盛岡食いしん爺日記
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ある方と直利庵で待合せ。
約束の時間は7時半。
8時がラストオーダー。
混雑も収まり始める時間だ。
店の前で落ち合い、中へ。
直利庵は、高層マンションに囲まれている。
それでも昼も夜も威風堂々揺るぎない。
Tommy Flanagan Trio_You Go to My Head
今日はどんぶり物が食べたいと思っていた。
すると、一緒の方が「天丼にします」。
一緒にどんぶり物とはそば好きの人だけに予想外。
私はかつ丼にした。
そば屋でどうしてどんぶり物が始まったのだろう。
と言うと、向かいの人は素早くスマホを持った。
江戸時代に「天ぷらそば」などが人気となり、
その天ぷらをご飯にのせ始めた。
そんな歴史があるらしい。
天ぷらを揚げる油、蕎麦の出汁と使えるので合理的で定着していった。
そんな感じの様だよ。
なるほど、今でもそばと天丼などのどんぶり物とのセットは人気だ。
それにそばとご飯が合うことも理由の一つだろう。
さて、箸を持つ。
しっかりかつを包むころも。
玉子のとろみ具合。
かつの下に敷かれた飴色の甘い玉ねぎ。
食べる前に頭に浮かぶ。
玉子と玉ねぎとかつを一緒に食べた。
浮んだとおりに美味しい。
向かいに置かれた天丼。
真っすぐに伸びた大ぶりの海老2本の存在感。
脇を固める野菜と小さな海老。
ご飯が隠れてしまっている。
このタレで、ご飯がすすむ、すすむ。
やはり「かえし」がしっかりしているからだろう。
ある方が話していたことを伝えてみた。
直利庵の味は、品のよいそばとつゆが一緒になると、
絶妙のバランスで、一層美味しくなる。
老舗の直利庵はそれを計算していると思うと言っていた。
話し終わると、向かいの方は頷いていた。
伝統の味のかえしから、そばはもとより、
オニオンそばや野菜そばなど変わりそばのつゆ、
どんぶり物のタレに繋がるのだろう。
やはり基本がしっかりしているのだ。
そして、烏賊の酒盗、しらすの釜揚げなど酒の肴も素晴らしい。
小皿についてきた漬物。
キュウリがとても美味しい。
やはり、老舗のそば屋「直利庵」は140年続く日本料理の店。
想えばてんぷらも昔と違ってきていると思う。
気がつけばうすごろもになり、食材の味をしっかり楽しめる。
伝統の味を守りながら、
留まることなく更に工夫を重ねているのだろう。
どんぶり物についてくるそば。
あっさりとした味付けでふ海苔も。
天丼やかつ丼の引き立て役に徹している。
食べ終わると、二人のテーブルに満足感が漂う。
そば湯を飲みながら、向かいの人が牡蠣そばの話をした。
季節のそばの牡蠣そばは、臭みのない牡蠣の旨味を楽しめる。
そして、牡蠣の下にはびっしりワカメが敷かれ、
一番上にのる刻まれた柚子。
香りからしてやられる。
私もうんうんと何度も頷いた。
会計しながら女将さんに挨拶。
「今日も美味しくいただきました」
今宵もやわらかい微笑みに送られて店を後にした。











