そして、自分の名前を書いて巽、
「はい、僕の名前です。」
目の前に差し出された名刺の裏の名前を見て橙、
「あすま…。たつみ…???」
ストローを口に、目だけ、巽の顔を見て。
「凄~~い、読めましたね~~。意外と…、ユウマって読む人が多いんだけど…。」
「うんうん。どっちかと言うと、ユウマって読むほうが、ポピュラーかも…。でも~~。」
そう言って、今度はバッグから手帳を取り出して、サラサラと、ある文字を…。
「これ…、何て読む…???」
手帳を巽の目の前に…。
巽、
「…???小鳥…遊ぶ…???」
橙、
「うん。」
「まさか…、ことり遊びなんて名前…。」
「それで…、たかなし。…って苗字。」
その声に巽、
「へぇ~~。これで…、たかなしって…読むんだ~~。」
そんな巽の声に橙、
「うん。」
にっこり。
そして軽く1時間。
巽、
「じゃ…。そろそろ…。」
時計を見て、右左見て、巽。
橙、
「あ~~。ごめんなさい。何だか夢中で私…、喋ってばっかり…。」
巽、
「いやいやいや。楽しかったよ。うん。」
そして、テーブルの伝票に手を伸ばして…。
その時、橙、
「あのぉ。」
巽、
「…ん…???」
「そのぉ…。」
巽、首を傾げて。
橙、少し、照れながら…。
再び巽、
「…ん…???」
橙、目をパチパチと。そして、
「ごめんなさい。」
巽、一度は腰を上げたものの、また、座って、
「いやいやいや。謝ってもらうなん…。ん…???」
橙、もの凄い、恐縮に、
「遊馬…さんの…。連絡先って…???」
その声に巽、ようやく…、
「あ~~~。あ~~。あ~~。」
そして、ポケットに入れた橙の名刺を出して見て…。
そこには、橙の住所と電話番号。
「だ~~よね~~。君の連絡先…僕が知ってて、僕の連絡先、君が知らないって…。どう考えても、フェア~じゃ…。」
橙、
「すみません。」
「いやいやいや。」
そして巽、
「え…っと…。」
財布の中を…。
橙、
「これに…。お願い…出来ますか…???」
また自分の手帳を前に。
巽、
「あ~~。うんうん。じゃ。はい。」
自分の電話番号を書いて。
橙、
「ありがとう~ございます。」
けれども、それから2週間、お互いに一度の連絡もなし。
そして日曜日の午後2時、お昼休み。
巽のスマホの着メロ。
「…ん…???誰…、この番号…???…もしもし、遊馬です。」
相手の声がない。
「もしもし…。どな…。」
「木葉です。」
聞き覚えのある声。巽、
「はい…???木葉…???」
その瞬間、
「あ~~~。はいはい。あの時の…。」
スマホの向こう、
「遊馬…さんですよね。ゆずです。」
「はい。うん。覚えてます。」
「その節は…ありがとうございました。」
「いえいえ。」
「あの…。私…。」
巽、
「ふん。」
「東大。合格しました。」
その瞬間、巽、
「お~~~~。凄い、凄い。」
「はい。ありがとうございます。」
「うんうん。良かった良かった、おめでとう。」
「遊馬さんに…、報告したくって…。」
その瞬間、巽、
「えっ…???」

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