チラリと健介の顔を上眼遣いで見れば、 健介はただ黙ったままで、お釣りを待っているような素振りで…。
紙袋に雑誌を入れて、健介に渡す前に、
受け取った白いメモ書きをユニホームのポケットに入れて、
「ありがとうございました。」
そのまま店を出て行く健介。
そしてまた次のお客の相手をする奈々子。
最後の客が終わった後に、何かを調べている振りをしてメモ書きを取り出し、
見れば携帯の電話番号。一瞬…、
「困った~~!」
と、思いながらも、成り行き上…、
「電話しない訳には…。」
内心、余り異性とは関わりあいたくはなかった奈々子でもあったが、
何が、どういう訳か、相手は自分の名前を知っていると言う。
そしてその成り行き上、奈々子も相手の名前を知ってしまったと言うのが、
どうも腑に落ちないのである。
勤務が終わり、書店を後にする奈々子。
メモ書きの電話番号に掛けてみれば、
数回のコールで聞き覚えのある男性の声、
「ハイ、松下です。」
「……。」
「もしも…、あ~、もしかして…。」
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