盛岡食いしん爺日記
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足首辺りまで積もった雪が溶けない。
数日続く真冬日。
白い粉雪の下は氷。
まだまだ長い盛岡の冬。
あの桜咲く春が遠い。
この雪の壁のすぐ向こうは国道4号線。
東北の大動脈を車はゆっくり走る。
甲殻類の様に動く、大きな重機が雪を掻き分けて走って行った。
逞しい音だ。
国道を北西に渡れば高松と呼ばれる地域。
道路から「盛岡食堂高松店」の看板は目立つが、
どこに車を停めればいいのか、迷う。
車だと、ずっと遠回りして裏の駐車場に辿り着く。
Ron Carter - O Grande Amor - from Sweet Rain by Stan Getz
裏の駐車場は除雪され、停めやすかった。
皆は裏から入って行く。
昔々、まだバスケットをしていた頃に訪れた記憶がある。
数人で来たが体育館に車を停めたまま歩いて来たと思う。
確か店の正面から入った。
そして満腹で午後の試合に行った。
いや、午前の試合の後だったかもしれない。
三十数年前の朧げな記憶。
子供の頃の記憶の方が鮮明な事がある。
たぶんそれは思い出す度に上書きされているのだろう。
その都度、記憶のコントラストが強調されるのかも。
今夜も初めて来た時の様に、
ある方の先導で連れ立ってきた。
一人だと右往左往したに違いない。
中に入って目を見張った。
カウンターの少しだけ背あてのついた丸い椅子。
歴史を刻んだ木製の椅子とテーブル。
目の前に昭和の世界が広がっていた。
家族連れや仕事帰りらしい人達。
若いカップルもいた。
家族連れの笑い声。
後は黙々と食べている。
一緒の人が言った。
「値段もリーズナブルだなぁ~餃子が5個で350円だ。」
みんな壁に貼られた黄色のアクリル板を見た。
初めて来た時、何を食べたか思い出せない。
たぶん皆でラーメンとチャーハンのセットでも食べたのだろう。
私が頼んだ焼きそばがひと足早く来た。
テーブルに置かれると、ソースのいい匂い。
みんなが覗き込む様に見る。
「いい匂い、美味しそう~」
昔懐かしいソース焼きそば。
ソースが太めの麺によく絡んでいる。
食べるうち、いよいよ昭和の世界に浸っていく。
しばらくして先立ちの人が頼んだ唐揚げ定食が登場。
ご飯は半分にしたという。
お盆を占領する存在感の鶏唐。
いやここでは鳥唐と書く様だ。
大きい!
流石にジャンボと言うだけある。
みんな目を丸くした。
醤油ベースのタレだろう。
ちょっと焦げた匂いがたまらない。
視覚と臭覚から攻めてくる。
「一つどうぞ」
と言われ、小さめの物を一個いただいた。
箸で持つとその大きさが際立つ。
カリカリの後に鶏肉。
美味しい~
一個でも食べ応え十分。
みんなの口からカリカリが聞こえる。
店が見えても車で行きにくいのに人気の盛岡食堂高松店で名物ジャンボ唐揚げ。
なるほどと感心している自分がいた。
会計する頃には最後の客だった。
我々以外はいないので店内の写真を撮らせてもらった。
奥さんにことわると、
みんな勝手に撮って載せてるよと笑う。
初めて来たのかと言われ、
三十年以上前に来たと答えた。
もう開店して四十年らしい。
「ご馳走様、美味しかった」と口々に言って店を出た。
まだまだ元気な昭和感の強い町中華だった。
車の温度計は氷点下4度。
でも、さほど寒さを感じない。
やはり満腹になると身体が温まる事を改めて思った。
キュッキュッと鳴く雪を聞きながら解散。
バスケットをしていた頃を思い出しての帰り道。
盛岡市高松1丁目 NHK盛岡支局近く国道の交差点そば
盛岡食堂 高松店












