キッチンで茉祐子とバッタリの薫子。
スマホを耳の薫子を見て茉祐子、
「おかあさん…。ふん。電話…。」
薫子、茉祐子に頷き、
「もしもし、お疲れ様です。」
スタッフと打ち合わせ中の六条一颯(ろくじょういぶき)。
薫子が出演している番組のプロデューサーである。
「あ~~。成宮ちゃん、ごめん、申し訳ない、法事で忙しい時に。」
薫子、
「いえ…。」
「実はさぁ、午後一に、雑誌社から電話が入って…。」
「えぇ…。えぇ…。…特集…???」
「あぁ。でも…、今の成宮ちゃんの予定から…すると…。」
薫子のスケジュール表と、ダイアリーを見ながら指でなぞるように…、
「中々…どうして…。結構…詰まってんだよね~~。」
薫子も、
「ふ~~ん。」
「まっ、向こうさんも…、そんなに急がないですからって…。…言ってはくれてるんだけど…。今、執筆も…あるでしょう。」
その声に薫子、
「えぇ…。…って、言うか、六条さん、その…雑誌社って…???」
「あぁ…。」
事前に営業ということで挨拶された事があり、その時に受け取った名刺を見て一颯、
「ナターシャっていう雑誌社。」
薫子、
「ナターシャ…。どっかで…。」
「うん。発足してまだ2年の雑誌社。」
「ナターシャ、ナターシャ…。」
一颯、
「ふん…、成宮ちゃん…???」
薫子、
「ナターシャ、ナタ…、あっ、思い出した。」
そしてキッチンを出て、
「ちょっ、ちょっと、六条さん…、待ってくれる…???」
一颯、打ち合わせを続けているスタッフたちを見ながら、
「あ、あ~~。」
薫子、和室に、
「茉祐子、茉祐子。」
茉祐子、
「へっ…???」
茉祐子を手招き。
立ち上がり茉祐子、薫子に、
「どうしたの…???」
「ナターシャって、雑誌社、知ってる…???」
茉祐子、
「へっ…???うん。エクレールでも、取引してる。今、凄い売れてる~~。人気もあるし。」
その一言で薫子、にっこりと、
「うん。ありがと。サンキュ。」
茉祐子、首を傾げて、またみんなの下に。
薫子、またキッチンに戻りながら、
「もしもし、六条さん。その特集、OK。乗った。…でも、これから…調整してみないと…。」
その声に一颯、
「ふんふん、分かった~~。こっちも…調整してみるわ。向こうさんには俺から連絡、入れとく~~。」
薫子、
「ありがとうございます。」
一颯、一枚の名刺を見ながら、
「あっと。それから、ナターシャの…、その担当編集者…、名前は…、きりしまりく。霧と島。凛と久しい。霧島凛久。」
「霧島…凛久…さん。ふ~~ん。はい。分かりました。」
一颯、
「じゃ、そういうことで。ごめんね。忙しいとこ。」
薫子、にっこりと、
「いえいえ。はい。ありがとうございます。」
通話を切る。そして再び和室に…。
君人、
「お~~い。勇吾~~。ほれ、飲め。酒…、強くなっただろぅ~~。えぇ~~???」
勇吾、
「ありがとうございます。」
茉祐子、自分の隣に戻ってきた薫子に、
「ナターシャが…どうしたの…???」
そんな茉祐子に薫子、
「うん。プロデューサーに、私に、特集、お願いしたいんだって。」
その声に茉祐子、
「わぁ~~。凄~~い。うんうん、あそこ、いいよ。うちも…去年…???あそこ、お得意先になって、製品、凄い売れたの…、それ以来、ナターシャは、凄い、読者層…広~~い。ねぇ、勇吾~~。」
勇吾、一番端の席で、
「あ~~ん…???なに…???」
茉祐子、
「ナターシャ。おかあさん、特集するんだって…。」
「へぇ~~。うん。あそこ、いいっすよ。かなり…人気っすから…。」
克樹、
「なんだ…???その…ナターシャって…。洋画の女優の名前か…???」
そんな旦那に真澄、クスリと笑って、左肩をペン。
「な~~に言ってんのぉ~。雑誌よ、雑誌。」
「へっ…???真澄おばちゃん、知ってるんだ…???」
目をパチクリと茉祐子。
その声に真澄、
「何言ってんのぉ~~。兄さんの可愛い一人娘の茉祐子だも~~ん。私が使ってる化粧品だって、エクレールよぉ~~。エクレールの情報なら、もぅ~~。ねぇ~~。聖子さ~~ん。」
聖子も真澄の話に、にっこりと笑顔で、
「もっちろ~~ん。」
そして、
「当然です。」
茉祐子、思わず両手を叩いて、
「わは。知らなかった~~。」
真澄、
「くくく。敢えて、言わなかっただけよ~~。ふふん。」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.5. 「その…雑誌社って…???」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。