「よし、これで松下さんにワイシャツ…返せる。」 クリーニング店を出て、そう呟き、足を駅の方に進める。
何故かしら…異性の衣類を持っていると言う意味もあってか、
しかも健介の電話番号も知っていると言う事から、
健介に「…ワイシャツ…クリーニング上がったよ。…」
そんな風にも電話したかったが、そんな瞑想からはすぐさま切り替わり、
バッグから左手に持った携帯もそのまますぐにバッグに戻してしまった。
奈々子の頭には、それでも「こんな私を…一目惚れ…なんて…。」
生まれて初めての経験であり、本当に嬉しかった。
その思いに嘘偽りもなかった。
けれども…けれども…、相手が、余りにも、
そんな自分とは掛け離れた容姿をしていたのだった。
それだけでも「わたしなんて、釣り合いが取れない。」
そればっかりが、今の奈々子を占めていた。
「はぁ~あ。私…、何考えてんだろ…。」
ポツリとそんな言葉を突いて、チラリとクリーニングの袋を見て駅に向かう。
そんな時にすれ違うひとりの女性…後ろから。
「あれ…、奈々子…???奈々子~奈々子…。」
「えっ…、誰よ、私を呼ぶ人…???」
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