翔、姉の話を聞きながら、右人差し指と親指で顎を撫でながら…、
「ふ~~ん。」
泉美、
「よいしょっと。」
ベッドに背を付けていたのを直し、正座をして、
「かあさん。帰ろ。ふん。納得。」
鈴江、
「えっ。え~~。うん。」
「今…、タクシー呼ぶから…。」
そして数分後。鈴江は先に部屋の外に。
靴を履きながら泉美、
「とにかく、その左。早く治るよう。まさか、かあさん、横須賀からここまで毎日通う…。」
そこまで言って顔を傾げて、
「…???…2時間は掛かるか…???…でも、まっ、無理でもないけど…。とうさんいるから…。かあさんいないと、何にもできない人だから。今頃、家の中、散らかってるよ、多分…。私も…ちょくちょく…顔出すわ。」
ドアに手を預けたまま。
「…とは言っても、また…その元カノさん…、来るんじゃない…???」
翔、
「やれやれ…。」
「もしかして…、私やかあさんと偶然にも、バッタリ。な~~んてね。かかかか。」
そして、
「ふふん。私は…、そっちの方が…面白いけど…。」
「何言ってんだよ。」
「ほらほら。早く寝た寝た。怪我人。もうすぐ明日だ。」
「…って、そっちがこんな時間に、させたんだろ~~。」
泉美、
「シッシッシ~~。じゃね。おやすみ。」
「あぁ。」
そして泉美、
「かあさん、行こ。」
靴音が遠ざかる。部屋の外に翔。
歩きながら翔に手を振る泉美。
そんな姉を見ながら顔を傾げる翔。
走り去るタクシー。
「さてさて。これからあやつはどうなるか…???まっ、どっちに転んでも、私は良いけどね~~。」
泉美。
そんな娘に鈴江、
「何言ってんの~~。他人事みたいに~~。」
「時に男女、思い通りには…行かない場合もある。…ってね~~。…けど…、逆手に取れば、そっちの方が、結果的には上手い方向に向かう場合も…あり。」
そして泉美、思わず、
「ぷっ。」
そして、
「かかかかか。考えてみれば…。」
そしていきなり母親の左肩を右手でペン。
「痛っ。な~~に~~。いきなり~~。」
鈴江。
「とうさんとかあさんの時と、似てるとこあるじゃん。翔~~。一番好きな人とは、結局は無理で…。灯台下暗しで、やたらと自分の事、相談に乗っていた人と、むっすばっれた~~。…って。…けどその人は~家事一切だめ~~。キャッハハハハハ。」
その話を聞きながら鈴江、
「…ったくもぅ~~。」
娘を見ながら、困ったような笑みで…。
「けど…。……、ん~~。そうね~~。かあさん…。懸命に好かれようとして…。焦って、バカやって…。迷惑掛けて…。真っすぐだったもんな~~。…けど、いっつも、姉弟のように何でも話し合えて、慰めてくれて…。相談に乗ってくれて…。そして…、一番好きな人が、いつの間にか、かあさんとは別の人を…。それでもかあさんを支えてくれた人…。」
泉美、
「ふふ。とうさんね~~。」
「ふふ。とうさん…いなかったら、あんたも翔も…、生まれて来なかった。」
そして、
「こんなに綺麗になって…。」
「翔も結構…、イケメンだもんね~~。背も高いし。ふふん。」
母親の顔を見てにっこりと泉美。
「誰に似たんだろ…???」
鈴江。
その声に一拍置いて泉美、
「さ・あ…???」
にっこりと…。
「とうさんじゃ…ないと、言う事だけは…、確か。かっかかかか。」
鈴江、
「ぷっ。今頃、布団の中でクシャミしてるよきっと。」
泉美、
「うんうんうん。なんともお笑い芸人だもんね~~。とうさん。どう見たって、かあさんとは…アンバランスだよ~~。かかかか。」
「な~~に言ってんの~~。顔じゃない。心だよ~~。」
「はいはいはい。耳にタコ出来てますよ~~。ヨシ、着いた~~。かあさん、行くよ。」
鈴江、
「はいはい。」
駅に入って、鈴江、
「あんたの新しいトコ、世田谷だっけ…???」
泉美、
「うん。まっ、前のとこと、大して事務所まで距離、変わんないし…。」
鈴江、
「ふん。ふんふんふん。」

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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。