「君がここに…、いつか戻ってくるような事があっても、私たちはいつも君を…、片倉君を…待ってますよ。仮に…モデルの仕事に…挫折をしたとしても…。ここが、君の古巣として…。」
「てん…ちょう…。」
刈谷は奈々子の顔を見て、ニッコリと笑って、両肩に両手を乗せて。
「ふん。ここの事は、心配せず、思いっ切りやってみなさい。私からの…餞別…かな…。カッコいい事…言えないけど…ハハ…。」
奈々子は瞼を熱くして…、
「てん…ちょう…、店長…。ありが…と…。」
ほろりと零れた涙。その涙を刈谷自身の両手の親指で拭って…。
「ハハ…、ありがとうございます。店長…。」
「…ん。泣いたら…折角のモデルが台無しだ。ほれ。」
奈々子の肩をポンと叩いて身体をドアの方へ向きなおして、
「ほれ…行ってらっしゃい。」
刈谷に顔だけ振り向いて…、泣きながら…、
「ハイ。」
チラチラと、仕事をする紗友莉を時折見ながら健介。
そしてまた…時折、窓の外を見ながら…健介。
「フランス…か…。」
ニューヨーク同様、フランスでも奈々子の撮影は絶賛され、
帰国後も様々なメディアとのモデルとしての仕事に奔走する。
数週間後、そんな忙しくなってきた奈々子を見ながら奈緒美…、
「そろそろだね…。やっぱり…、やるっきゃないか。直樹~誰かいない。付けるっきゃないよ。」
「ん~…だね~。では…、ダメ元で…。実際は…有り得ないんだけどね~!」
「…えっ…、いるの…誰か…???」
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