サブタイトルはHow you can use mindfulness to help quiet the mind and fall asleep faster.(心を安らかにして、速やかに眠りに入るのを促すために無心状態を利用する方法)です(→外部記事リンク)。
筆者は心理学博士で、睡眠障害の専門家Shelby Freedman Harrisさん(女性)です(→外部記事リンク)。
現代人は睡眠不足だと言われています。睡眠不足の原因として、睡眠自体が困難だというのも1つで、これは病気として治療するしかありません。でも、もう1つ、一般的には、眠りにつこうとする気持ちを邪魔するものがたくさんあって、それが睡眠を妨げているというのが現代の特徴でしょう。
もちろん、テレビや本で睡眠不足になることはいくらでも昔からありますが、最近はインターネットやスマホが加わりました。それらはその明るさから覚醒作用が強く、深刻度はテレビや本の比ではありません。
では、博士は健全な睡眠をとるために、どんなことに注意すべきだと言うのでしょうか。長い治療経験に裏打ちされたアドバイスを聞いてみましょう。
I commonly hear patients tell me that when they get in bed at night to try and sleep, their brains don't stop. They're thinking of the day, what didn't get done, what needs to get done and any other pressing or mundane issues in life. The "mental chatter" that occurs makes it harder for sleep to come. What gets lost is the ability to be in the present moment, focusing on the breath, relaxing and letting sleep come.
「夜、ベッドに入って眠ろうとすると、脳の動きが止まらなくなってしまうと患者さんから言われることがよくあります。その日のことや、まだ終わっていないこと、やるべきこと、日常生活におけるあらゆる差しせまった問題や日々の些事のことを考えてしまうのです。この"内的会話"が起こると睡魔が訪れにくくなります。ここで失われているのは、今この時、呼吸に集中しリラックスして眠りに入る能力です」
いざ眠ろうとしても、いろんなことが頭に浮かんできて眠ることができないというわけです。commonlyという副詞が使われていることから、これが睡眠障害の患者に広く共通することだとわかります。
With its roots in Buddhist meditation, mindfulness encourages one to take a non-judgmental stance in life -one that accepts the present as it is and does not ruminate on the past or future. Mindfulness has been adopted in clinical psychology and has been shown to improve depression and anxiety.
「由来は仏教の瞑想からですが、無心になることで、生活における評価を放棄するスタンスがとりやすくなります。それは、現状をそのまま受け入れて、過去や未来に心を奪われない立場のことです。無心状態は診療心理で採用されてきて、憂鬱や不安の改善がみられるようになってきています」
最初に書いたようにmindfulの訳が難しいのですが、本ブログでは何度もこの言葉を扱ってきて、基本的に「無」「無心」「無我(の状態)」などの言葉を使ってきたので、それに従うことにしました。文字どおりには、最初に述べたように「心が1つのことでいっぱいで、ほかに何も入らない」という状態のことです。
「無心」というと何も考えない(=ゼロ)のことですが、mindfulだと「眠ることだけに頭がいっぱい」(=1)ということになるので、ニュアンスは違います。
When we lose awareness of the present moment, our minds have a tendency to habitually get stuck in maladaptive ways of thinking. Mindfulness can help us step back, be in the present and recognize some of these habits that take us off track and further away from our overall goals in life, including getting a better night's sleep.
「今この瞬間への意識を失うと、私たちの心は習慣的に状況に適用できなくなる考え方にとらわれがちになります。無心になると、いったん立ち止まり、いまこの時に立って、自分をあるべき道から逸れて人生の大きな目標から大きく外れさせているこういった習慣の一部を認識するのに役立ちます」
患者が口々に言う「脳が止まらなくなる」という状態になると、眠るのが難しくなります。それは連想ゲームです。とくに睡眠障害になる状態では、多くがマイナスのことに結びつけるような連想ゲームになるので、何を考えても不安感がもたげてしまいます。何を考えても最後は不安なことに結びつけるので、「脳が止まらなくなる」わけです。
それを断ち切るにも、いちど頭を「眠ることで頭がいっぱいの状態」≒「無心」になって、連想ゲームを断ち切るしかありません。
Newer models of insomnia treatment are beginning to incorporate meditative components. During mindful meditation, the mind is focused on the act of meditation itself-being in the moment, inhaling, exhaling or repeating a certain mantra-to bring about relaxation. Mindfulness allows us to have more present-moment awareness and not get stuck on thoughts that take us out of the moment.
「不眠症治療の新たなモデルでは、瞑想の要素が組み込まれるようになってきています。無心になるための瞑想をしている最中は、気持ちは瞑想すること自体に集中しています。今この瞬間に、呼吸法を実践して、とあるマントラを繰り返すなどして、リラックスした状態になります。無心になることで、今この時に意識が向かい、今に集中できなくなるような考えに拘泥しなくなれます」
座禅によって瞑想するにはいくつか方法があります。簡単なものでは、答えの出ない問題を考えてみる(私が教わったのは、「拍手をしたときに音が鳴るのはどちらの手か」「こんにゃくはどちらが表か」など)、意味のない模様を1つ思い描いてひたすらそれを頭に浮かべる、呼吸の数を延々と数えるなどがあります。
そのように1つのことだけに意識が向くと、精神はだんだんとリラックスした状態になります。「無心」より、英語のmindfulnessのほうが実態に近いことになります。
それを実践するために、筆者は4つのヒントを提示します。
1. Strengthen your mindfulness "muscle."
「無心になるための"筋肉"を強化せよ」
It is very difficult to just "be mindful" at all times. Aim for just a few seconds of mindfulness at a time, working your way up to five, then 10 minutes. It is really tough to do and is almost like a mental muscle that needs to get strengthened over time. When it comes to sleep, being mindful can help us from getting stuck on rumination in bed, quiet our minds and bring about relaxation... and eventually sleep.
「いつも純粋に"無心の状態"でいることはかなり困難です。1回につき数秒間だけの無我の状態になることを目指し、それが5分間続いたら、次は10分間を目指しましょう。それを実践するのはかなり大変ですし、時間をかけて強化せねばならない精神的筋肉のようなものです。睡眠について言えば、無心でいると、ベッドで瞑想に入って、心を平穏にして、リラックスした状態になり、最後には眠りに陥ることの助けになることがあります」
意識して無心状態が作れる「筋力」を養おうというアドバイスです。それには訓練が必要で、数秒から始めて、徐々に10分間まで持っていくような段階を追った目標にしたほうがいいというわけです。
2. Find the mindful in the mundane.
「日頃から無心になれるものを探そう」
Anything can be a mindfulness exercise. For example, if you're going to get a manicure and it is time for the hand massage, try to be in the moment for that minute, focusing solely on the relaxation and calming sensations that the massage brings. If your mind wanders to think about anything and everything else you have going on in life―eg. "I forgot to pick up the dry cleaning!" or "This massage should be so easy to focus on, why can't I do it?!"-notice that your mind wandered without judging yourself and get your mind back on track to the massage. Your mind might wander 15 times during the massage, but that's fine. The real skill is in being able to non-judgmentally notice when your brain is wandering and refocus yourself back on the present moment.
「どんなことでも無心の状態になるための訓練になります。たとえば、ネイルサロンに行ってハンドマッサージの時間になったら、その時のその瞬間は、リラックスしてマッサージが生み出す静かな感覚だけに集中するようにしましょう。心に何か浮かんできて心がさまよい、人生において起こっているほかのあらゆることについて考えるようなら、たとえば「ドライクリーニングを受け取るのを忘れた」とか「このマッサージなら簡単に集中できるのに、私はなぜできないのだろう」などと、自分のことを判断することなく心をさまよったままにして、マッサージにまた気持ちを戻すように注意しましょう。実際のコツは、考えが次々とわいてきて、今この時に再び集中しようというときに、何にも評価せずに意識を向けることにあります」
「さあ、訓練の時間だ」といったようにその時間を特別に設けるのではなく、何か機会があればとりあえずそれを「無心になる練習」につかおうというわけです。たしかにマッサージなどはいいでしょうね。
3. Eat mindfully.
「無心に食べよう」
We eat multiple times a day, but typically we are eating while talking with others, reading a book, doing work or watching TV. To practice mindful eating, first sit down at the table in front of your food. Notice the color, texture, shape and smell. Simply observe. Once you take your first bite, notice where in your mouth the food is now located, what do you taste, smell? What textures do you feel? Silently labeling each observation, e.g. smooth, sweet or crunchy, can help ground you and keep you in the present. If your mind wanders off task, simply notice you wandered and non-judgmentally get back on track.
「私たちは1日に数回食べますが、おしゃべりしながら、本を読みながら、仕事をしながら、テレビを見ながら食べるようなことがよくあります。無心で食べることを実践するために、まず食べ物を前にしてテーブルに座りましょう。色や素材感や形や香りに意識を向けましょう。ただ観察しましょう。いったん口にしたら、いま口にどこに食べ物があるか、味はどうか、香りはどうかに注意を向けましょう。食感はどうでしょうか。黙ったまま感じたことを、たとえば、なめらかだ、甘い、さくさくしている、といったように表現すると、落ちついて、今この時に自分を留めるのに役立ちます。もしやっていることから気持ちが逸れたら、逸れたことを意識して、評価なしでやり直しましょう」
私たちはよく「ながら食べ」をします。お腹が空いているとき、食べることは大きな喜びのはずですが、たとえばテレビを見ることで、食べる喜び自体が多く減じられます。それに対して、食べること自体に集中することは、味覚を通して「今この時」を体験することです。だから、食べることに集中することは、無心状態を得るためのよい訓練になるのだというわけです。
4. Practice!
「訓練せよ!」
With more practice comes more ability to use it in more challenging, varied and/or stressful circumstances. The more you practice, the better
「訓練を積むほど、もっと困難で、多様で、ストレスのある環境化でもそれを利用する能力が高まります。訓練するほど上達します」
「マルチタスク」を避けて、1つのことに集中することを繰り返していくと、ストレスに対抗できる力が養えます。「お風呂に入らなければいけない」と思えばお風呂に、「眠くなってきた」と思えばすぐ寝床に、といったことが速やかにできるようになるからです。
5. Be patient!
「粘り強く!」
We are a society that values multi-tasking (which isn't always the best strategy to be efficient). Strengthen your mindfulness muscle and you might even find that you're more efficient and streamlined in what you normally do, possibly even getting things done faster since you're not wandering from thought to thought.
「私たちはマルチタスクが評価される社会を形づくっています(ただし、それは必ずしも効率的が高いベストの戦略とは限りません)。無心になるための筋肉を強化しましょう。そうすれば、効率を高めて、いつもやっているように合理的な流れを作っていることに気づくことがあるかもしれませんし、次々と考えて浮かんでしまっても、速やかにことを終わらせることも可能になります」
注意散漫だと「眠る」という1つの行為すら実践できなくなります。逆に言うと、「今はこれをやる」という1つの行為に集中できる技術があれば、眠ることも簡単にできるようになるはずだというわけです。その習慣を筆者は「筋肉」という言葉で表しています。
そして次のようにまとめます。
Take a break from whatever you're doing right now and practice being mindful for just one minute. Hopefully, with practice, you'll notice the mental chatter decrease and fall asleep faster.
「今やっていることからすべて解放されて、ちょうど1分間だけ無心の状態を実践してください。実践すれば雑念が減って、より早く眠りに落ちることに気づくでしょう」
結局すべては集中する習慣だというわけです。いろんなことが気になってしまうくせがある人はストレスに弱いもの、だから「今はこれ」という1つに集中できる習慣を持って、ストレスに強くなろうというわけです。実に的確なアドバイスだと思います。
「最近眠れないなあ」という人は、生活に瞑想を取り入れるといいかもしれません。私も朝は1分ほどやっています。


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