夏の夜の、あの加瀬との事がなかったら、 多分、飛行機での咄嗟の弘美との関係は、
なかっただろうと純一は感じていた。
確かに偶然が重なったとは言え、
あれが運命だったのだと確信したのだった。
もちろん、社内での加瀬と純一との間は以前と全く変わらずのままで…。
当然ながら、この時点では、パリ旅行に参加した他の社員の誰一人、
まさか藤崎純一と浅川弘美と関係が出来たと言う事など、
知る人もいなかったのである。
もちろん礼子の事である、こういう男女の事は、
その時が来れば、自然に人の耳には触れるものだと言う事を心得ていた。
別の意味では今後の純一の姿勢、態度から社員の誰かが、
それなりに気付くと言う場合もあるかと言う事も…。
そして…もう一人…、肝心の弘美の妹分の佐也加は…と言えば…、
パリから帰国後の弘美に、正に妹分如くに、
弘美にべったりと張り付いたのであった。
そのはしゃぎようときたら…、
勤務以外では弘美も呆れるほどでもあった。
でも…、そんな佐也加を見ながら、
自分と純一の事を喜んでくれる人々の事を考えると、素直に、
「…こんな40も真ん中の女が、若い30代初めの男性と恋い焦がれる事を…こんなにも喜んでくれてる。」
そんな事を考えると、逆に弘美の方が、
涙が出るほどに嬉しく、自分を幸せだと感じるのだった。
それからと言えば、純一に弘美の家族同様の裕子と徹、
そして杏子を紹介し、無論佐也加とも一緒に食事をしたりと紹介し、
わずかの間に、純一の人となりを弘美の周辺でも快い感触となって行った。
そして弘美と純一の仲を取り持ったような感じの礼子とも、
弘美からあらためて裕子夫婦は紹介され、
和気藹々とした雰囲気で知り合いになれたのだった。
同じように、仕事で佐也加と一緒に礼子とも会い、
ここでまた佐也加に素敵な男性を紹介してくれる事も、
佐也加は礼子と約束したのであった。
レディファーストとしての弘美の周辺と純一が知り合えた後に、
初めて純一は姉の朋子家族を弘美に紹介したのであった。
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