ベンチに座った航の周りを取り囲むように野球部員たち。
左手の甲が真赤に…。
有紀、
「海野…。」
そして広瀬を見て、
「先生…。」
広瀬、
「まずいな…。」
航の左手、指の関節を触って…。
航、
「うっ!!!」
ベンチに駆け寄る球審、
「泉川さん…。」
「すみません。ピッチャー交代、お願いします。」
「大丈夫ですか…。」
「いや…。今は…何とも…。」
ベンチからまだ誰も出て来ない。ざわつく観客席。
「だめ。」
いきなり可南子。
傍の可羊子、
「へっ…???」
彩萌、史江、
「可南子…。」
「私、行ってくる。」
いきなり椅子から立ち上がり、階段を駆けて。
可羊子、
「お姉ぇ…。」
弓香、
「ふふ…。うん。」
摩耶、菜穂子、可南子の後ろ姿に、
「急いでよ。」
ベンチ内に志帆、
「すみません。失礼します。航!!!」
入口に振り返る野球部員、
「???」
広瀬、
「あな…た…は…???」
志帆、
「航の姉です。」
部員たち、
「お~~~。」
広瀬、
「すみません…。」
航、
「姉貴…。」
志帆、
「航。」
広瀬、
「有紀、すまないが、残り、おまえ、指揮、取ってくれ。」
有紀、
「分かりました。先生…???」
「私はこれから病院に。…もしかしたら…。」
志帆、航の左手を触って…。
航、
「痛…。つぅ~~。」
「海野君!!!!」
ベンチに入ってきた可南子。
航、
「せんぱ…。」
志帆、
「あ…な…た…???」
広瀬、
「君…は…???」
敦司、
「矢島…せんぱ…。」
志帆、
「もしかして…、可南子…ちゃん…???」
可南子、真剣な顔で、
「はい。矢島可南子です。…海野…君…???」
広瀬、
「これから…病院に…。もしかしたら…、折れてるかも…。」
少し目を潤ませて可南子、
「一緒に…、いいですか…???」
志帆、
「あ…な…。」
そう言って、志帆、すぐに頭をコクリと、
「うん。じゃ、一緒に、行こ。」
部員たち、
「???」
敦司、
「はは。せんぱ…。」
航、
「せんぱ…。」
「海野君に、何かあったら、私…困る。」
可南子。
志帆、
「くく。…だ~~ね。バンドの…パートナー…だもんね。」
部員たち、
「へぇ~~~。」
広瀬、
「じゃ、みんな、後は頼む。有紀。」
有紀、
「はい。」
広瀬、
「じゃ~~。お姉さん、矢島君、いいかな…。私の車で。」
志帆、可南子、
「はい。お願いします。」
「おっ。出てきた。」
信一。
彩萌、
「どう…なってる…???」
史江、
「ピッチャー…???」
「あっ、会田だ…。」
憲央。
「海野…???」
通路を歩きながら史帆、ポーチからスマホを。同じく可南子も。
広瀬、そんなふたりを見て、航を見て、
「ふふ…。」
彩萌、
「…ん…???電話…???」
充希、
「…ん…???もしかして…、志帆…???」
彩萌、
「もしもし…、可南子…???」
充希、
「志帆、航…???」
可南子、志帆、
「これから、病院に行く。」
彩萌、
「うん。分かった。気を付けて。」
充希、
「航…、どうなの…???」
洋、
「かあさん…???」
「航、病院に行くって…。」
「えぇ~~~???」
「志帆、何処の病院…???」
志帆、
「先生…病院…???」

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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。