留美子のその反応に可憐、
「何…、留美ちゃん…知ってるの…???」
「…ん…???いや…。何か…どっかで、聞いたか…???…ん~~~。まっ、いいや…。…んで…お姉ぇ…。」
留美子。
可南子、
「うん。そのバンドのギター担当が、その1年男子なの…。物凄いギター上手。…でも…。」
「でも、そのバンドのリーダーが事故に遭って、今…病院に入院中。」
今度は可羊子。
「事故…???病院…???入院中…。」
「そのバンドのリーダー。女性なの…。左腕…故障して、動かないんだって…。その人の担当が…。キーボード。」
「あ、は~~ん。つまりは…その女の人の代わりって…訳だ。お姉ぇ…。」
留美子。
「な~に言ってんの、お姉ぇ。可南子~~。あんた、これから、大学受験だって言うのに。そんな今からバンドなんて。とんでもない。何考えてんの。」
いきなり可憐。
留美子、
「わお。」
可羊子、その途端に、右目を瞑って、口を真一文字に絞って、頭の中で、
「…きた~~~。」
可憐、いきなり両肩をがっくりと。右肘をテーブルに、右頬に右手の平を。
「はぁ~~。…ったく~~。…この前、龍ちゃんから言われたの。可南子、大学…だよな…って…。」
そんな、自分にソッポを向いている母親に可南子、
「おかあさん。私、おかあさんやおとうさんに反対されても、バンド、やるから。」
きっぱり。
「反対されるのなんて、始めっから分かってたよ。私だって、最初は絶対に出来ない。そう思ってたもん。」
「じゃあ、なんで!!!」
「やるだけの…。価値は…ある。…でしょ、お姉ぇ…。」
いきなり留美子。
「おや…。4人で…ここで…お茶…???」
いきなり入ってきた可織。何かしら、穏やかならざる雰囲気に、
「どしたの…???」
「かあさん。お茶…良いかな~~。」
リビングから燐太郎の声。
可織、
「あっ、は~~い。」
可南子、椅子から立ち上がり、
「私、絶対にバンド、やる。もう決めた。そして、観て来た。」
そのままズンズンと台所から出て廊下を。
「おぅ、可南子、帰ってたか…。」
そんな燐太郎を完璧に無視して…。
燐太郎、
「…ん…???お、お~い。」
頭を傾げて、
「…???」
台所のテーブルの上、可羊子、
「あ~~あ…あっ。やっちゃった~~。」
留美子、腕組みをした上に顔を乗せて、そのまま可憐を上目使いで見て、
「姉貴~~。」
そんな留美子に可憐、こちらも腕組みをして、
「んもぅ~~、留美ちゃん。」
「本当はね。お姉ぇ。物凄く悩んでた。迷ってたんだ。高校3年の夏。転校してきて…。この中途半端で…。友達からバドの部活…勧められたんだけど…。中途半端は嫌って、断って…。」
淡々と可羊子。
留美子、
「うん。」
「そんな時に、クラスに器楽の子がいて。」
黙って可羊子を見る可憐。

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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。