こんにちは
犬の管理栄養士です。
3年ほど前にてんかんに有効な食材などをご紹介しましたが、更に詳しく食材と栄養素についてまとめてみました。
犬のてんかんは全体の約0.6%~1.9%にみられ、特定の犬種では2%~5%と高くなることもあります。
発症しやすいのは、生後6か月から5歳頃の若い犬が中心ですが、脳に障害がある場合などは年齢に関係なく発症することもあります。
ジャーマン・シェパード、ビーグル、ダックスフンド、テリア、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどの犬種では発症傾向が高く、遺伝的な要因も関与していると考えられています。
犬のてんかんには大きく分けて2種類あります。
特発性てんかん(遺伝性が強い)
・原因がはっきりしない、遺伝的な要素が強いタイプです。
・発症年齢は生後6か月~5歳頃が多く、若い犬に多い傾向があります。
症候性(構造性)てんかん
・脳腫瘍、脳炎、外傷など、脳に何らかの原因がある場合に発症します。
・この場合は高齢犬でも新たに発症する可能性があります。
発作や行動の変化はご家族にとって大きな心配ごとですが、日々の食生活で脳をサポートできる栄養素があります。
目次~~~~~~~~~~
犬のてんかんと脳を守る食材と栄養素
■食材
・MCTオイルやMCT配合フード(てんかんの発作頻度低減)
・内臓肉、ブロッコリー、トマト(αリポ酸の微量供給、抗酸化)
・赤身肉や魚(カルニチンによるエネルギー産生サポート)
・米麹甘酒、バナナ、納豆(エネルギー代謝とB群の補給)
■発作を減らす食事の味方、中鎖脂肪酸(MCT)
複数の臨床試験で、抗てんかん薬と併用したMCTの摂取により発作頻度が減少したことが報告されています。
特にMCTオイルやMCTを配合した療法食は、研究データに基づいた実践的な選択肢です。
*導入の際は必ず主治医と相談してください。
■抗酸化で脳を守る、αリポ酸
αリポ酸は強力な抗酸化物質で、ビタミンCやEなどを再生させ「抗酸化ネットワーク」を支えます。
腎臓や心臓などの内臓肉、ブロッコリー、トマト、ほうれん草などに含まれます。
犬の食事では「微量を積み重ねる」目的と捉えるとよいでしょう。
*研究の状況としては、単独での有効性ははっきりせず、「抗酸化+ミトコンドリア補酵素+オメガ3脂肪酸」といった総合配合の中で老齢犬の学習や記憶の改善が示されています。
■脂肪をエネルギーに変える、L-カルニチン
赤身肉や内臓に多く含まれ、脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ重要な働きを担います。
心疾患領域では用量ガイドが確立していますが、脳機能に関しては総合的な栄養設計の一部としてのエビデンスが中心です。
*サプリメントとして用いる場合は必ず獣医師に相談してください。
■神経の働きに欠かせない、ビタミンB群
特にチアミン(B1)欠乏は神経症状や発作の原因になることがあります。豚肉、レバー、全粒穀物、豆類、種実類に多く含まれます。
米麹甘酒にもB群やアミノ酸が含まれます。
*与える際は無糖、アルコール無添加であることを必ず確認してください。
*補足として、アジ、イワシ、コイなど一部の生魚には「チアミナーゼ」という酵素があり、ビタミンB1を分解してしまいます。
そのため犬に生魚を与える場合は必ず加熱が必要です。
煮干しは加熱加工済みなのでチアミナーゼは失活しており、ビタミンB1を壊す心配は基本的にありません。
■与え方の目安(小型犬の一例)
・米麹甘酒は小さじ1を水で薄めて週2〜3回 ・バナナ:薄切り2〜3枚を週1〜2回
・納豆:小さじ1程度を週1〜2回 ・MCTオイルは療法食または数滴から開始(必ず主治医と相談)
・赤身肉はいつものたんぱく質源を置き換える形で少量から開始
・内臓肉はごく少量をローテーションで月に数回
*新しい食材は一度に一つ、少量から始め、体質や病歴に応じて調整します。
まとめ
てんかんの栄養介入で最も研究的に確立されているのは中鎖脂肪酸(MCT)です。
αリポ酸やL-カルニチンは単独での効果は限定的ですが、総合的な栄養設計の一部として脳機能を支える可能性があります。
ビタミンB群は神経伝達に不可欠で、欠乏させない工夫が重要です。
自然食材からの栄養は「微量を積み重ねる」形で脳をサポートします。
科学的根拠を踏まえつつ、愛犬の体質や持病に合わせて、必ず主治医と相談のうえ実践してください。
この記事は犬を対象としています。
サプリメントの利用は必ず獣医師の指導を受けてください。
今日ご紹介した内容が、てんかんと向き合う愛犬とご家族の日々の助けになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。