ブレーキを掛ける暇などないくらいに追突された瞬間、 愛子と川岸、そして琴美の乗った車は、
追突してきた車の勢いで1メートルくらい左横に移動していた。
右側の路面上には横断歩道過ぎから掛けたようなブレーキの痕跡が…。
愛子の車、主に運転席側のドアは激しく凹み、
外側からも内部の運転者の重傷を感じられた。
現場は一瞬、時間が止まったように静まり、
その数秒後、時間が動いたように事故に周囲の目が釘付けとなった。
周囲の車両も次から次へと停止し、
通り掛かりの人々が1人2人と衝突した車に近づいていた。
愛子はもちろん、川岸も咄嗟の事で、気が朦朧としていた。
愛子は体を左側に投げ掛けたようになり、
左腕は川岸の右太腿の上にあり、
右腕は手首がギアを叩き付けたようになっていた。
ホンの数秒の出来事であったが、何分も経過したような状況。
左のドアに叩き付けられたような状態の川岸が、
ようやく気がついたように目を動かすと、
ひとりの男性が助手席のドアを開けて、
「大丈夫ですか???」
そう言いながら、携帯で話していた。
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