愛美の背中をトントンと叩いて、そして優しく撫でながら…、
「愛…。ありがとうな。……、愛…、俺の方こそ、愛に…謝んなきゃ…。」
愛美、将史に背中を撫でられながら…、
「んんん…。そんな事ない。そんな事ないよ、マサ~。」
「愛…。ごめんな…、全然…愛の事、気付かなくって。」
愛美、
「んんん…。」
そしてゆっくりと顔を上げる愛美、ぐしゃぐしゃになった顔。
その顔を見ながら将史、愛美の両頬を両手で撫でて、
「愛…。」
ゆっくりと顔を将史の顔に下げて行く愛美。
掠れた声で、
「マ…サ…。」
重なる唇。閉じた愛美の睫毛から零れる涙が将史の右頬に落ちて伝う。
「よ~し。これで…いっかな~。」
将史。
「だね~。」
愛美。
「悪ぃな、おま…、仕事…抜けてきたんだろ…。大丈夫か~仕事~???」
「ばっかね~。最初と最後だもん。責任取んなきゃ。」
そんなふたりを見ながら看護師、
「ふふ…。ご馳走様です。」
「いやいや。とにかく退院おめでとう。今回は、私たち医師としても、ある種の出来事でした。稀に見るケース。…しかし…、若いと言うのはいいねぇ~。実に逞しい限りだ。」
医師の本田。
「ありがとうございます。」
ノックの音。
「やっと着いた~~。」
翔太。
「翔太~~。ははは…、あんた。」
愛美。
「いや…。ちょっとだけな。…こういう時に限って、新しいところと契約漕ぎ着けた…。ははは…。ちょっとだけ、抜けてきた。」
「おほぅ~やったじゃん。新規契約。」
将史。
「まぁな…。はは。しんでぃ。走ってきたから…。あれ…、会社の…人…たちは…???」
「ば~か。来る訳ねぇだろ。今はそれどころじゃない。専属契約締結してんだぞ。みんな…そっちに全力で取り掛かってるよ。それが俺たちの仕事だ。かかか…。」
「さて。じゃ、先生、看護婦さん。桐生将史が本当にお世話になりました。」
医師の本田と看護師に丁寧にお辞儀をして愛美。
「ん。お大事に。綺麗な方で羨ましいね~桐生君。え~~。」
将史、照れながら、
「いや…、その…。…つ~か、おま…、それって、俺のセリフだろ…。」
そう言いながら、愛美の左肩を右二の腕で押す。
愛美、
「べぇ~~。」

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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。