こんにちは
犬との出会いは縁…しかし「縁だからこそ」健康を知る覚悟が必要
可愛いと思って出会ったその子が、もし重い遺伝性疾患を抱えていたら…
それでもあなたは家族として迎える覚悟がありますか?
私は、犬との出会いは奇跡のようなものだと思っています。
けれど同時に、「どんな健康状態で生まれてきたのか」を知ろうとすることも、迎える側の責任だと考えています。
病気のリスクを知るのは決して「疑うため」ではなく、「守るため」だからです。
遺伝子検査は「安心のため」ではなく「覚悟のため」
「遺伝子検査をしています」と言うブリーダーも増えましたが、本当にその子の検査結果なのか? どの病気の検査なのか? 正しく紐づいているのか? ここを確認するのは決して失礼なことではありません。
むしろ、命を預かる側として当然の確認だと思っています。
以下にチェックリストを作りました。
迎えたら15年~20年一緒に過ごす家族を決める時に、必ず持参してほしいリストです。
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■犬を迎える前に確認したい 遺伝子検査チェックリスト
1. 遺伝子検査実施の有無
☐ 遺伝子検査を実施済みか確認
☐ 検査実施日や検査機関を確認
2. 検査結果の確認
☐ 書面やPDFなど公式の結果を提示してもらう
☐ 検査結果に以下が記載されているか確認
☐ 犬の名前・登録番号
☐ 年齢・性別
☐ 毛色・カラー
☐ 両親犬の情報(血統書番号など)
☐ 検査結果が繁殖犬・子犬と正確に紐づいているか確認
3. 採取・検査プロセスの確認
☐ 採取方法(粘膜採取、毛根、血液など)を確認
☐ 採取から検査機関への送付までの流れを確認
☐ 可能であればその場で採取を見届ける
4. 確認項目
☐ マールやパイボールドなど、遺伝性疾患リスクのあるカラーの交配制限を確認
☐ 遺伝子保因犬を交配しない方針か確認
☐ 交配計画や繁殖方針を文書で確認できるか
5. 疑わしい場合の対応
☐ 検査の再実施をお願いできるか確認
☐ 個人で検査キットを購入し、立ち合いで採取・郵送できるか確認
その他
☐ 検査結果と実際の健康状態(ワクチン接種、健康診断結果など)も合わせて確認する
ポイント
☐ 「見せてもらうだけで安心」と思わず、犬ごとに正確な情報が入力されているかを確認する
☐ 疑わしい場合は、自分で採取して検査することで信頼性を確保できる
☐ レアカラーや希少カラーは遺伝的リスクが高いため、医療費や障害の可能性も含めて迎える判断をする
*遺伝子検査は疾患リスクの判定であり、健康そのものを保証するものではありません。
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犬種別の主な遺伝子疾患例
ここにいる犬種は、過去にそして現在、ブームになった犬種です。ブームになりその年の人気犬種ランキング10位以内に入ったことがある犬種。
言い換えれば、それだけ人気になったということは売れているので、もっと小さく、もっと可愛く、もっと美しく、もっと珍しくと交配が重ねられた犬種とも言えます。
ミニチュアダックス
・進行性網膜萎縮症(PRA)
・フォン・ウィルブランド病(vWD)
・変性性脊髄症(DM)
*小型化や人気カラー(マール・パイボールド・チョコタン)優先の繁殖
近親交配や色重視の交配
コーギー
・変性性脊髄症(DM)
*ショー用血統や人気血統を重視した交配、近親交配で遺伝的多様性低下
柴犬
・GM1ガングリオシドーシス
・進行性網膜萎縮症(PRA)
*外見(毛色や体型)優先、近親交配による遺伝子偏り
トイプードル
・進行性網膜萎縮症(PRA)
・フォン・ウィルブランド病(vWD)
・好中球減少症(CN)
*人気犬種で毛量や巻き毛の美しさ重視
小型化や色優先の近親交配
チワワ
・環軸椎不安定症(AAS)
・水頭症(遺伝的素因を含む)
*超小型化・顔の短縮化を重視した繁殖
近親交配による骨格異常の増加
フレンチ・ブルドッグ
・気道閉塞(短頭種気道症候群)
・椎間板ヘルニア
・皮膚疾患
*顔の短縮(ブタ顔)・太い体型を重視した交配
呼吸器・骨格・皮膚への負担増
パグ
・呼吸器障害(短頭種気道症候群)
・眼疾患(角膜潰瘍・緑内障)
・皮膚疾患
*顔の短縮・目の大きさ重視でショー用交配
呼吸器・眼・皮膚リスク増
ハスキー
・進行性網膜萎縮症(PRA)
・グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損(G6PD欠損症)
・膝蓋骨脱臼
・甲状腺機能低下症
・多発性自己免疫疾患
・免疫異常
*毛色(アイスブルーアイ、パールカラー)や体型を優先した繁殖
近親交配・色重視で遺伝的リスク増
ゴールデン・レトリバー
・股関節形成不全
・心疾患
・皮膚疾患
*ショー血統・美しい外見優先の繁殖
近親交配で股関節・心臓・皮膚疾患増加
遺伝子検査の費用目安
検査タイプ | 費用相場
単一検査(PRA / vWDなど)| 5,000〜10,000円
複数検査(3〜5項目) | 10,000〜20,000円
(10項目以上)| 20,000〜30,000円
*ブリーダーが「検査済み」と言うなら、これくらいのコストは当然かかっているはずです。
*逆に「検査してます」だけで書類が出せない場合は、信頼性に大いに疑問が残ります。
迎えるべきか迷ったとき「迎えない選択も愛」
私はこう思っています。
「重い遺伝性疾患の可能性が高いと分かった上で、それでも迎えてくれる人がいる」という状況は、時として“無責任な繁殖”を助長してしまうのではないか、と。
もちろん、その子を救いたいという気持ちは尊い。
でも「誰かが助けてくれる前提」で生ませ続けるブリーダーがいたら、一時的には救っていることになっても、長い目で見れば疾患を持った犬をずっと作り続けることを受け入れてしまう結果になると思うのです。
だからこそ私は、「検査の結果によっては迎えない」という判断も、立派な“愛”だと思っています。
その姿勢が広がれば、
・近親交配
・より小ささを求めた交配
・マール×マールなどの危険交配
・健康より色を優先する交配
こうしたものが確実に減ります。
最後に
遺伝子検査は「健康な子を選ぶための手段」だけではなく、「その子と向き合う覚悟を固めるための道具」でもあります。
検査をした上で迎えるのか、迎えないのかの判断はもちろん、疾患を知った上で迎える場合には大きな差につながります。
例えば、迎えた犬がいつもと違い、何となく様子がおかしい…でも時間が経つと症状が消えた、病院に行くまでもないか…と自己判断しがちな場合でも、遺伝性疾患の有無を知っていれば、「もしかしたらこの症状は…」といち早く気づけるかもしれません。
それは愛犬に負担をかけず、早めの受診につながることになります。
あなたの愛情が、どうかひとつの命の未来を変えますように。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

