夕方、玄関のチャイムが鳴る。 愛子の声を待たずに、玄関のドアを開け、
「お疲れ様で~す、愛さ~ん、川で~す。」
もう、殆ど勝手知ったる家でもある。
愛子も、「どうぞ~!」と言う感じで、いつもの事と言うざっくばらんさで、
「川ちゃん、お疲れ様、ごめんね。」
「おっ、琴ちゃん、大人しくテレビ観てるか、これ、ケーキだよ~ん。」
「あ~川じぃ、ありがとう。食べる食べる~!」
「琴~ちゃ~んと手~洗ってね~!」
「ハ~イ」
「愛さん、疲れてない???逢う事ない栄さんの家族と親戚に囲まれてて…。」
「う~ん、疲れてないと言えば、嘘になるけど、そんな事、言ってられないし…。それに、そんなに悲しんでもいられない。」
「それに、もう…泣きたいだけ泣いちゃったみたい。」
実際、この3日間、夜は必ず布団の中で、
琴美には聞かれないように枕を濡らし続けていたのだった。
そして眠りに就いては数時間後にはまた眼を覚まして、
あれこれと思い出が巡り、その都度、声を殺して泣いて、
琴美の寝顔を見て、また再び眠りに就いての繰り返し。
考える事だらけの夜だった。
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