カナダ…。」
「カナダ…!!!…おや、まぁ…。また随分と遠く~~。さすがは、プロ。」
そして冷蔵庫から缶ビールを、恭弥に、
「ほぃ。お口汚し。」
恭弥、
「サンキュ~~。まっ、これが仕事だから…。」
「ふんふんふん。」
そして恭弥、両腕を上に、
「ふぇ~~~。かかかか。久しぶりに帰ってきたね~~。」
薫子、
「う~~ん…???」
「久しぶりに、姉さんの…手料理が食える。かかかか。」
その声に薫子、
「かかかか。はいはい。そのつもりで…。」
その時、
「ただいま~~~。」
その声に薫子、
「あっ。」
恭弥、
「へっ…???」
薫子、時計を見て、驚いたような声で、
「早~~っや。」
玄関からドタドタと。茉祐子、
「お帰り~~~。恭弥さん。」
息遣い荒く。
そんな茉祐子に恭弥、目をパチクリと…。
「茉祐子…ちゃん…。はは…、ただいま…。」
薫子、そんな茉祐子と恭弥を見て、思わず、
「ぷっ。」
恭弥、
「ま…、茉祐子ちゃん…。」
咄嗟に礼儀正しく、
「ただいま…、帰りました~~。」
薫子、
「恭弥から電話来た時から、待ちに待ってたの~~。茉祐子ちゃん。」
恭弥、その声に、
「おっとっと~~。かか、茉祐子ちゃん、お久しぶり~~。」
茉祐子、にっこり。
そして薫子の料理で3人ともに夕食に大盛り上がり。
恭弥から海外の話を聞いて茉祐子、おおはしゃぎで、いつの間にか…。
恭弥、
「茉祐子ちゃん…。かかかか、寝ちゃったよ。」
薫子、
「うんうん。よっぽど嬉しかったんでしょ、あんたに会えて。」
その声に恭弥、
「え~~~???」
薫子、
「かかかか。恭弥、私の可愛い娘だからね~~~。大切にしてよ~~。」
恭弥、
「ちょ…、ちょっと…、姉さん…、それ…、今…言う…???おぃおぃ…。」
薫子、
「かっかかかかか。…でもさ…。」
恭弥、
「うん…???」
「…とは言っても…、今あんたが…、身を固めるなんてこと…。」
恭弥を見ながら薫子。
恭弥、そんな薫子を見て、
「はい…???姉さん…???」
薫子、顔を歪めて、
「あははははは~~。ある訳…ないか…。」
恭弥の隣で、しっかりと…寝入っている茉祐子。
薫子、
「さて…。ま~ゆ~こ~~。」
恭弥、
「かかかか。うんうん。かっわいい~~。」
「ほら、あんたも手伝う~~。」
恭弥、口を真一文字に、
「…はいはい。」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.30. 成宮家の玄関で、スーツケースを持ち、「ヨッと。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。