だんだん身体が震え始めていた矢先に、 突然右方向からそう呼ばれて。
顔を向ければ、助手席の窓を開けて、運転席側から拓哉が、
「乗って。送ってく。」
恐る恐る助手席のドアを開け、シートに納まる紗友莉。
「…ったく、この時間帯に、女性ひとりでこの辺、歩ける訳ねぇだろ。考えてみても中学生でも分かるよ。」
何も言えない紗友莉。さっきまでの怯えていた体が、
少しずつ穏やかになっていた。
「…ご、ごめんなさい…、迷惑…掛けちゃって…。」
「…ん…???いいさ…別に…。少しは…落ち着いた…???」
「…ん…。」
と、少しだけ頭をコクリとして、バッグを抱え込みながら…、
「わたしって…。」
「…ん…???どしたの…???」
「バッカみたい…。なに…やってんだろ…。」
「…ん…???仕方ないだろ…。…まぁ相手が悪過ぎる。ただ…、誤解してもらっちゃあ困るが、ジミーは立派で、優秀なデザイナーだ。これは正真正銘。だけど…、そんなあいつを取り巻く連中も…同じように、キャリアな連中ばかりって…ことだ。まぁ…俺も…デザイナーの端くれでは…あるけど…な…。ただ…ジミーとは違う。あいつは…昔っから、女には…モテた。」
「…河合…さんっ…て…???」
「…ん…???あ~そういやぁ、俺…、まだ何も言ってなかったっけな…。ハハ…。」
そんな拓哉の声を、言葉を聞いて少しこころ和らぐ感じの紗友莉。
「河合拓哉…デザイナーだ。」
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