痛って~~。」
思いっきり両目を閉じて薫郎。
こちらも転んだショックで顔を歪めて、橙、頭の中で、
「…痛った~~。」
そして薫郎、頭の中で、
「…誰だよ…???」
橙も頭の中で、
「…誰…???」
そうお互いに、右に、左に…。
その時、自然に触れ合うお互いの唇。
薫郎、必然的に鼻に薫る甘い香り。
薫郎、橙、
「!!!!」
しかも、下になった薫郎の右腕が、
自分に乗りかかっている身体を持ち上げようと相手の体に触れたその瞬間、
柔らかい丸みのある感触。
薫郎、
「へっ…???」
橙の左胸を押さえていたのだった。
瞬間、橙、いきなり起き上がって、
「ごめんなさい。」
しかも、フレアのスカートの橙。起き上がるときに、
そのフレアのスカートが動きに比例して揺れて、自然にスカートの中が薫郎の目に…。
薫郎、
「あっ。」
けれども腰に手を当て、
「痛って~~。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
完全に起き上がって何度も薫郎に頭を下げて詫びる橙。
薫郎、
「…ゆず…ちゃん…???」
「す…、杉…浦…くん…???」
橙、頭の中で、
「…どうしよ、どうしよ。」
ようやく…起き上がった薫郎、
「あっ。あ~~。」
頭を横に振って。何度も目をパチパチとさせて…。
けれども可笑しそうに、
「かかかか。とにかく痛って~~。」
橙、
「杉浦君…。あっ。」
床に散乱したファイルに著書。すぐに膝まづいて拾いながら。
「ごめんなさい。ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
「あ~~ん…???どしたの、ユッキ。」
廊下で起き上がろうとしていた薫郎。
そしてそのそばで膝まづいて体を動かしている女性を見つけ、
その場所に近づいてきた礼人。
そして飛香、
「へっ…???どうしたの…???」
礼人、
「なに…???何してんのユッキ…???」
飛香、
「ゆず…ちゃん…???」
橙、
「えっ…???あの…、あの…私…。私が悪いんです。前を良く見もしないで急に角で曲がっちゃって…。」
礼人、
「急に…角で…???」
そしてキョロキョロとして。
「あ~~。…でもって、出会いがしらに、バ~~ンと。」
飛香、目をパチクリさせながら…。
礼人、
「ふたりして、ぶつかっちゃったって…訳か。」
橙、薫郎にまた頭を下げて、
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
そんな橙に薫郎。少し赤い顔をして、
「何度も謝る必要ないよ。俺の方こそ、前も見ないで書類に目を通してたんだから…。」
そして、
「ゆずちゃん。怪我…ない…???」
そして、自分の右手の平を見て…。そしてその手の平をすぐに隠して。
今度は唇をすぼめて。
橙もいきなり顔が赤くなり。同じく唇をすぼめて。
「ふたりして、な~にやってんだか~。」
礼人、そう言いながら床に落ちているファイルを拾って、
「ほぃ。」
飛香も傍に落ちている書類を拾って、
「はい、杉浦先輩。ゆずさんも…大丈夫ですか~~???」
橙、
「あ~~。はい。私は…もう…。」
薫郎、照れながら、
「ごめんな、ゆずちゃん。」
橙、
「いえいえ。」
そして、薫郎にまた頭を下げて、
「じゃあ…、私は…。」
足早にその場を去る橙。
薫郎、
「あっ。あ~~。」
そして橙の向かった先…。
薫郎、
「もしかして…。トイレ…???」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
