「まずは…帰ろう。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”
  一気に驚いて、気を失い掛ける優美子。
「優美子!!!聞いてくれ。あいつら無事だ!!!」

「へっ…???」
「事故に遭ったのは楓と大輔。病院で意識はまだだが…命に別状はない。」

それを聞いて…安堵する優美子。

「はぁ…、良かった。」
そう言いながら、薄らと涙を浮かべる優美子。

「楓のお母さんが、お前にショックを与えないで伝えて欲しいと…。まだ4人も病院にいるそうだ。」

「楓ちゃん…、大輔君…。…明日…病院に行くわ、私。」
「ああ…。」



「お父さん…朱ちゃんと陽子ちゃんたち…。」
弓枝。

「ああ、分かった。送ってく。さあ、ノリ。」
「……でも…姉ちゃん…。」
憲明。

「大丈夫、ノリ。母さん、姉ちゃんの傍にいるから…。お父さんと一緒に…。ねっ。」

「おばちゃん、おじちゃん。」
楓の病室に戻っている朱実と陽子。

「じゃ…、おじさん…。」
智志。

「うん。みんなの両親も心配してるだろ…、ここはまず…。」

これまでの間、朱実や陽子、慎二と智志のスマホにも、家族からの電話が数回。

大輔の病室に佳之。

「橘さん…。」
睦美。

包帯の大輔を見て佳之。
「…なんで…こんな事に…。」
歯を食いしばって…、きつく目を閉じて…。そして、振り返り、
「この子たち、送って、私はまず、これで…。」

「はい。何と言葉を掛ければいいか…。」
睦美、琢己。

「でも…、助かって…ほんとうに…良かった~~。」
目に涙を浮かべて佳之。

その涙を振り絞って、
「ふぅ…。みんな…まずは…帰ろう。」

病院の玄関に向かう6人。既に午後9時を回ったところだった。



朝になり、まだ楓と大輔の意識は戻らず…。
楓の病室のドアをノックする音。返事がない。

「あら…、楓ちゃんのお母さん。」
範子である。

弓枝は、楓の左手を握りながら、眠っていた。



「まずは…帰ろう。」


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