今回はそれに関連してアダム・グラント氏のエッセイを読みましょう。タイトルは5 Myths About Introverts and Extraverts at Work(内向的なビジネスパーソンと社交的なビジネスパーソンに関する5つの神話)で、Despite growing acceptance, introverts are still wildly misunderstood.(認知されては来ているが、内向的な人はまだ広く誤解されている)というサブタイトルがついています。
筆者のアダム・グラント氏は『Give and Take』が世界的に大ヒットしている心理学者です(→外部記事リンク)。くわしくは前々回の記事をお読みください。
では、さっそく読んでみましょう。
"Raise your hand if you're an introvert." During two different years, I made this request to more than 200 MBA students at Wharton. In 2011, only a few students raised their hands. In 2013, more than a third of the hands shot up.
「内向的な人は手を挙げて! 2つの別の年度に、私はウォートン校の200名を超えるMBAの学生にこの質問をした。2011年にはわずかな学生が手を挙げるだけだったが、2013年には、3分の1を超える学生が手を挙げた」
自分は内向的だと考える学生が昨年は爆発的に増えたというわけです。なぜそのようなことが起こったのでしょうか?
Had we accepted a more introverted cohort of students? No. When they filled out confidential surveys, the two classes were identical: on a 1-5 scale, where 1 is extremely introverted and 5 is extremely extraverted, the average was 3.34 in 2011 and 3.39 in 2013.
「私たちが内向的な学生を以前より受け入れたのだろうか。否。内々の調査に答えてもらったとき、2つのクラスは全く同じだった。1から5段階があり、1が極めて内向的で、5が極めて社交的、平均は2011年が3.34で、2013年が3.39だった」
日本では内向的であるというのはさほどマイナスではありませんが、アメリカをはじめとするビジネス文化圏では、内向性は決定的なほどマイナス評価の対象になってきました。
しかし、今が内向性がプラスに評価される時代への過渡期・移行期だとすると、前より自分が内向的だと認められる人が増えるのは当然です。先にあるのは「内向的でもいいんだ」と思える時代、そして「内向的なことが自分の武器だ」と思える時代です。
We had the same number of introverts; students were just more willing to admit it publicly now. When I asked what made them comfortable stepping out of the shadows, the most common answer was Susan Cain's life-altering book Quiet: The Power of Introverts in a World That Can't Stop Talking. Before reading it, they saw introversion as a liability. As actress Emma Watson (a.k.a. Hermione Granger) laments, "If you're anything other than an extravert you're made to think there's something wrong with you."
「内向的な人の数は同じだったのだ。学生が以前より公にそれを認めやすくなっただけのことだ。なぜ心地よく陰の世界から抜け出せたか尋ねると、最も多かった答えは、人生を変えた本であるスーザン・ケインの『Queit』だった。本書を読む前は、内向的であることが自分の責任だと思いこんでいた。女優のエマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー役で知られている)が嘆いたように、「自分が決して社交的ではないと、自分に悪いところがあるように思わされる」のである」
この大きな変化をもたらしたのはスーザン・ケインさんの力です。彼女の書いた『Quiet』は多くの人に勇気を与え、世界的なベストセラーになりました。
Thanks to Susan Cain's sensational writing, the stigma of introversion is evaporating. People recognize that it comes with strengths, not only vulnerabilities. This awareness is not unique to students; I've seen the same trend with senior executives. Leaders are coming out of the introvert closet in droves.
「スーザン・ケインのすばらしい著書のおかげで、内向的であることで罪悪感を持つようなことはなくなった。内向性には弱さだけでなく、強さも招くと認められている。この意識は学生だけにあるのではない。同じ傾向はシニア・エグゼクティブ(≒取締役あたり以上)にもある。指導者は内向性のクローゼットからぞろぞろと生み出されている」
つまり、「今の世代は内向的だ」ということではなく、内向的な人はいつの時代も一定数いて、以前は社会的な要請や評価で、その部分を抑圧したり隠したり、あるいは自分でも気づかず無理をしてきたということでしょう。
However, I've noticed that despite growing social and professional acceptance, introverts are still wildly misunderstood. People may be more open about being introverts, but they cling to assumptions that don't stand up to the test of rigorous evidence. It's time to debunk five myths:
「だが、社会的にも専門的にも認知されてきたにもかかわらず、内向的な人はまだ広く誤解されているように見受けられる。内向的であることに以前よりオープンになったかもしれないが、厳密な証拠を検証するのに耐えられないような仮説にしがみついたままだ。5つの神話を暴くべき時である」
では、アダム・グラント氏が考える内向性に関する5つの神話=嘘を見ていきましょう。
Myth 1: "Extraverts get energy from social interaction, whereas introverts get energy from privately reflecting on their thoughts and feelings."
神話その1「社交的な人が社会的な相互作用でエネルギーを得る一方で、内向的な人は自分の考えや気持ちを自分で顧みることでエネルギーを得る」
先行研究を分析すると、社交的な人と内向的な人を比べても、人との会話にすごす時間やそこから得られる喜びに差はなく、経験として同質だと言います。また、社交的な人も自省したり読書などから得られるものは、内向的な人と差はありません。
Myth 2: Introverts are plagued by public speaking anxiety
神話その2「内向的な人は公にしゃべるときの緊張感にとらわれやすい」
公でスピーチをするのは誰でも不安がつきまといます。ある研究によると、そういった近著の場面では内向的な人は社交的な人より不安感を持つ人の割合が大きいのですが、84%はそのどちらかであるかには影響されないそうです。話す際の不安感は、どちらかと言うと聴衆との距離(親密か敵対的か)によるほうが大きいそうです。
Myth 3: Extraverts are better leaders than introverts
神話その3「社交的な人は内向的な人より指導者に向いている」
研究によると、96%の指導者や経営者は社交的であると伝えられ、その点では社交的なほうが圧倒的に有利なようです。
でも、社交的だから内向的なより指導者に向いているとは限らないのです。たとえば、従業員が内向的で、社交的なリーダーに導かれれば利益は16%上がりますが、逆のタイプの従業員であれば利益が14%下がります。
逆に内向的な指導者は気を遣って相手の話を良く聞きます。この正確のためにある会社の元CEOには3万もの感謝カードが来たと言います。気遣いのできる指導者が高い業績を上げることも多く、結局、内向的だからというだけで指導者に向いていないと判断することは間違っているのです。
Myth 4: Extraverts are better networkers than introverts
神話その4「社交的な人は内向的な人より人脈作りがうまい」
『Give and Take』では米『フォーチュン』誌が選んだベスト・ネットワーカーは、実は内向的なコンピュータ技術者であったと述べられています。その技術者はいわゆる「人見知り」ですが、人の助けになるのが大好きな人で、いろんな人に役立とうとしているうちに、SNSなどを通して途方もない人脈ができてしまいました。
また、たしかに社交的なほうが大きな人脈を作りやすいのですが、人脈の価値は大きさにあるのではありません。その人脈が自分の環境にない新しい見地をもたらしてくれるか、いざというとき助けてくれる人がいるかどうかのほうがはるかに重要です。
さらに、『Give and Take』では、常にコンタクトしている人たちより、数年音信不通だったあとでコンタクトをとった人からのほうが恩恵を受けることが多いことを明らかにしています。
Myth 5: Extraverts are better salespeople than introverts
神話その5「社交的な人は内向的な人より営業職に向いている」
社交的な人が有利な職業と言うと、多くの人が営業や接客を思い浮かべるでしょう。営業を例にとると、実は営業成績と社交的かどうかは関連性がないとわかっています。
それは、社交性と内向性のどちらかかの傾向が強い人はいても、そのほとんどは両面を持っているので、その場面でどちらが強く表れるかがわからないからです。詳しくはダニエル・ピンクの大ベストセラー『To Sell Is Human』(翻訳『人を動かす新たな3原則』)を参照してください。
以上です。アダム・グラント氏のとてつもない知性が感じられる記事です。その底流にあるのは日本的な価値観ですが、それはまたの話といたします。

Image(s): FreeDigitalPhotos.net
【告知】
ディスカヴァー・トゥエンティワンからマイケル・マハルコ著の翻訳書『クリエイティブ・シンキング入門』を出版いたしました。日本ではロジックの大切さが強調されていますが、世界的な趨勢はロジックにとらわれずに、自由な発想でクリエイティブに活動するほうへと流れています。
それを実践するのがクリエイティブ・シンキングです。本書はクリエイティブ・シンキングを身につけるための最良の入門書です。ビジネスやアカデミズムの最先端で活躍していく方はぜひご一読ください。定価は2400円+税です。
本書がなぜ今の日本に必要なのかを書きました。ぜひご参照ください(→過去ログ)。





