こんにちは
犬の管理栄養士です。

 

近年、犬猫の寿命が延びてきたことで多くなった、犬の「認知症(高齢性認知機能症候群)、アルツハイマー型認知症」についてのお話しです。

 

糖尿病が影響することが分かってきた犬の認知症。

 

「認知症(高齢性認知機能症候群)」、「アルツハイマー型認知症」に関しては「歯周病菌」も大きく関わっていますが、今日の記事では糖尿病に焦点を絞って考えていきたいと思います。

 

 

 

人の糖尿病と認知症の関係


人の糖尿病と認知症には深い関係があって、糖尿病がある人は認知症になるリスクが高くなることが知られています。

 

糖尿病は血糖値の上昇によって引き起こされる疾患で、継続的な高血糖は神経系や血管系にダメージを与えることがあります。


糖尿病によってダメージを受けた脳は、認知機能の低下や記憶力の低下などの症状を引き起こすことがあり、このような症状が進行すると、認知症に陥る可能性があります。

 

糖尿病に伴う高血圧や高脂血症などの合併症も、認知症のリスクを高める要因となりえます。

 

糖尿病患者は、認知症予防のために血糖値のコントロールや適切な食生活、適度な運動、血圧やコレステロールの管理などを行うことが重要です。

 

一方、認知症がある人は糖尿病になるリスクも高くなるそうです。

 

認知症によって認知機能が低下すると、自己管理能力が低下し、食事や運動の管理がうまくできなくなるため、糖尿病を発症しやすくなります。

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犬の糖尿病とは

犬の血液中の血糖値が高くなり、それによって膵臓が分泌するインスリンの量や効力が不十分になる状態を指します。

 

この結果、犬の身体はエネルギーを効率的に利用できず、体内の細胞に必要な糖分を取り込むことができなくなります。

 

■犬の糖尿病の主な原因​​​​​​​

膵臓が十分な量のインスリンを分泌できなくなることで、自己免疫疾患、遺伝的要因、肥満、運動障害、栄養失調が発症します。

 

糖尿病は年齢が上がるほど発生率が高くなり、シニア期以降に発症することが多い病気です。

 

■犬の糖尿病の症状

多尿、多飲、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢などがあります。
※犬が糖尿病であることを診断するためには、血液検査や尿検査が必要です。

 

■糖尿病の治療方法

食事療法、運動療法、インスリン注射などがあります。

 

・食事療法
糖質や脂肪の量を調整し、消化の良い高たんぱくな食品を与えること。

 

・運動療法
運動を通じて血糖値を下げることができます。
*過剰な運動は血糖値を上げることがあるため注意が必要です。

 

・インスリン注射
インスリンは犬の症状に応じて個別に処方されます。

 

■犬の認知症とは

▪アミロイドβタンパクの沈着:ヒトのアルツハイマー病でも見られる変化で、神経細胞間の情報伝達が阻害されます。

 

▪脳の萎縮:前頭葉や海馬など、記憶や行動制御に関わる部位が萎縮

 

▪神経伝達物質の減少:特にセロトニンやドーパミンの低下が行動の変化に関与

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■犬の糖尿病による認知症の発症メカニズム

▪高血糖は脳内の神経細胞の構造や機能を変化させ、神経細胞が死滅

 

▪高血糖は犬の血管を損傷し、脳血流の低下を引き起こす

これらの要因が重なることで犬は認知症の症状を示すことがあります。

 

■犬の認知症の症状

・方向感覚の喪失

 家の中で迷う、壁に向かって立ち止まる、トイレの場所を忘れる
・交流の変化

 飼い主や他の動物への反応が薄くなる、反応しない
・睡眠の変化

 昼夜逆転、夜鳴き、夜間徘徊
・排泄の失敗

 トイレの失敗、トイレの合図がなくなる
・活動レベルの変化

 無目的にうろうろする、活動量の低下、興味の喪失
・吠える

 1日中理由なく吠え続ける

 

これらの症状は犬が高齢になると自然に現れることがありますが、糖尿病によって早期に発症することがあります。

 

■発症年齢と発症率

・小型犬:10歳以降から少しずつ兆候が現れることが多い
*比較的寿命が長いためシニア期後期に発症しやすい

・中型犬(10〜25kg):8〜10歳頃から
*活動量の変化が見え始める時期に兆候が出ることも

・大型犬(25kg以上)7〜9歳頃から
*寿命が短めな分、比較的早い段階で認知機能の変化が現れる


 発症率:11歳以上の犬の20~30%15歳以上になると70%以上が何らかの認知症の兆候を示すといわれています。

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■糖尿病による認知症の治療方法

まずは糖尿病自体の治療が重要です。

 

犬の血糖値を正常範囲に保つことで、高血糖による脳への悪影響を最小限に抑えることができます。

 

また、運動や刺激を提供することも効果的です。

 

犬の日常生活において、規則正しい生活リズムを保ち、犬のストレスを最小限に抑えることも重要です。

 

犬の糖尿病を予防するための食材

バランスの取れた栄養価の高い食事を与えることが重要です。糖尿病のリスクを減らすための食事における注意点です。

 

1.低糖質の食材を選ぶ

 

犬の食事には炭水化物を使用することが多いですが、糖尿病を予防するためには摂取量を減らすことが重要です。


代わりに、高タンパク質で低糖質の肉、魚、卵などの食材を含む食事を与えることが望ましいです。

 

2.食物繊維を含む食材を選ぶ

 

野菜や果物に含まれる食物繊維は血糖値を安定させる効果があるため、犬の食事には必要不可欠な栄養素です。


サツマイモ、カボチャ、キャベツ、ブロッコリーなど低糖質で食物繊維が豊富な食材を与えることが望ましいです。

 

3.脂肪の種類に注意する

 

犬の食事には必要不可欠な脂肪ですが、食事の中での脂肪の割合には注意が必要です。適切な脂肪の割合は犬種や年齢によって異なります。

 

4.適切な食事量を与える

 

過剰な食事量は犬の肥満の原因となるだけでなく、糖尿病のリスクを高めることがあります。


犬の食事量は、犬種、年齢、体重などに応じて決める必要があります。

 

5.予防に適した食材

 

以下の食材が犬の糖尿病予防に役立ちます。

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・肉類:牛や豚、馬、鹿などの赤身肉
*脂肪分が少なく、たんぱく質が豊富なお肉

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・魚類:鮭、マグロ、サバなど。
*油脂が豊富でたんぱく質が多く含まれる魚類

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・野菜:ケール、カボチャ、人参、ブロッコリー、キャベツなど
*食物繊維が豊富で糖質が少ない野菜

・無糖のヨーグルト:
*乳酸菌が腸内環境を整え、免疫力を高める効果があります

・卵:タンパク質が豊富
*アミノ酸スコアが100の全卵は、コレステロール値を上げることなく必要な栄養素を補充できます。

 

犬の認知症治療とケア

糖尿病が完治(または安定)しても、認知症が元通りに「完治」することは基本的にありません。

 

ただし、進行を遅らせたり、症状を軽減することは可能です。

 

認知症は治る病気ではないが

脳に必要な栄養素がしっかり摂れる抗酸化物質や中鎖脂肪酸などで、脳代謝が活性化されたり、環境や生活習慣の工夫によりストレスが減ることで、一部の症状が軽減するなど改善して見えることはあります

特に「夜鳴きが減った」「目が合うようになった」「トイレを思い出した」といった変化が報告されているようです。

 

適度な運動などの他に大切なことはやはり「毎日の食事」です。

 

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1. 食事療法

 

・抗酸化成分(ビタミンE、C、セレン)


*カボチャ、アーモンド、アクを抜いたほうれん草、ブロッコリー、赤パプリカ、イチゴ、キャベツ、芽キャベツなど

・DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)


*動物性食品:魚油、イワシ、サバ、サーモン、アジ、クリル(オキアミ、クリルオイル)
 植物性食品:亜麻仁油、えごま油、チアシードすり潰したクルミ

 

・中鎖脂肪酸(MCT):脳の代替エネルギー源
*MCTオイル、ココナッツオイル、ヤギミルク

 

◆ 酸化に要注意!

 

オメガ3脂肪酸は非常に酸化しやすい油脂です。
酸化した油は逆に体に悪影響(炎症促進)を与えるため

 

・冷蔵・冷凍保存
・開封後は早めに使い切る(2〜4週間以内)
・ビタミンEなどの抗酸化物質と一緒に摂る
ことをおすすめします。

 

2. 薬物療法

・セレギリン(アニプラネル):ドパミンの分解を抑えて、脳の機能維持を助ける
サプリメント:ギンコビロバ(イチョウ葉エキス)、SAMe(サミー)、CBDオイルなど

 

犬の認知症の予防

完全な予防は難しいものの発症は遅らせることができるとされています。

 

・若いうちからの適度な運動と刺激(散歩・おもちゃ・新しい体験)
・食生活の見直し
・シニア期の定期健診(7歳頃から)

 

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家族ができること

  • 怒らない・責めない:失敗や混乱は病気によるものです

  • 排泄介助や夜鳴き:対応は大変でも、介護用品や獣医師の支援を活用しましょう

  • 記録をつける:日々の変化を記録しておくと、治療方針の決定に役立ちます

 

次回は、糖尿病、認知症予防とケアのための手作りごはんレシピをご紹介したいと思います。

 

この情報が皆さまの愛犬の健康に役立つことを願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。