年をとるとなぜ1年が早く感じるのか? | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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英語や芸能など、思いついたことを適当に書いていくという、そういうブログです。

今回はHow Does Disgust Affect Memory?(嫌悪がいかに記憶に影響するか)という記事を読みます。サブタイトルはWhy do you remember disgusting and scary things?(なぜあなたは嫌いなことや怖いことを忘れないのか)となっています。筆者は日本でも翻訳された『スマート・シンキング』が好評の認知学者Art Markman博士です(→外部記事リンク)。



『スマート・シンキング』はいかに合理的に考えるかを扱った本で、クリエイティブ・シンキングについても一部扱っているので、本ブログを読むことがある方には得るところがあるんじゃないかと思います。


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さて、今回の記事は、感情と記憶関係を論じたものです。では、さっそく読んでいきましょう。



Emotional experiences clearly affect memory. At the 50th anniversary of the assassination of John F. Kennedy many people shared their memories of where they were when they heard the news that he had been shot. This event was shocking, and many people reported having vivid memories of that day, even a half-century later. People who lived through the explosion of the space shuttle Challenger and the events of September 11, 2001 also have significant emotional memories from these dates. Although these memories may not be 100 percent accurate, it is clear that people are influenced by the emotional experience at the time.

「感情を経験することが記憶量に影響するのは明らかだ。ジョン・F・ケネディ暗殺50周年では、多くの人たちが暗殺のニュースを耳にしたときにどこにいたかを記憶している。この出来事は衝撃的であり、半世紀経った今でも、多くの人がその日のことを鮮明に覚えていると語った。スペースシャトルのチャレンジャー爆発や2001年の911テロを経験した人も、当時の感情の記憶は顕著である。これらの記憶が100%正しいわけではないだろうが、人間がその場で経験した感情に影響を受けるのは明確である」



たしかにこういったことはよくあります。玉音放送が流れていたときにどこにいたかとか、ジョン・レノンが殺さたときは何年生だったかとか、東日本震災のときに何をしていたかなど、節目のときの記憶は概して鮮明なものです。



It is hard to disentangle all of the factors that influence memory in these stressful situations. The events are surprising. They are arousing emotional experiences. They are negative. They involve a combination of anger, fear, and sadness.

「こういった強いストレスがある状況下で、記憶に影響する要因をすべて洗い出すのは困難である。それらの出来事は驚くべきであり、感情の経験を引き起こし、ネガティブで、怒りと恐れと悲しみが入り交じっているからだ」



そういった大きな事件があったときの記憶がなぜ鮮明なのか、科学的に原因をつきとめるのは難しいようです。ただ、強い感情がきっかけになっているのは間違いありません。



Because emotional experiences have an influence on memory, controlled laboratory studies have begun to tease apart the elements of emotion that affect what you remember later.

「強い感情の経験は記憶に影響があるので、制限された研究室での調査では、記憶したことにあとで影響を与えるような感情の要因を排除しはじめるようになってきている」



記憶における研究で問題になるのは、一度覚えたことをあとで思い出させるような実験で、そのあいだを同じ条件にすることです。Aさんはただぼっとしたけれど、Bさんはぼっとしながらも、そのことを思いだし反芻すれば、当然のことBさんのほうが記憶が鮮明になるのは当然です。


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次に、筆者は2013年11月号のthe Journal of Experimental Psychologyに掲載された研究を紹介します。



In one study, the researchers gathered a series of pictures that were disgusting, scary, or neutral. Disgusting pictures showed things like a cockroach or a picture of a gruesome disease. Scary pictures showed things like threatening animals or riots. The neutral pictures were items like coat hangers or coffee makers. Ratings obtained before the study found that the scary pictures were slightly more arousing overall than the disgusting pictures.

「ある実験で、調査員たちは、不快な写真、怖い写真、普通の写真などを集めた。不快な写真に写っているのはゴキブリなどや見栄えの悪い病気などだった。怖い写真に写っていたのは怖い動物や暴力的な人たちなどだった。普通の写真に写っていたのはコート掛けやコーヒーメーカーなどだった。事前におこなっていた評価では、全体的に怖い写真は不快な写真よりちょっとだけ刺激が強かった」



ちょっとグロくて不快な写真と、怖い写真と、普通の写真の3種類のうち、どれが記憶に残るかを調べてみると、怖い写真が強く、次が深いなものだったというわけです。



Each picture was shown for 2 seconds. When the picture was presented, a line appeared above it or below it. Participants had to indicate where the line was relative to the picture by pressing a button. Then, after a delay of either 10 minutes or 45 minutes, participants were asked to recall as many of the pictures as they could. This memory test was a surprise. They had not been told that they had to remember the pictures.

「写真は1枚につき2秒映し出された。写真が出ると、その上か下に線が現れた。被験者はボタンを押して線が写真のどこに出たかを指摘しなければならなかった。そして、10分か45分経ってから、被験者はできるだけ多くの写真を思い出すように指示された。この記憶力テストは抜き打ちでおこなわれ、写真を覚えておく必要があるとは言われていなかった」



「あとで記憶力テストをします」と言うと誰でも見たものを思い出さそうとして、正確な実験になりません。そこで、そういった展開はつゆほども見せずに、唐突にテストをしたというわけです。



Overall, people remembered more of the arousing pictures (both scary and disgusting) than the neutral pictures. So, pictures that created a negative emotion were more memorable than those that did not. The disgusting pictures were better remembered than the scary ones. This difference was particularly strong after a 45-minute delay. Finally, participants took longer to respond to the location of the line when the pictures were disgusting than when they were scary or neutral. This finding suggests that people's attention was more strongly drawn to disgusting pictures than to scary or neutral ones.

「概して、普通の写真より(怖いにせよ不快にせよ)刺激のある写真のことをよく覚えていた。そのため、マイナス感情を引き起こす写真は、そうでないものより覚えやすいものだった。不快な写真は怖い写真よりよく覚えられた。この違いはとくに45分後になると強くなった。結局、被験者は、写真が怖かったり普通だったりするときより、不快なときのほうが、線の位置に反応するのに時間がかかった。この発見が示唆するのは、人間の注意力は、怖い写真や普通の写真より、不快な写真のほうに強く弾かれるものだということだった」



Another study in this series found that this effect was also strong even when there was a one-week delay between the initial exposure to the pictures and the test.

「この研究における次の実験でわかったのは、最初の写真の認知と検査との間が1週間まで開いても、やはりこの効果が強いということだった」


線の位置が上か下か反応するのに時間がかかったということは、それだけ写真に写っているものに注意を向けたということになります。人間はあまり見たくない不快なものほど、なぜか注意して見てしまうものだというわけです。


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では、なぜこんなことが起こるのでしょうか。



Memory for specific items and specific situations is often not important. When you encounter a coat hanger, you need to know what it is for, so you need to recognize that it is a hanger. However, it probably does not matter which hanger it is or when you may have seen that particular hanger before. As a result, we do not really differentiate our experiences of common objects that do not engage our emotions.

「限られた要素や状況の記憶が重要でないことも多い。コート掛けを見た場合、それが何のためにあるかを知って、服を掛けるものであることを認識する必要がある。でも、それが何を掛けるものであるかとか、いつどんなハンガーを見ただろうかといったことは、おそらく重要ではない。その結果、感情を支配しないような一般的なものを経験することを実際に差別化はなしものだ」



つまり、写真に日常的によく使うようなXが写っていれば、その機能に関することなら考えるだろうけれど、それにまつわるエピソードなどは思い出すきっかけはないということです。



When you experience a frightening situation, though, you probably do want to remember it, because you want to be able to avoid that situation in the future. With disgusting items, there is even more reason to want to remember them. The things we find disgusting are often items that could make us sick. So, if we encounter them again, we want to know to avoid them. In this way, memory acts to help keep us safe.

「だが、怖い状況を経験すると、おそらくそれを記憶したいと思うものだが、それは将来はその状況を避けられるようにしておきたいからである。不快な要素には記憶したいと思うさらに大きな理由がある。不快な気持ちになってしまうものは、私たちは気分が悪くなる可能性があるような要素である。だから、もう一度それを見ると、それを避ける方法を知りたいと思う。このようにして、記憶は私たちを安全に確保するのに役立つ」



強いマイナスな感情を持つものほど記憶に残るのは、将来の安全のためだというわけです。マイナスになることほど記憶に残るのは、また同じことが起こっても、今度はそれを避けるすべがあるからだというわけでしょう。



以上、アート・マークマン博士の記事をご紹介しました。


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考えてみると、すべてごく当たり前のことです。



では、なぜこの記事を取り上げたかというと、ここにはなぜ、年をとると時間の経過が早く感じられるかのヒントがあると思ったからです。



子どものころは、多くの出来事が衝撃的で、それぞれに強い感情を呼び起こします。その結果、それに付随する記憶がたくさんあり、1年はいろいろな出来事の記憶で満たされます。



ところが、年をとっていくとだんだん感情の揺れが小さくなり、また新しい経験の数も少なくなっていくので、そのぶん記憶の少なくなります。すると、一昨年と昨年と今年の差はほとんどなくなり、1年はあっという間に過ぎたような感覚になります。



「今年はいろいろあったなあ」という年は、多くの場合、感情が揺さぶられるような大きな出来事、それまでやったことがなかった経験があるはずです。年をとると感情の起伏すら面倒になっていくものですが、すると、1年はあっという間に過ぎ、あっという間に年をとるということになってしまいます。



それまでやったことがないことにチャレンジすると、たとえ失敗しても、いや、失敗して悲しみに暮れるくらいのほうが、記憶に残るものだということでしょう。



あとは、その事実をどう考えるかです。




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本書がなぜ今の日本に必要なのかを書きました。ぜひご参照ください(→過去ログ)。