「それじゃ…本当に大変。」 「うん。今日も、あれから病院に奥さんを見舞に行ってたの。」
「そうだったんだぁ。」
特に、それからの慶子からの、先ほどの「彼」と言う言葉の深い話しはなく、
やがてそれぞれが、用意された布団の中で眠りに就いた。
翌日、栄二の実家の家族や親族はお昼過ぎには帰路に立ち、
新谷家は初めて栄二のいない愛子と琴美だけの家となった。
古くからの家で重みのある家。
それでいて落ち着きのある家である。
栄二がいればこそ、その主人がいればこそ、
これだけの家でも、ずっしりとしていて主の諸手に相応しい家でもあった。
それが、栄二を失ってその後…、少しだけ、張りつめていた空気が、
その張りを失ったかのような感じにも思えた。
ただ、空気が少し変わった気がするとは言え、
愛子は、今まで通りの生活をそのまま続けるのであった。
逆に、そういう生活を続けていないと、
自分自身が動けなくなる体になってしまうと、
栄二の家族と別れてから、すぐに気持ちを切り替えたのである。
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