仕事を終えて渚沙、
「はい、ゆずちゃん、お待たせ。帰ろうっか…。」
橙、
「はい。」
そして病院の薫郎の病室、周りの患者さん。
そして見舞いの人、ふたりを見てニコニコと笑顔で…。
「おっ、ベッピンさんの御成~~り~~。」
薫郎の向かい斜めの患者。
それに笑って迎える見舞いの人。
「お帰り…かぃ。本当に綺麗な人よね~~。」
渚沙も橙も、かなり照れながらも、周りにお辞儀をして。
「ヨッ、兄ちゃん、羨ましいねぇ~~。」
その声に薫郎も照れながら…、
「すみません。ありがとうございます。」
そして橙を見て、
「お帰り、お疲れ。」
そして渚沙を見て、
「阿川さん、ありがとうございます。…なんか…、雅樂じぃに、言われているみたいで…。」
橙、
「はは。ほ~~んと。」
渚沙、
「うた…じぃ…???」
薫郎、
「あっ、すみません。なんでも…。」
そして何故か鼓動が高鳴る橙。
薫郎の顔を見て、いきなり顔を赤らめて、目を潤ませて…。
そんな橙を見て薫郎、
「…???…ゆず…???」
名前を呼ばれて橙、思わず、
「ふん…???」
そしていきなり鼻水を啜り、
「グスン」
けれども、何故か涙が出て来る。
そして目の周りと小鼻を赤くして、薫郎の枕元に椅子を、そして腰掛けて…。
そして小さな声で、
「ユッキ…。」
渚沙は薫郎のベッドの左側で橙を見ながら…。
薫郎、
「ゆず…。ど~~したの~~???目ぇ真っ赤にして、涙なんか…。」
そして渚沙の方に顔を向けて、
「仕事で…何か…ありました…???」
そんな薫郎の声に渚沙、優しい笑顔で首を振って、
「ううん…。」
そして、
「早く良くなってあげて、杉浦君。」
涙を拭いながら橙、ハンカチで鼻を押さえてグスリ。
「ごめん、ユッキ。」
薫郎の顔を見ながら。
そしてゆっくりと息を吐き。涙目のままで薫郎を見つめる橙。
薫郎、
「ど~~したの~~。なんで、泣いてる~~???…あっ、東京から連絡…???」
その声に橙、首を振る。
「そっか…。」
「その件は…もう少し掛かるかな…。ゆずちゃんね、杉浦君の事…ものすんごい、心配してたの…。」
薫郎、その渚沙の声に、
「えっ…???」
「ゆうべ、ホテルの部屋で、杉浦君がもはや危ないって…。病室で重篤な夢…見たんですって。お医者さんからは、手術も出来ない。もはや…手の打ちようが…。…で、看護婦さんからは、関係する人たちに連絡を…って。」
驚いたように薫郎。黙ったまんまで薫郎を見る橙。
「夢、見ながら、ユッキ、死んじゃいやって、叫んだんだって。」
下を向いている橙。
そんな橙を見ながら薫郎、
「ゆず…。」
橙、黙ったままで…。
「ゆず。」
橙、
「…ん…。」
涙で目が潤んでいる。
「ゆ~~ず。」
橙、
「…うん。」
そしてベッドの傍の橙の頭の上に右手を…。
そして頭を撫でて…。
「ありがとな。」
そしてにっこりと。
橙、
「ユッキ…。」
渚沙、腕組みしながら、
「羨ましいね~~。素敵な彼氏と彼女って言うのは…。」
その声に薫郎、
「あっ。いや…。いやいやいや。俺たち…、そんなん…。」
渚沙、
「ふん。ゆずちゃんも…最初はそう…言ってたけ…ど…。」
その渚沙の声に薫郎、
「へっ…???」
「どうやら…。ゆずちゃん…。」
「へっ…???いや…、ゆずにだって…。へっ…???」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。