「ふふ。それに…ほら…。何て言うの…、良い匂い…してるじゃないの~~。え~~、ナッちゃ~~ん。」
柴咲。
そんな柴咲の声に奈都美、
「へっ…???」
「へぇ~~。尾田ちゃんが…かわいいってねぇ~~。」
剛輔。
奈都美、酎ハイを飲みながら、
「うん。」
「ナッちゃんたちと一緒に仕事している人だから、そんな風に…、敢えて…思わなかったけど…。」
美玖。
「かわ…いい…かぁ…。ふんふんふん。」
奈都美の隣で、こちらも酎ハイを飲んでいる朋代。
そして、
「ふん。かもね~~。」
奈都美、
「はっ…???」
「ふん。かわいい…かも…。」
そして、
「にっ。」
奈都美にVサイン。
奈都美、
「はい…???…なになに、なになにトモさん、そのVサイン。」
朋代、
「尾田ちゃんさ。あぁ見えて~~。なんとも…不思議な男って、感じ~~。物すんごい、ナイーブでしょう。」
「うん。」
「それに…どっちかって言うと…、絶対に人の前には現れないって…。」
「うんうん。」
「そん~~な、タイプだよね~~。」
口を一文字に笑顔で朋代。
奈都美、そんな朋代を見て、
「トモさん…、一体…何が言いたいのよ。」
その奈都美の声に剛輔、
「つまりは。都…、つまりはだ。」
奈都美、
「つまりは…???」
剛輔、
「なんの事ぁない。面白い男かも…って、事だよ。なっ、トモさん。」
美玖も、笑顔で頭を傾げて。
朋代、にっこりと、
「剛ちゃん、グッジョブ。」
奈都美、
「は・あ…???」
「その内、分かってくるんじゃな~~い~~。」
奈都美、ぷ~たれた顔で、
「どういう意味よ~~。全然分かんな~~い。」
剛輔、笑いながら、
「かかかか。だから都~~。その内分かってくるってよ~~。」
奈都美、朋代の肩に手を。そして肩を揺すりながら、
「何がその内、分かってくるよ~~。トモさ~~ん。」
朋代、
「いやいやいや。だ~~って、今の七瀬には、し~~っかりと、翔という彼氏、いるんだも~~ん。」
奈都美、
「……。」
「そんなふたりの邪魔は…私だって、出来ないじゃ~~ん。」
「はい…???邪魔…???」
朋代、
「ん~~。まぁ~~。何と言うか~~言葉の例え…。うん。言葉の例え…。」
そして朋代、
「ねぇ、七瀬~~。」
奈都美、グラスの端を口に付けて、ゆっくりと酎ハイを口の中に、
「ん~~。」
「この前私、言ったよね、電話で…。」
グラスの中の液体を見て、朋代に顔を向けて、
「へっ…???」
「加瀬優里亜には気を付けろって…。」
その声に奈都美、朋代に顔を向けたままで、目をキョロキョロと。
そんな奈都美と朋代を見て剛輔、
「ん~~~???」
「まっ。それは、それとして…。へぇ~~。そのスーパーの店長、尾田ちゃん、良い匂い、するってね~~。」
いきなり奈都美、
「そうそうそう。凄いよ。」
朋代の肩を右手でトントンと叩いて。
剛輔、
「ん~~???…尾田ちゃん、いい匂い…すんの…???」
奈都美、
「う…ん…。」
「う…ん…。…なんじゃそりゃ。」
「いやいやいや。だって、だって。最初、会社の廊下、尾田君と歩いてたのね。あっ、そうそう。トモさんのとこに、初めて連れてった時~~。」
朋代、
「あ~~。はいはい。」
「その時、私…、初めて…。尾田君からの…匂い。」
剛輔、
「ふ~~ん。」
そして美玖を見て。
美玖、剛輔を見て、首を傾げて…。
朋代も、首を傾げて、
「ふん。」
そして奈都美、
「なんだ…けど~~。」
ぶすりとした顔で、
「他の人は…匂わないって…。」
剛輔、困ったような顔をして、
「は…あ…???」
朋代、
「な~~んだって。」
剛輔、
「おやおや。」
「翔なんて、一番…近く…。隣にいてもよ、全然って…。」
首を振りながら。
「カンちゃんも、ユッコも…、ヤッさんも、部長まで…。」
その声に朋代、
「ぷっ。」
剛輔、下唇をビロンと。
美玖、絞った唇をいきなり開いて、
「ポン。」

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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。