「あなたの事…嫌いじゃないと思います。私みたいな女に、あんな風にしてくれるなんて、嬉しかった、そしてありがたかった。こんな恰好悪い私に…、あんな事までしてくれて…。でも今のあなたには恋人…いるんでしょ。…なら…その…女の人…大切にして下さい。私の事は…。」
「君の事…諦めろって…言うの…???」
「…だって、私とあなた…、釣り合うはずないし…、それにあなたに恋人いるんじゃ…わたしなんて…。」
「片倉…奈々子さん。もしかして…、君って、今のその恰好って…、何かの…カムフラージュ…。」
その言葉を聞いた瞬間に、奈々子はこころの中でドキッとした。
「どうして…それ…???」
「…だって、全く普通なら目立たない、そんなボサボサのフィッシュボーンに、黒縁のメガネ。逆に言わせれば何処に居ても、普通なら蚊帳の外みたいじゃない。でも、本当の姿は、あのモデルの写真の君。全く異質としか思えないけど…。でも、そうしなきゃならない…何かがある。」
奈々子は言葉が見つからなかった。
たったの一度のあの時、そして今日のあの時のたったの2回で、もう…。
「わたし…この人…。」
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