更に、ホテル・インスタンベルの方も順調に事が運んでいた。
打合せ終了後、龍二が奈都美と伸永に、
「近くに新しく出来たスィーツのお店があるんですよ。今度の打ち合わせ終わったら、一緒にと思って。」
萌咲の顔を見て。
萌咲も、
「うんうん。これから…ちょっと…行ってみない…。私は今日、これからはオフだから…。」
奈都美、嬉しそうに、
「えっ!!!新しいスィーツのお店。うんうんうん。是非、是非。」
そして、インスタンベルから歩く事10分。
既に通りの向こうにはアレフーズ東京のビルが…。
伸永と共に、ひと時立ち止まる奈都美。
萌咲、そんなふたりを見て、
「…ん…???どうしたの…???」
奈都美の頭の中に、一瞬過る翔の顔…。
ここしばらく、翔とはプライベートは疎遠になっていた。
お互いにお互いを避けているようでもあった。
自然に、仕事中でも、よそよそしい感じをさせてもいた。
萌咲の声に奈都美、
「あっ。いえ…。」
にっこりと、
「うふん。別に…。行きましょうか。」
歩いて行くと、デパートが…。
伸永、
「デパート白越…。へぇ~~。ここにもあったんだ~~。」
奈都美、
「うんうんうん、有名だよね。このデパート。」
立体歩道橋を歩いて行くと、丁度その3階に直結になっている。
4人共に、そこからデパートに入って地下へと…。
エレベーターに乗って奈都美、
「信じられないかも…知れないけど…。私…、このデパートに入ったの…初めて。」
舌をチラリと出して。
龍二、
「おやおやおや。」
伸永、
「七瀬さんが初めてなら、僕だって初めてですよ。」
その声に萌咲、
「ふふ…。」
エレベーターを降り、右に…。すると大きな看板に、「パティスリー。」の文字。
奈都美、
「へぇ~~。凄~~い、本格的フランス、パリ感ありあり~~。」
伸永も、
「凄いですよね~~。」
萌咲も龍二と一緒に楽しそうに。
あちらこちら、見て歩く奈都美と伸永。
龍二、
「なんとも、いいコンビだわ~~。」
萌咲も、
「うんうんうん。いっそのこと、付き合っちゃえば、いいと思うんだけどな~~。」
龍二、
「へっ…???違うの…???」
「うん。七瀬さんには、今、付き合っている男性…、いるんだって…。尾田さんがこっそり、教えてくれたの。」
「ふ~~ん。」
ゆっくりと見て歩くには、丁度いい混み具合でもある。
奈都美、
「ねね、ノブ。あれ…。」
伸永、
「ふん…???あ~~。あぁいうのも…いいですよね~~。」
そして、
「へぇ~~。こういうのもあるんだ~~。ねね、ノブ、ノブ。こっち、こっち。」
伸永、
「あっ、はい。」
その時、走ってきた3歳くらいだろうか、女の子が急に後ろに振り返った瞬間、
奈都美の身体にぶつかって、ステン。
咄嗟に奈都美、
「あ~~。ごめんなさ~~い。大丈夫~~???」
女の子はその場で立ち上がり、後ろを振り向いて、
「マ~~ン。」
その女の子に近づく女性、
「すみませ~~ん。この子がぶつかったみたいで…。」
アメリカ人だろう…。その女性の隣には、物凄い恰幅のいい男性ふたり。
奈都美、頭の中で、
「デカッ。」
奈都美の隣に伸永も、真ん丸い目をして、
「デケ~~。」
男性も、
「どうもすみません。」
ハッキリとした日本語で。奈都美にお辞儀をして。
奈都美、その男性と女性に、右手を振って、
「いえいえ。」
そんなアメリカ人たちが通り過ぎる。
その瞬間、奈都美、伸永を見て…。その…伸永の目が…。
奈都美、
「えっ…???」
そして、振り返ると…。奈都美の目に飛び込んできた光景。
翔と優里亜である。
優里亜、翔の左腕に自分の右腕を絡めて…。
けれども優里亜は右側を向いていて奈都美に気付かない。
翔は目の前の大男に見惚れながら…。
けれども、その視点が偶然にも左に、その時、奈都美の目と…。
立ち尽くす奈都美。
そしてこちらも立ち尽くす翔。
「ねね、翔、あれ…。…えっ…???」
立ち止まる翔に優里亜、
「どう…???」
その時、自分の目に飛び込んできた姿…。
優里亜、
「ナツ…。」
言葉の出ない奈都美。
それは翔も同じ。
奈都美に近づく萌咲と龍二。
自然に翔の左腕から離れる優里亜の右腕。

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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。