しかし、連休中しかもセール期間だったため、めぼしいお店はどこも長蛇の列。
たまたま席が空いていたのはよりによってあーちゃんの大好きなパン屋さんのイートインスペースだった。
お正月に随分自由にご馳走を食べまくったあーちゃんに、これ以上余計なものを食べさせたくなかったのだが、
パン屋に入ればもちろん、覆いかぶさりそうな勢いでパンに近づき離れない。
大好物を目の前に出されて「食べるな我慢しろ」というのも酷な話だしね。
あーちゃんは大はしゃぎでモンブランパンを食べながら
そのパン屋さんはあーちゃんの自宅へ向かう電車の改札近くにあるため、ダンスのレッスンに通っていた頃はそのお店の前をよく通りかかっていたのだ。
ワフウフは不安になった。
「ダンスの帰りに、自宅に向かう電車に乗るためにパン屋さんの前を通り過ぎていた」
という事があーちゃんの頭の中にインプットされている。
…と、いうことは…
用があって自宅からひと駅離れた区役所に行った時も、老人ホーム行き方面ではなく自宅行き方面のホームへ歩いて行ってしまったあーちゃんだし…。
しかし、パン屋さんを出てもあーちゃんは自宅へ向かう電車の改札に向かう気配はなく、大人しくワフウフに付いて老人ホーム行きのバス停へ向かってくれた。
パン屋さんの中で自宅へ向かう電車の改札が分からなかったとは思えない。
「ダンスの帰りに、美味しそうだなあと思いながら見ていたのよ!」
言いながら改札の方を身振りで示していたもん。
それでもそちらに向かわなかったのは…
帰る=自宅ではなく、
帰る=老人ホームの自分の部屋に上書きされているのだろうか。
そうだったらいいな…。
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