「ヨシ。私、帰って寝る~~。」
と言って、橙が巽の部屋を出て、それから10分。
巽、窓を開けて、夜の東京
「…みど…。あれから…10年か~~。死のうとして…たんだよな~~。お父さん、死んじゃって。」
ちらほらと頭に蘇るお昼のジェシカでの様子…。
巽、
「ふ~~ん。」
机の上に広げられた複数の素材サンプルと資料。
そして、入念に打ち合わせが進められて行く。
ジェシカの新しいアイテムの企画である。
様々な言葉が飛び交うテーブル上。
翠、
「ふ~~。…で~~。次はこっちと…。ゆず、そのサンプルお願い。」
橙、
「あっ。はい。」
万美、
「それって…。素材的にはOKなんだけど…。季節的に…、無理…ないかな…???
尋音、
「ん~~。でもさ…。結構、このデザインからすれば、行けると、思うんだけど…。」
「うん。まま、悪くは…ないよね~~。」
奈都。
「しっかし、良くこんなデザイン、思いついたよね~~。ゆずちゃん、凄いよ、あんた…もしかして…デザイナーになれるんじゃ…。」
キョトンとした目をして、口を尖らせて奈都
日々、橙が密かにデザインしていた画像が取り上げられていた。
「かっかかか。奈都~~。ゆずに追い越されちゃうぞ~~。」
ボールペンを奈都に向けておどけてみせる翠。
舌をペロリと、
「肝に銘じておきます~~。」
笑いながら奈都。
歩きながら呉羽、
「どぅ~~、進んでる~~???」
テーブルの上の企画構成された状況を見ながら…。そして資料を手に取り、
「うんうん。な~るほどね~~。良い感じ。ようやく…半分まで…、来たかな~~。」
「うん。でも…まだまだ~~。」
翠。
万美、
「そういう事~~。仮にこれ…仕上がっても、どれだけ、生き残れるか…。」
そうである。多くのデザインが仮に仕上がり、打ち合わせが進められたとしても、
実際に商品として生まれてくるのは、それからまたセレクトされることになる。
とにかく、お客様に喜ばれる物でなければならないのだ。
そのために、そのデザインが仕上がり、モデルに着用してもらい、
詳細なまでに商品を提案、提供しなければならないという訳である。
そのためにも企画と営業も一心同体となって、物作りを進めていく。
電話の内線音。
「あ~~。はいはい。」
椅子をスライドさせて橙、
「ジェシカ、企画開発、木葉です。……。あ~~。はい。おります。今、代わります。」
そして後ろに振り返り、
「チーフ。ロンドの…草島様。」
翠、
「ロンドの…草島…???」
受話器から、
「もしもし、お世話様です。ロンドの草島です。」
女性の声である。
橙、
「…お世話様です。草島様、今、逢坂と代わります。」
翠、腕時計を見て、
「あっ。そっか~~。こっちから折り返し電話するって言ってたんだ~~。う~~っわ、こんな時間。」
電話を橙と代わって、右手で、「先、進めてて。」そんなジェスチャー。
「ゆず~~。そっちの生地サンプルお願い。ワンピの方…。そそ、それ~~。サンキュ。」
万美。
尋音、
「…で、これってさ…咲茉。」
咲茉、
「ふん。あっ。ちょっと待って。」
その内、ドアがガラリ。
「毎度で~~す。」
巽である。
スタッフたち、
「え――――――――っ!!!!もう、そんな時間~~~。うそでしょ。」
珍しく、スタッフの誰もが巽には構えない状態。
巽、
「えっ…???あっ…。あの~~~お…???」
その景色を見て、一番奥の席の呉羽、クスリ。
橙、巽を見て、
「あっ。あ~~…。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
